4月9日朝日新聞夕刊に書籍広告 -「夕凪の街 桜の国」
被爆地ヒロシマを舞台に、生き残ったうしろめたさを宮沢りえさんが見事に演じた映画「父と暮せば」の再上映が3月5日から東京・岩波ホールで始まり、4月8日に幕を閉じた。昨年の上映を含めて3度観に行ったが、この映画とあわせてこだわっている作品がある。
翌4月9日の朝日新聞夕刊のテレビ欄の裏に大きな書籍広告が掲載された。
「読む人の心に静かに突き刺さる珠玉のコミック作品。」と見出しが打たれ、
コミック「夕凪の街 桜の国」(著こうの史代 双葉社 800円+税)
が広告されている。双葉社の書籍広告。
Amazon.co.jpカスタマーレビューに寄せられた、12人の読者の感想が抜粋されている。
発売されたのは昨年10月、つまり半年も前。静かな反響が続いている。広島と長崎の路面電車にも広告が今月に入って掲載されたという。
重版が続き、15万部に。2006年には実写版の映画、2007年にはアニメ映画として公開されることが決まったという。
この作品はメディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞している。
さらに、手塚治虫文化賞マンガ大賞の候補作品として最終ノミネートに残っている。選考結果の発表は5月上旬だという。期待は高まる。
著者も書き込む掲示板もあり、
読者の感想などが随時寄せられている。
◇ジュンク堂 JUNKUDO BOOK WEB 書標2005年3月号の「著者を語る○396 夕凪と桜の日々 こうの史代」
には著者の思いがつづられている。
ふだんまったくマンガを読まない私が半年近く、ずっとずっと読み返している作品。細かな描写にマンガでこそ伝わるものがあると思え、静かな衝撃はおさまることがない。
何人死んだという数字からくる被害の規模ではなく、原爆で一人の女性に何が起きたのか、約100ページのこの作品に、空白のページも含めて考えさせられる。
昨日このブログで書いた、
のように、痛みの想像力はまだまだ響いていない。というよりも、被爆60年を迎え、忘れられつつある。
そんななか、上から下へ「教える」姿勢ではなく、いのちの重さ、生きることを等身大で「描く」このコミックが世代をこえてもっと響けば。
さまざまなブログがつながりあって、反響が広がっている。新聞記事よりも読者の一人が書いた感想を検索するなどして、読んでいただきたい。そこに等身大のコミックについての等身大の思いがある。
以下、書評とブログ内記事の紹介を。
【新聞等での書評】
・広島平和記念資料館メルマガ第16号「読んでみたいこの一冊」(2004/11/1)
・asahi.com 2004/10/29松尾慈子の漫画偏愛主義
・全国書店新聞2005/3/21「若い読者にブーム 夕凪の街 桜の国」
【ブログ内関連記事】
◇文化庁メディア芸術祭が2月25日から(2005/2/10)
◇また「夕凪の街 桜の国」が中国新聞で(2005/1/28)
◇「夕凪の街 桜の国」 こうの史代ファンページ掲示板を読んで(2005/1/21)
◇2004年をふりかえって、ありがとう(2004/12/30)
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