テレ朝報道企画責任者が「選挙報道を考え直さなければならない」と総括
日本ジャーナリスト会議(JCJ)の機関紙「ジャーナリスト」の12月号(2005.12.25)が、12月8日に開かれたJCJ創立50周年12・8集会「改憲、強権、再編…この1年 小泉政治の行方とメディアの責任」の模様を伝えている。
私の恩師でもある亀井淳JCJ運営委員は、進行の冒頭挨拶で「今年は日本が鋭角的に大きな曲がり角を曲がった年」と表現したという。
司会の北村肇・「週刊金曜日」編集長がメディア現場の状況を、長元朝浩・沖縄タイムス東京支社長、半田滋・東京新聞社会部記者が米軍再編について報告。私はこのイベントに参加ができなかったのだが、紙面で目についたのは、この後に発言した角南(すなみ)源五・テレビ朝日報道局報道企画部長の9・11総選挙とテレビについての発言だ。
保坂義久氏の署名記事によれば、
「(前略)自民党は初めてコミュニケーション戦略チームを設けてメディア対応した。それに対し民主党は代わるものを打ち出せなかった。自民党は次々と刺客など話題を打ち出し、自民党のお家騒動にした。お家騒動は人々の関心をひく。人々が関心を持つものを、我々は放送する。自民党がワイドショーの飛びつきやすい材料を投げていった結果、露出が多くなった。小泉首相の戦略が巧みだった。今回の選挙は小選挙区比例代表制の実態が初めて出てきた選挙と思う。テレビの今までの選挙報道を考え直さなければならない。(後略)」
などと語ったとされている。
私は今の政治の大きな流れに疑問・異論を持っているが、メディアすべてを、またそこに関わる人のすべてを同列視して批判する気はまったくない。
「小泉劇場」が流行語大賞になった2005年を私たち一人ひとりがきちんと総括し、その選挙結果によって引き起こされていく事態を逃げることなくみつめて、判断していくことが有権者の責任だと思う。
その上で、個々についてのメディア批判をしつつ、鋭い記事や番組についてはエールを送るなどをして、メディアの最前線の現場を励まし、刺激していかなければいけないのではないだろうか。
テレビ局の報道企画局の責任者の言葉をすべてそのまま信じるつもりはないが、「選挙報道を考え直さなければならない」という姿勢に希望を持ち、私なりのメディアチェックをしていきたい。
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Standing Tall
タイム誌「今年の顔」として、アジアのニュースの顔と紹介したのが、我らが小泉純一郎総理大臣です。リード文では、日本人を鼓舞し、アジアでの緊張関係を作った演出巧みな政治リーダーとしての紹介を受けています。確かに、「小泉劇場」と形容される彼の手法は、国民の同情や共感を誘い、みずからを変人から英雄に仕立てあげました。都合のいい簡潔な表現で、政策を語っている様を、誰かが「ペテン師」と呼んでいましたが、国民はそう受け取らなかったようです。彼の政策は、... [続きを読む]
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