映画「白バラの祈り」 強さとは、生きる意味とは?
朝イチで観ようと思っていたのに、二度寝して間に合わず。昼食用におにぎりを2つ握り、2回目の10分前に間に合った館内で急いで食べた。その消化がすすまない映画だった。
※以下、ややネタバレあり。
「スタンドアップ」、「ホテル・ルワンダ」とともに観たかった映画が「白バラの祈り‐ゾフィー・シェル、最期の日々」。
舞台は1943年のドイツ。戦況は劣勢。市民は後退ムードを感じつつも、独裁者ヒトラーは全面戦争政策をとり、しめつけを強める。
21歳の女子学生、ゾフィー・シェルは独裁者ヒトラー打倒を掲げて戦争終結を求め、兄や仲間と活動する。仲間に反対されるものの、兄妹はビラを学内の各所に配り置こうと実行する。あと一歩のところで用務員に見つかり、逮捕される。
信念と正義の行動の裏にある恋人との愛、兄や仲間との信頼、親からの教え。被害が恋人や両親などに波及することを心配しながらも、尋問室や法廷での彼女の表情はたじろがず、正義をそのまま体現する。
後半は、館内ですすり泣く声がたえることはなかった。
抵抗とは、単に自分を守ることではない。正義と良心を掲げ、不当な力に屈せず、自分と大切な人を信じ、日常を守り生きていくこと。自らの信念を、言動で発していくこと。
「抵抗勢力」「抵抗運動」「反対のための反対」…。真にあるべき姿が見えづらいなか、逆に本来の抵抗を貫くことが求められてはいないだろうか。
生きること、その強さとは人々の良心を信じること、それを体現することにあるのではないか。いま、「戦争をする国」への段階が少しずつすすみ、また「愛国心」を求めて権力が強まろうとする傾向があるなか、彼女の強いまなざしに、深く考えさせられた。
90年代に明らかになった法廷資料にもとづいて展開したこの映画は、ストーリーとともに作品中の光と影の調整も絶妙で、暗黒時代と正義としての太陽を象徴的に表現する。
都内では、3月24日までシャンテシネ(日比谷)で、25日から新宿武蔵野館で公開。
【ブログ内関連記事】
« 春、さくら、ブログデザインも | トップページ | イラク戦争から3年 日比谷で銀座で考えた »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 「女子アナという職業はない、アナウンサーという職業があるだけ」という言葉と過去を踏まえてジェンダー平等を考えあいたい(2022.07.03)
- もし自分の職場でハラスメントが起きたら… 映画「ある職場」(2022.04.23)
- わすれない~原発と牛飼い それから~(2013.02.24)
- キ・ボ・ウ~全村避難 福島県飯舘村二年の記録~(2013.02.10)
- 福島の女子高生の叫び、農家の今 2つのドキュメンタリー(2013.02.01)
コメント