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2005.12.03

81%が30人以下の学級規模を求めている

 日本では東京都と香川県だけ。他の道府県は30人学級など少人数学級を実施しているか、踏み出す方針を明らかにしている。47分の2、その1つが石原慎太郎都知事率いる東京都。

 この件については、過去にもブログで書いてきた。

30人学級は、「共産党のごくごく限られた支持者の意見」?(2005/3/9)

 石原知事の姿勢はこうだ。

「教育委員会が、児童生徒が集団生活の中で社会性を養うという観点から、生活集団としての学級について一定規模が必要であるとする点については全く同感でありまして、学級編制基準を四十人とする教育委員会の判断は、ごくごく妥当である」(2005/3/1都議会代表質問での知事答弁)

 さらに、詳しくみていくと。

 当時の横山洋吉教育長(現副知事)も、習熟度に応じた少人数指導は行うが、学級の規模は40人基準を堅持するという姿勢を示した。

 都議会公明党の野上じゅんこ都議は、3月15日の予算特別委員会で、少人数指導の重要性を説く一方で、30人学級については、

 「人数が少なければ少ないほど実務量が減ってまいります。したがって、学校現場の先生方は、三十人学級には大賛成です。その方が楽だからです。」と言い切った。

 教師が楽だから30人学級を実現させたいのか。。。

 この質問の中で、学級あたりの児童・生徒数が明らかにされている。

 「東京都は、四十人を上限としている小中学校の学級編制を行っていますけれども、実際の一学級当たりの平均児童生徒数は、何と小学校で三十・七九人です。三十・七九人。中学校では三十六・六三人ですが、また、三十人以下の学級数も、小学校では、全体の四四・五%はもう既に三十人以下の学級になっているということです。」

 小学校では44.5%は30人以下というが、55.5%は31人以上ということになる。また中学校の30人以上の割合はデータとしてここで示してもいない。

 子育て環境が厳しくなるもとで、1人の教師が30人以上もの小学1年生を十分に担任することができるだろうか。このところ、小学校1年生が事件に巻き込まれるケースが目立っているが、その子が入学して数ヶ月のなか、この子はこんな子だったとどれだけ説明できるだろうか。

 今日12月3日の朝日新聞別刷り「be on saturday」「b-usines」にある「be between」(テーマ:義務教育)が興味深い。拡大できてわかりやすい。

 8400人のモニターを対象に、「国庫負担金を減らすと義務教育はどうなる?」と聞き、2745人が答え、その約半数は「悪くなる」と答えている。国が教育をどうすべきかという論議が深まらない中、数字あわせだけですすんでいく「改革」。

 コスト削減をただ追ることは、人を育てていくことやこの国の将来の設計の偽造やミスにつながるのではないかと、私は思う。

さて、学級規模の話に戻る。この記事ではグラフにはないが、望ましい学級規模の調査にふれ、

 (中略)小学校で望ましい1クラスの児童数は「26~30人」が37%で最も多く、「21~25人」「16~20人」と続きました。30人以下の選択肢を選んだ人が81%を占めました。現在、国の基準は40人学級で、少人数学級を進めている地域でも35人が主流ですから、教師の数はまだ満足とはいえないかもしれません。

 と結んでいる。30人以下の学級規模を81%が求めているなかで、都は40人以下ならいいんだと突っぱねていることになる。

 「教師の質に不満」は全体の6割にのぼったことは同感だが、人事考課の導入など、教職員にのみ「努力」を迫るのは誤りだと思う。中学時代に授業ボイコットも経験した私は、教職員の質という点では、そもそもの適性を問うシステムが必要だと思う。ただ、公的な教育分野での人事考課では磨きあいにならず、上から下への圧力が強まるだけで、解決にならない。

 学級規模の見直しをまったく視野にいれずに拒否しつづけ、「改革」を掲げる東京都の教育行政に、私は未来の明るさを感じることができないでいる。

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コメント

東京都の先生がよく言われます。
石原知事になってから、やたら文書の提出が増えて、授業の準備や子ども達とふれあう時間がとれないと。力量のある先生達にしてこれです。
問題が教師にあるとばかりは言えませんね。

昔、幼稚園の先生に聞いたのですが、学級の人数は、一クラスに何グループかできる人数がいれば、集団指導に支障はないそうです。
20~30人もいれば、集団活動にも十分な人数というわけです。
学級の人数を減らさないのは、予算を削りたいだけとしか思えません。

加えて、子ども達は一人ひとりが以前より手が掛かるので、一人の先生が
40人を見るのはそうとうな負担のはずです。となれば、質の低下を免れません。

教育予算を削るのは、将来のことを考えていないとしか思えません。

「地方の時代」と言われますが、こういう意味でも地方の時代かも。
質の高い教育は、東京都よりも地方と、ね。

神奈川県横浜市も東京都区内に似たようなもんで・・。

校長先生にとって、年度末前後の生徒の人数の増減は「心臓に悪い」ようです。
クラス担任は勿論ですが、クラブの顧問の確保も「ひーこら」いってます。

教科もクラブも生徒指導も「きめ細かさ」が求められている時代に、増員しないんですからねぇ・・。

教員の増員は大賛成ですが、今のクラス担任制で教員が子どもの全人格を把握するような制度(担任が子どもを管理する垂直的な関係)のもとでの増員は意味がいなと思っています。
隣組制度のようなクラス制度自体を見直すことも合わせてやらないと、管理強化にしかならないと思います。
保育所はもっとチーム保育をやっていますよね。誰が担任だ責任だというより園として対応していますよね。保育よりドライな部分が多い教育で、どうしてあんたクラスの子だろ、とかそういう不毛な統治論しか出てこないのが疑問に思っています。
おりがみ様、クラブの顧問を教員がやることにいつも疑問です。向いていればいいと思いますが、教員がもっとやるべき仕事があるだろうと思います。地域で専門的に活動されている人を活用できないものなのでしょうか。

>クラブの顧問を教員がやることにいつも疑問

うん、そうかも。でも、一方で専門屋さんに何もかも委ねていいのか?って思います。特に、運動部は。体罰とか、勝利至上主義とか。
ああ、ごめんなさい。うまくまとまんない。

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