若者に多い「9条変えるべきでない」 共感できるスタイルをいま
2ヶ月半前に、「若者は改憲派が多いってホントかな?」(2005/7/16)という記事を書いて、少なくない反響をいただいた。
「最近の若者は憲法を変えてもいいと思っている」「憲法を守ろうという街頭署名をやっていても、20代・30代の反応が薄い」などの声を、労働組合の役員や平和団体のベテラン活動家から聞くが、かみあっていないことを私なりに示した。
また、考えとしては賛同できてもスタイルとしては共感できないということもあるのではないかということにもふれた。
今日、毎日新聞の世論調査をみて、やはり「若者に改憲派が多い」という意識は、誤った先入観でしかないことを確信した。
<憲法世論調査>9条改正「反対」は62%(毎日新聞2005/10/5)
毎日新聞は憲法問題について、全国世論調査(面接)を実施した。憲法改正に「賛成」と回答した人は58%で、「反対」の34%を上回った。戦争放棄や戦力の不保持を定めた9条については「変えるべきでない」が62%で、「変えるべきだ」の30%の2倍に達した。衆参両院の憲法調査会や自民、民主、公明各党による論議で国民に改憲への支持が広がる一方で、自民党が重視する9条改正についてはなお慎重な国民意識を示した。
調査は9月2日から4日まで全国の4550人を対象に実施し、2418人から回答を得た。調査方法が異なるため単純に比較はできないが、昨年4月と今年4月の電話調査では、憲法を「改正すべきだ」が6割程度、「改正すべきでない」が3割で、ほぼ同じ傾向となっている。
男女別では、男性は改憲派62%、護憲派33%であるのに対し、女性は改憲派54%、護憲派36%だった。世代別では30、40代で改憲派が各65%と最も多く、20~60代の各年代で5割を超えた。70代以上では賛成44%、反対40%と拮抗(きっこう)している。
同時に、9条改正について聞いたところ「変えるべきでない」との答えが男性で57%、女性は67%に達した。「変えるべきだ」は、男性が38%、女性は23%にとどまった。世代別では、20代の70%が9条改正に反対したのをはじめ、30、50、70代以上の各世代で6割を超えた。改正賛成派は40代の36%が最高。
9条改正賛成派にどの部分を変えるべきかを聞いたところ、戦力不保持と交戦権否認を規定した2項だけを「変えるべきだ」と答えた人が50%と最多。戦争放棄を定めた1項と2項の「両方とも」が35%と続き、1項だけを「変えるべきだ」は13%にとどまった。
憲法96条の規定で、改憲には(1)衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成による発議(2)国民投票で過半数の賛成――が必要。今回の衆院選で自民、公明両党は衆院の3分の2を超える327議席を獲得している。
(中略)◇9条、「平和に役立った」8割--高齢層ほど積極評価憲法9条が戦後日本の平和維持に役立ったと思うかを聞いたところ32%が「かなり役立った」、48%が「ある程度役立った」と答え、全体の8割が「9条」が果たした役割を肯定的に評価した。
「9条」は戦争放棄や戦力の不保持、交戦権の否認を定めたもの。自衛隊の存在そのものについても「合憲」か「違憲」かをめぐり議論が鋭く対立した経緯があり、自民党は、一貫して改憲論議のターゲットとしてきた。調査結果は、自衛隊の海外での武力行使や集団的自衛権行使の歯止めとなってきた「9条」が、戦後日本の平和の維持に果たした役割を肯定的に評価する国民意識を示したものと言える。
年代別で見ると、どの年代でも7~8割程度が「役立った」としているが、若い世代ほど「かなり役立った」の割合が低くなる。70代以上では「かなり」と「ある程度」が37%で拮抗(きっこう)し、40代から60代でも「かなり」が30%台を維持するが、30代で25%、20代では20%に低下する。
特に、終戦時に10代前半だった70~74歳(「かなり」41%、「ある程度」35%)と、「団塊の世代」にあたる55~59歳(「かなり」40%、「ある程度」38%)では、「かなり役立った」の比率が高い。思春期に太平洋戦争やベトナム反戦運動を経験した世代だ。
また、「かなり役立った」と答えた人の中でも、47%が憲法改正に「賛成」と答え、9条についても21%が「変えるべきだ」と答えている。9条についての歴史的評価と今後の改憲論議はあくまで区別して考える層が存在することを裏づけた。
(後略)
つまり、若い世代では9条が「かなり役立った」とする率は低いのに、「変えるべきでない」という傾向が強いのだ。
反戦・非戦の未来志向と言ってもいいのではないか。
憲法9条は変えるべきでなく、世界にむけて通用する先駆性を持っていると、私は思っているが、変えるべきではないと思うけど憲法を語ることがダサい、運動なんて全然、と思っている若い世代にむけて、共感できる新しいメッセージとスタイルを発信していくときにきているとあらためて思う。
老舗の運動体や政党、どこかのエライ人が一般からみて知らないところで決めた、届きにくいメッセージやスローガンを連呼するより、フツーの感覚を持つ人たちがデザインや言葉など表現のプロとかみあいながら、開かれた形で発信していく。そんなスタイルが、「マガジン9条のブログ」では、「アピールのためのアイディア」(2005/9/23)や「アピールのためのアイディア(その2)」(2005/9/29)などとして、募集されている。
今日流れた「『マガジン9条』NEWS 2005年10月5日(水)vol.17」の、
(前略)
巷で話題沸騰のメッセージバンド。
貧困撲滅キャンペーンは、ホワイトバンド、
地球温暖化をストップするため、森を増やそうは、
緑のバンドなどなど。
ということで、先日の編集会議、
『マガジン9条を応援しています』のメッセージバンドは、
イカリングを腕に巻いてはどうかという意見が。
続いて
「いや、それだったら、オニオンリングの方がスマートでは?」
の意見に、「ほー」と、一同、感心しきり。
それに対して、「それって食べ物じゃないですか!」という、
ブレのない直球な、かつシラけるツッコミがなされるなど、
活発な編集会議の様子をお伝えしました。
バカでスイマセン!
(後略)
というあたり、なかなかじゃないですか。
イカリングとオニオンリングにかわるリングは思いつきそうにないけれど、アピールのためのアイディア、コピーなど、考えてみたい。
〔追記〕
マガジン9条「今週のツッコミ30」(2005/10/11)で、このブログ記事が紹介されましたー。
【ブログ内関連記事】
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毎日新聞が実施した世論調査で、憲法9条について「変えるべきでない」が62%を占め、「変えるべきだ」30%の2倍を超えました。 憲法全体について「改正すべきかどう... [続きを読む]
はい!!はい!!リングっていう名前はついてないけど、ドーナッツとかバームクーヘンもいいとおもう。
食べると幸せな気分になるし、お菓子は平和でなければ味わえないもの・・。
あーまたピンぼけー??
投稿: おりがみ | 2005.10.06 00:49