2004年をふりかえって ありがとう
2004年を私の視点でふりかえりたい。
【プロ野球再編問題】
プロ野球選手会は、9月18・19日の両日、史上初のストライキを決行した。ぎりぎりの交渉が続くなかで、翌20日の試合に出場した会長・古田敦也選手は1安打を含むすべての打席で出塁し、ファンから大きな声援をうけた。ヤクルトの本拠地・神宮球場で相手の阪神ファンからも「古田コール」が。さらに、「負けるな!古田選手」「古田会長 閉鎖的な世界を変えることができるのはあなただけです」といった横断幕、ボード数十枚も揺れた。
古田選手は声援をうけ、目を潤ませて、こう言った。
「迷惑をおかけした人はたくさんいるから、全員が全員支持してくれているとは思わないけど、ありがたいことです。裏切らないようにしたい」
「古田ありがとう」というファンの声と、選手が実感したファンの「ありがたさ」。ここに信頼と共感があったのだと思う。
※参考「古田会長 熱烈コールに応え大奮闘」(スポーツニッポン2004/9/21)
【映画】
今年、7月31日から東京・岩波ホールなどで宮沢りえさん主演の映画「父と暮せば」が公開。原爆で生き残った美津江は、「うちはしあわせになってはいけんのじゃ」とうしろめたさを抱え、自分は人を好きになったりしてはいけないとかたくなに。そこに恋の応援団長として亡霊の父親が現れて、励まし勇気づける。前を向けるようになった美津江は、晴れやかな表情で振り返り、こう言う。「おとったん、ありがとありました」。この台詞は、映画の宣伝にも大きく使われている。2005年3月5日から4月8日にも岩波ホールで再上映される。地域上映会の動きについては、また追ってふれたい。
【コミック】
原爆投下から10年、1955年のヒロシマを舞台に、三十代の著者が「最もか弱き者たちにとって、戦争とは、原爆とは何だったのか」を丹念に描いたコミック「夕凪の街 桜の国」(著:こうの史代 双葉社)。漫画アクションに掲載されて好評だった「夕凪の街」と「桜の国1」、描き下ろしの短編3作の構成で10月に単行本化。「生き残ってしまった」思いにかられる女性は、淡い恋に「うちはこの世におってもええんじゃと教えてください」と問い、「生きとってくれてありがとうな」と心が結ばれる。しかし、原爆症が襲いかかり。
第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞作。中国新聞、朝日新聞、読売新聞、北海道新聞など多くのメディアがこのコミックの魅力を取り上げた。初版、2版と重ね、3版に入ったという。本の購入サイトamazon.co.jpでは、堂々売り上げ第1位(12月30日午前11時現在)。
さまざまなブログでも反響が広がり、コミックについて語られているが、「生きとってくれてありがとうな」がとても印象に残っている。
【震災】
まれにみる台風被害、10万人が避難生活を余儀なくされた新潟中越地震。交通事情が悪い上、寒さが厳しくなるなか、多くのボランティアがかけつけた。直接何もしていない私は軽々に語れないが、隣人なしに生きていくことの困難さと当たり前の生活のありがたさがそこにみえてきたと思う。救援物資が届き、ボランティアのぬくもりに「ありがとう」のやりとり。報道でふれる範囲だが、ギスギスした東京に住む私は考えさせられることが多かった。
【ということで】
当たり前と言われればそれまでですが、「ありがとう」の「ありがたさ」に気づかされた1年でした。2004年もあと大晦日を残すのみ。みなさん、ありがとうございました。また、2005年もよろしくお願いしますね。
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