石原都政で保育はどんどん下り坂 民主党が火付け役
認可保育所でゼロ歳児保育をおこなうときの保健師(看護師)の配置、11時間開所保育を行うための保育士の増配置など、核家族や長時間保育の多い東京都には、国の基準に上乗せしてやってきた保育の事業があります。都加算と言っていますが、これがいま認可保育所ばかりに手厚いとして、廃止・縮小の方向で見直しがすすめられようとしています。
石原都政のもとで引き合いに出されるのが、認証保育所A型。駅前で基本的に企業が経営する保育所で、園庭はないのが一般的で、人員配置や職員の賃金・労働条件に大きな格差があり、継続した安定的な保育は提供できない条件です。
このところ、都議会で民主党が認可保育所の生き残りをかけた改革をと、水準を低め、企業が経営する認証保育所を標準にしていく流れを迫っています。
2004年5月に東京都児童福祉審議会がまとめで、都加算が認可保育所ばかりに手厚いとして見直しを示したことがひとつの転機になっています。
ですが、自治体から、それはやめてよという意見書が相次いでいます。
http://homepage3.nifty.com/tokyohoiku/singikai-ikensyo.htm
限りなく、2002年8月に出された東京都福祉局子ども家庭部が福祉局の部長会議に出した内部文書
http://www.geocities.jp/kaku11012000/
に近づいてきていますが。
以下、3月11日の都議会予算特別委員会総括質疑でのやりとりです。
予算特別委員会総括質疑 2005/3/11 富田 俊正 委員(民主党)http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/yotoku/2005/d6115213.htm
◆富田 俊正 委員(民主党)
(中略)
〇富田委員 課題があるということですから、何とかその辺を改善していただきたいものだと思いますが、認証保育所は都民ニーズに的確にこたえるサービス提供とともに、認可保育所の改革を促すという重要な政策目的を担う制度であります。機関補助の追加は、この目的を損なうとは思いますが、認証保育所を選択した保護者に対する負担軽減補助は、よりよいサービスを選ぶ都民の行動を支援するためのものであります。
認証保育所制度は、これだけの料金格差があるにもかかわらず、都民の支持を得て広がっております。しかし、現実には都内の保育市場に占めるパイは小さく、保育に大きな改革の波を起こすには至っておりません。格差を縮めることで都民が認証保育所を選択し続け、一層の広がりを持つようにすれば、認可保育所の生き残りをかけた改革を迫ることができます。認証保育所制度に東京都の保育を大きく変えるだけの力を持たせるためにも、この負担格差は是正すべきであります。
私たちは、こうした政策的観点から、格差是正を行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
〇幸田福祉保健局長 認証保育所を選択した保護者に対する負担軽減の補助は、施設に対する補助ではなく、個人に対する補助であるという点で、本会議でご質問のあったバウチャー制度と同じものと申せましょう。しかしながら、バウチャー制度は、利用するすべての子育て家庭を対象として実施することが基本であります。
したがって、認証保育所利用者の負担軽減を行うとすれば、在宅で子育てをしている人との受益と負担の公平という観点も含め、現在の認可保育所に対する手厚い都加算補助を初めとする保育サービス全般に対する補助制度を抜本的に改革することが必要であります。したがって、認証保育所の利用者のみを対象とした補助を導入することはなかなか困難であります。
〇富田委員 抜本的に改革をしていかなければならない大きな課題だろうということでございまして、その問題性については認識をしていただいたわけでございますので、我が党として、この課題については常任委員会の中で、またさらに深めてまいりたいと思っておりますので、ぜひともご協力をお願いいたします。
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