専門職で月12万から15万
今日は、保育施策について東京都と話し合いをもちました。
東京都は30年以上前から、私立保育園の職員の給料が公立保育園の職員と同じになるように補助金をだしてきました。実際には公務員水準近くというのが正しい表現です。30年前、職員の平均の経験年数は4年でした。それが9年にまで少しずつ引きあがっていったのです。働き続けられる保障があったのです。そのような補助金のない地方の私立保育園では、30年勤めている職員でさえ月収が手取りで20万円ちょっと、という具合です。
これがこの4月から大幅削減される再構築が始まりました。定員とこなすメニューが同じなら、補助金は低い水準でどこも同じなのです。経験者を多く抱えている保育園は、運営難に陥るのです。また、今は経験者が少ない保育所も職員がこれから働き続けると人件費が不足します。いっせいの給料削減か、保育園での「肩たたき」が、都の保育施策の転換によって少なからず起きてきます。
保育は専門職で、去年国家資格として法定化されたばかりです。今年春から夏にかけては、評判は悪かったもののNHK連続テレビ小説は、東京の保育園を舞台に保育士をヒロインに展開しました。虐待問題は衝撃的な事件となって、連日報道されています。いま、この国が、私たちが大切にしなければいけないのは、人を育てるということだと思います。
でも、東京都は私立保育園への人件費補助を削減して、さらに東京都独自に配置してきたものさえ切ろうとしています。かわりに推進しているのが、企業参入型の認証保育所制度です。今日の日経MJ(流通新聞)は、「第22回サービス業総合調査」の結果として、サービス業・44業種で一番伸びたのが、保育関連サービスだと伝えました。首都圏での待機児対策のあわられだとしています。
東京都が7月に示した実態調査では、職員の月収は18万円以下が84%、20万円以上は6%です。一時金なしの年俸300万円の職員もその6%に入っているのです。
今日、12万から15万円が一番多いことにふれ、「劣悪とは言えないのか。定着して保育を積み上げていけるのか。東京で一人暮らしができる水準か」と都の担当者に問いただしましたが、「設置者と労働者の合意がされている。労使間の問題。就業規則が整っていて、労働基準監督署に届け出ていれば問題ない」とのお答えでした。
低い基準にどんどん全体を下げていくことで、大切なものが崩されていっています。子どもたちが初めて日常的に接する専門職が保育園の先生。自立が厳しい条件のもとで保育をして、子どもたちの成長・発達・自立を支えていくということの矛盾は大きくないですか。
国からくるお金は経験年数6年から7年の水準でしかありません。0歳児が入園したときに就職した先生は、その子が卒園するころにいっしょに出て行かないと、園の運営が持たなくなるという流れになるのです。
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