「小さな政府」って? ハイジとクララの名場面に想う
「小さな政府」の正体見たり、です。
おととい、このままの障害者自立支援法案では納得できないという趣旨で、国会議員要請行動に参加しました。
この法案、障害者の自立を支援すると言いながら、今までの理念をひっくりかえす内容です。
払える人から負担する応能から、払えない人からも負担させるor負担できない人は福祉がうけられない応益に、障害者福祉がなるんです。経過措置や減免があると言っても、原則は定率の1割負担です。
前の国会で審議中に衆議院が解散し、廃案になり、今回再び上程されました。
5月12日には6000人以上の(詳細こちら)、7月5日には1万1千人の障害者・家族が、このままでは納得できないという大行動を日比谷で行なったり、各地でもさまざまな声があがっています。この応益負担では現行水準は保てず、権利が侵害されるという点と、法案の策定段階や審議に当事者の声が反映されていないことで、大きな不安と怒りが広がっています。
通過した参議院の審議では「(福祉サービスは)買うもの」「それが新しい福祉の考え方」という答弁(後に撤回)もされました。
現在の状況、当事者の納得できないという動きは、こちらを。
国会審議でもその内容が明らかになってきています。
いまは、障害者が働く作業所や授産施設など通所施設では95%の通所者が無料。
法案の内容では、課税世帯の利用者負担が月29200円に。受け取っている工賃の平均は月7300円と言われていますから、負担の方が大きい障害者福祉になります。これでは通えないという人も出るわけです。減免でも12600円の負担に。
入所施設での減免適用でも、入所者が収入の中で手元に残せる生活費は月25000円となり、あとは負担を強いられます。
「小さな政府」って、税金のムダづかいがなさそうで、コンパクトで高性能ってイメージもありますが、障害者からもその支払い能力を原則問わずに負担を強いる政府って何なんでしょう。
厚生労働省によれば、障害者の年間の負担増は総計で700億円になるそうです。
法案の概要には、こうあります。
5 増大する福祉サービス等の費用を皆で負担し支え合う仕組みの強化
(1) 利用したサービスの量や所得に応じた「公平な負担」
(障害者が福祉サービス等を利用した場合に、食費等の実費負担や利用したサービスの量等や所得に応じた公平な利用者負担を求める。この場合、適切な経過措置を設ける。)
いまの与党がすすめている「小さな政府」って、私は愛せません。自民党にどんどん似てきた民主党ですが、応益負担ではない対案を法案として提出しています。
愛国心をことさら強調する憲法に変えようという動きもありますが、
この法案は今週にも委員会採択・遅くとも週明けには成立という動きなんだそうです。
嘆きと怒りを感じますが、一言で言うとこんな感じです。
この国、ちっちぇえなぁー。
これが「小さな政府」でしょ。
この障害者自立支援法案を、あるイラストレーターが風刺して、数コマの漫画を描いてました。
設定はアルプスの少女・ハイジ。
立ち上がろうとする車椅子のクララを、ハイジが突き落としてしまう。
そんな展開だったように記憶しています。
大げさかもしれませんが、当事者は切実です。
選挙で選ばれた議員は新人が多く、自民党は296人のうち80人以上がそうです。法案とその影響を調べて審議をしているのでしょうか。
法案が国民に知られているか、世論調査をした新聞社はどれだけあったでしょうか。
私たち健常者も、いつ障害者になるかもわかりません。子どもがハンディを抱えて生まれるケースもあるでしょう。応益負担に耐えられますか。
小さくなっているのは、政府だけではないのではないでしょうか。
なんか、人々の気持ち、どんどんちっちゃくなっていませんか。
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» いいえて妙『小さな政府大きな権力』 [とほほブログ]
いまでこそ、ネオリベラリズムの代名詞となっている「小さな政府」であるが、この発想自体は、リベラリストとして反動的に「反・小さな政府」を掲げるのは安易である。元々は権力を中央に集中させず地方に分散化させ国家権力の縮小、により権力の暴走を回避しようとするもので、国家が国家として賄わねばならないものはそのうちにとどめておくべきとして、では『国家が賄うものべきとは?』の議論途上にあったものである。
こ... [続きを読む]
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