勝ち組、負け組、言葉の持ち出し方を問う
勝ち組、負け組。
2005年、この言葉があふれた年でした。
ホリエモンなど、巨万の富を得て、従来型の古い企業家や風土を斬って勝ち上がっていく姿をよしとする風潮がつくられていきました。
フリーター・ニートを意欲のなさの象徴として叩き、勝ち組に光をあてる一方、陰の部分はみないようにする、そんな傾向があらわれたと感じています。
私は、構造改革・規制緩和によって生活が成り立っている人たちがいるなかで、100%悪い部分で占められているとは思いませんが、それによって非正規雇用が増え、全体として生活不安・低収入状況が広がっていることは事実としてあると思っています。
ところが、ニート・フリーターの代表を自称する杉村太蔵くんはブログ記事で、
「ニートやフリーターが近年急増した原因は単に景気が悪かったからというのは乱暴でしょうか。」「ニートやフリーターを生み出した原因は何か?と聞かれたら、杉村太蔵は迷わずこう答えます。日本経済が不景気だったからですとね。」
などと、景気がよくなり、さらに若者がやる気を出せば、ニート・フリーター問題は解決するという立場です。景気がよくなっても、非正規雇用が主流という構造を変えないと改善していかないと思うのですが。
格差社会の格差が広がるもとで、勝ち組、負け組という言葉が使われるだけでも、どれだけの家庭に寒風が吹き付けられていることか。
メディアは、その根源に、光をより輝かせるために陰をおもしろがったりしていないか。また、陰を見ないことにしていないか。そう思います。
そんななか、日刊スポーツ記者コラム「見た 聞いた 思った」の「明快な表現こそ慎重に:山内崇章」(2006/2/1)は、「勝ち組」「負け組」という表現の持ち出し方に警鐘を鳴らしています。
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» [時事]『待ち組』という戦略 [島内日記]
わたしは格差が出ることは悪いこととは思っていない。(中略) 貧困層をなくす対策と同時に、成功をねたむ風潮や能力のある人を引っ張る風潮は厳に慎んでいかないと、社会の発展はない。 (小泉純一郎 1日午後の参院予算委員会にて) 国会で構造改革がもたらした「格差社会」への批判が噴出していますが、この「構造改革」を推し進めるために、小泉内閣は様々な「対立」をつくり「分断」をはかってきました。 「公務員vs民間」 「現役世代vs高齢者世代」 「サラリーマンvs自営業」 「働く女性vs専業主婦」 などなど、... [続きを読む]
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