大人になったらなりたいもの
小学校の卒業文集の「将来の夢」コーナーには、具体的な職業を書いていない。ドラマ「あぶない刑事」がかなりはやったころで、「刑事」が目につく。このころは学校の先生になりたかったように思う。一時期は、保育園の先生になりたいときもあった。親に聞くと、「給料が安い」「男の先生の枠はない」と厳しく返され、まわりに保育関係者がいなかった私はあきらめざるを得なかった。
第一生命が毎年おこなっている「大人になったらなりたいもの」という調査がある。未就学児から小学生を対象に将来なりたい職業を聞いている。保育園の先生は上位の常連だということが推移をみてもわかる。東京の私立保育園では都の補助金削減の影響で給料の切り下げが始まっている。さらに、都が企業参入のもとですすめる認証保育所A型の職員の月収は12~15万円の層が多い。昨年秋には保育士資格は国家資格として法定化されたばかりなのに。ストーリーも演技もイマイチだったが、NHKの朝ドラ「天花」の影響で保育士になりたい子どもたちは増えてくるようにも思う。
子どもたちが育っていくなかで、大人がきっかけの芽を摘まないということが大事だと思う。不況のもとで進学を断念せざるを得ないケースが増えていたり、せっかく学校を出ても求人に常勤職員はなく、1年契約だったりということもある。せっかく保育士になれても、基準が低く体制の薄い認証保育所が初めての職場で、厳しい現実のなかでそこしか知らずにやめていくとすれば、施策と環境が芽をつんでいることになる。
学校の先生、保育園の先生、弁護士、新聞記者、ライター、いろんな職業にあこがれたことがなつかしく、「大きくなったら」と考えると世代的には「めだかの兄弟」(わらべ1984年)を思い出す。芽を摘まないようにしていきたい。
最近のコメント