都内の認可保育園の配置はぜいたくですか
9月の末あたりから、東京都の保育施策をめぐって、さまざまな動きが急速に起きている。私立保育園への人件費補助については、昨年度から経験豊かな職員を抱える施設ほど運営が厳しくなるものとなり、経過措置期間として、補助金の多い施設では削減が続いている。
今回は、国の基準に上乗せしてきた人員配置など(都加算事業)、つまり都としての基準をあいまいにし、お金は保育所に出すのではなく、区や市に分配して、使い道は自治体が決めなさいというものにしようというもの。来年4月からやりたいと動いている。
認可保育所への加算・配置を削る自治体も出て、格差が広がる。認可保育所を利用していない子育て家庭への支援もその枠から捻出すればいいという姿勢で、何が少子化対策・次世代育成支援なのか。認可保育所の人員配置を削って、他の子育て事業へという論理が、都の審議会の中であまりに露骨な表現で示されたことはまた詳しく明らかにしたい。
この関連で忙しくなっていることもあるが、近々長めのレポートをこのブログに書いてみたいと思っている。
ネット上では、この問題を取り上げているものはほとんどないようだ。草の根型の運動だけでは間に合わないスケジュールになっているなか、保護者本位のネット発信も求められている。
●武蔵野市議・川名ゆうじさんのblog記事「子育て支援交付金は疑問だらけ」
は、資料も添付して今回の都の動きについて的確にポイントをついている。
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子育て支援課で計画したものでなく、認証保育所の制度設計をされた方がこの政策を作ったというのが、なるほど、と感じているところです。子どもの権利条約第3条の「子どもの最善の利益」という考え方はかけらもないようにに思います。
10月に二人の国連子どもの権利委員会の委員さん(ドゥック委員長、クラップマン委員)が来日され、全国を講演して回られました。そこで紹介された、国連・子どもの権利委員会のGeneral Comment No. 7 (2005)は、乳幼児期の子どもの権利について書かれていまが、その第9パラグラフで、差別に対する権利について書かれています。
「政府は、家庭、地域、学校、その他の施設で、差別がどのような形であり、どこで行われているのかを調査し、根絶する責任を持つ。乳幼児のためのサービスへのアクセスに対する潜在的な差別は、特に配慮されるべきである。特に、健康教育や福祉、その他のサービスが行われる場所はどこであってもアクセス可能で、公共、私的、慈善事業の組み合わせとして提供されるべきである。最初のステップとして、委員会は、政府が、子どもの家庭背景や状況のさまざまな違いによって生じる問題について、乳幼児の生存や発達に関わるサービスの可能性とそのアクセス状況に問題がないかどうか、構造的なデータ収集を通してモニターすることを求める。次に、可能なサービスからの恩恵をすべての子どもが平等に得られることを保障する行動が必要である」
このことからすると、保育園の待機児が0とされるのでなく、増え続ける実態は条約の批准国、すなわち、締約国であるのなら、許されざることと思っています。なお、待機児カウントの新定義、つまり、認証保育所受け入れ分等を差し引いた待機児数では微減となったりしていますが、それも、「可能なサービスからの恩恵をすべての子どもが平等に得られる」という考え方に反したとりくみによってということと思います。
投稿: SASKE | 2005.11.15 00:34
あいつらばっかり良い条件で子育てしてるの、ずるいと思わない?引き摺り下ろしてやりましょうよ!!・・・・・と、たきつけてきてる気がします。「ねたみ」「嫉妬心」を上手に使ってくるなぁ。
「引き摺り下ろしたつもり」が、実は全体的な質がどーんと落ちている事に気がついたときはもうおそいっちゅうに・・。
こども、ますます生まれない世が続きますわ。
投稿: おりがみ | 2005.11.15 09:03
トラックバックありがとうございます。
SASKEさんがコメントしているように子どものこと最善に考えているとは思えませんね。
認証だって本来は認可であるべきなのに、目先の待機児をなんとか下げたいとの思惑で考え出した制度ではないでしょうか。
「認可保育園の配置はぜいたく」ではなく、当たり前のこと。
もちろんコスト削減の努力は必要ですけど、他の施策が低すぎる、と思っています。
投稿: 川名ゆうじ | 2005.11.15 22:16
川名ゆうじさま。
>認証だって本来は認可であるべきなのに、目先の待機児をなんとか下げたいとの思惑で考え出した制度ではないでしょうか。
待機児0作戦、特に新定義による評価のうえでは、役に立ったと思います。
僕の娘は、2人とも無認可保育園で過ごしました。認可園の2倍から3倍の保育料を払いながらです。その保育園の運営を応援する気持ちからも、認可園を希望しなかった、というより、延長保育の実施に公立園が消極的、つまり、市が消極的であった結果として、多重保育を避けるためにも、無認可園の選択しか、僕とつれあいの働く条件のなかではなかった、と思っています。認証保育所は、僕ら夫婦にとっての必要条件を満たしています。しかし、東京都と市の補助金も得ながら、なぜ、認証保育園は無認可園と同等の高額保育料を父母が負担しなければならないのでしょうか。多様化するニーズに対応するものとしての保育サービス。認可園にあぶれる、つまり、待機児とされると、子どもの預け場所を確保するためにまったく別の料金体系のところに預けなければならなくなるというのはどうしてなのでしょう。都と区市町村で負担すべきは、親が、負担することになっている認証保育所の保育料と、認可園の保育料の差を埋めるまでの額を負担する、そうして初めて、親が自由に選択できる制度となるのではないでしょうか。それどころか、国の認可基準を満たしていない分、制度として劣っている分、親には安く提供されるべき、当然その差額をも都と区市町村は負担すべきそうした制度であると思っています。
>「認可保育園の配置はぜいたく」ではなく、当たり前のこと。
そうですね。
>もちろんコスト削減の努力は必要ですけど、他の施策が低すぎる、と思っています。
一般論としての「コスト削減の努力」はもちろん必要ですが、福祉の分野は、人件費以外でコストを削減する余地が少ない分野だと思います。人件費コストを削減するとサービスの質低下が避けられません。
投稿: SASKE | 2005.11.15 23:19