映画「スタンドアップ」 立ち上がるということ
以前から気になっていた映画「スタンドアップ」。
10日、昼休みにネット検索したら、この日が都内での公開最終日だと知って、仕事のあと、あわてて映画館へ。
夫の暴力に耐えかね、二人の子どもを連れて鉱山へ。「男の職場」では、男女比がこの1989年で30対1。男社会の会社ぐるみの圧倒的な力関係で、屈辱的なセクハラがエスカレートしていく。
被害者の女たちは絶対少数のなかで、立ち上がれない。告発しようと動くと嫌がらせは強まっていく。社長ら役員への直談判、多くの男の前での問い詰め、同僚の女性への告発説得…。正義は「保身」の前に、もろくも崩れていく。
それでも、プライドをかけて、法廷へ。全米初のセクハラ訴訟。孤独な告発には原告3人が必要とされ、また道は険しくなる。
「保身」に走ることで、本当に身を守ることはできるのか。何が正しいのか、そのために人は立ち上がれるのか。法廷場面の最後の「スタンドアップ」に至るまでの勇気と葛藤と決断。この映画は大切なものがたくさん詰まっている。
北米の鉱山に初めての女性労働者が雇われたのは1975年、私の生まれた年だという。その14年後の事実をもとに、丁寧にリアルに展開していく。
2006年、初めての映画は、私に貴重な、歴史的な「スタンドアップ」を教えてくれた。
公開最終日の最終回、席は1割ほどの入りだった。立ち上がるために必要なことは?と思い返しながら、私は席をあとにした。
R-15指定のこの映画、社会に出る前の高校生や大学生にもぜひ観てもらいたい。保身に走りがちな、私も含めたおとなたちも。
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» スタンドアップ/北への挑戦 [マダム・クニコの映画解体新書]
原題は「 North Country 」。北の帝国(家父長制資本主義)に対する、南の国から来た移民(弱者=女性)の異議申し立てがテーマ。
原作は、米国で1984年に訴えを起こし98年に結審、「セクシャル・ハラスメント法」制定のルーツとなった訴訟に基づいている。
スタンドアップ
主人公のジョージーは、家父長制資本主義の犠牲者だ。
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