住友金属の女性差別訴訟が勝訴!
勝ち組、負け組論争がさまざまなメディアであおられていますし、いまこの社会は過度な競争への道をすすんでいます。私は過度な競争社会を望んでいませんが、立場をこえて考えさせられる事件の判決を昨日3月28日に大阪地方裁判所は示しました。
住友金属工業の女性賃金差別訴訟で、28日に大阪地裁の判決は、会社側が否定していた女性を低く評価する賃金格差制度の存在を認めたのです。提訴からなんと10年の歳月。提訴にいたるまでも長い時間と苦労が。
私は今年30歳の団塊ジュニアの世代。原告は親の世代にあたります。このようなたたかいが職場を足場に司法の場でも、積み上げられ改善されてきた。この事実と歴史を私たちはもっと知らなければいけないのだと思います。
裁判長は「男女間で能力評価に差別的取り扱いをして昇給、昇進を行っており、公序良俗に反して違法」と認定、1986年以降の差額賃金分や慰謝料など4人に計約6300万円の賠償を命じました。
評価はイロハニホの5段階に分けられ、女性はどんな学歴や仕事内容であっても最低ランクという内部資料が発覚。労働協約・就業規則等には一切記載されていません。
住友金属での男女差別の実態 (住友金属男女差別裁判を勝たせる会ホームページ)
女性は結婚すると退職する「寿退社」が当たり前の時代。
「犬や猫でも子どもは母親が育てているのに、君は保育所に預けている」と上司の男性に暴言を吐かれ、別の女性は新婚旅行から帰って出社すると、机が地下倉庫に捨てられていたといいます。
1年半、何の仕事も与えられず、じっと座っているだけという苦痛も経験したそうです。90年代に入って評価について、「女性は(最低の)C評価だよ。北川さんだけ差別しているのではない。女性にB評価はつかないよ」と言われ、調停を申請。労働省側が示した調停案は不十分で法廷闘争へ。
付き合いを避ける同僚もいてつらい日々を過ごしたけれど、出産時に見舞いに来て、ベビー布団をくれた上司や会社から自宅の購入資金を借り入れるための保証人になった上司も。この65歳の原告、退職の際の送別会で「あなたの人生は誇り高い人生でしたね」と言われたそうです。
女性を差別する「闇の人事制度」の存在を示す内部文書が弁護団に寄せられたことが決め手になった勝訴。さまざまな「支援」「支援者」の存在が。
原告の一人は会見でこう語ったそうです。
「結婚後も働く扉、出産後に働く扉に続いて、今日、(女性を差別する人事制度を違法とする)第三の扉が開いた」と。
この3つの扉に、私たちの思いは。
また、「住友金属は、『闇の人事制度』をすぐに廃止してほしい。そして『ごめんなさい』と言っていただきたい」 とも。
同じ住友グループでは、女性差別訴訟が相次いできました。住友化学工業では女性社員ら三人が、差額賃金や慰謝料などの支払いを求めた訴訟で2002年6月29日に、会社側が一人当たり500万円、計1500円の解決金を支払う条件で大阪高等裁判所で和解が成立しています。同期入社の男性のほとんどが勤続20年をすぎると管理職に昇格しているのに、女性は平社員のままで、賃金の格差は月額22万円にも。
住友グループでは、95年以降、住友電気工業などでも同様の訴訟があり、すべて和解が成立していますが、最後まで争われてきた今回の訴訟の判決について、「原告側が主張しているような『闇の人事制度』などは存在せず、これを認めた判決については、即座に控訴したい」(住友金属工業大阪本社広報・IR部)としています。
住友金属男女差別裁判を勝たせる会のホームページは、差別の実態と告発の声、支援の広がりを物語っています。今回の勝訴についての声明文も掲載されています。
男女が平等に働けること、働く機会が真に均等に認められること、すべてを分担していくことを許す社会であってこそ、ゆとりが生まれ、豊かになっていくのではと私は思っています。働きすぎない社会、働ける社会を望みます。
【そうだよ!と思ったブログ記事】
・ 「今日、咲いてみる?」 話しかけたくなるつぼみも見つかるでしょう、きっと。 (こずえの足音)
・学校現場における性差別:性別職務分離(ジェンダーとメディア・ブログ)
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