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2006.04.08

「改革を止めるな」という改革をすすめてきた会議に議事録もない

 小泉さんやそのブレーンたちは、規制改革をおこなえば、タクシーの需給調整(台数規制)や料金体系の緩和により、競争でサービスがよくなり、価格も下がって、利用者にとって大きなメリットが得られるといってきた。

 で、その「改革」がすすめられたいま、どうなったか。

 新聞各紙がその実態を伝えるようになったように、台数とともに生活保護水準以下のタクシー労働者が増え、また異常な競争でタクシー会社も経営に苦慮し、労使がその「改革」にストップをかけようとしている。

 毎日新聞がその現場での影響を報じている。

 この記事は、規制改革と格差社会の最前線の実態と、その先頭に立ってすすめてきた総合規制改革会議と後継組織の規制改革・民間開放推進会議の動きを伝えている。

 記事によれば、介護ビジネスに参入している居酒屋大手チェーンの「ワタミ」グループの渡辺社長は、この教育・研究作業部会の委員に内定していたが、学校経営の規制緩和による株式会社の参入については「株式会社は利益の株主還元を優先するため不適当」とする持論を変えなかったために解任されたという。

 先に結論ありきで、異論は徹底して排除する。まさに「改革を止めるな」といったところか。

 今後さらに、保育所制度の自由化、保育・教育分野へのバウチャー(利用券)制度の導入、病院・学校経営の株式会社参入などがねらわれているが、そもそも会議でどのような論議がされてきたのか、その過程が非常に重要だと思う。

 ところが。。。

◆総合規制改革会議:設置法で定めた議事録作成せず(2006/4/5毎日新聞)

 規制緩和を推進するため内閣府に設置されていた小泉純一郎首相の諮問機関、総合規制改革会議(議長、宮内義彦オリックス会長)が、内閣府設置法に基づく規則で定められた議事録を作成していなかったことが分かった。毎日新聞の情報公開請求に、内閣府が「作成していない」として、不開示を決定した。公表されているのは発言者名のない議事概要だけで、規制緩和の政策決定過程が検証できないことになり、ずさんな会議運営が問われそうだ。

 同会議は01年4月、内閣府設置法に基づいて設けられ、構造改革特区の創設を提言したほか、約900項目の規制改革を首相に答申した。04年3月末で廃止され、宮内会長が引き続き議長を務める現在の規制改革・民間開放推進会議に役割を引き継いだ。

 毎日新聞は3月2日、規制緩和の検討内容を調べるため、情報公開法に基づいて計6回分の議事録の公開を請求した。これに対し、内閣府は「当該文書を作成しておらず、保有していない」と不開示を決定した。

 内閣府設置法の総合規制改革会議令に基づく同会議運営規則は「議長は議事録を作成し、一定の期間を経過した後に公表する」と定めている。

 内閣府の担当者は、3年分すべての議事録を作成していなかったことを認めたうえで「議事録を作成する担当者を置いておらず、当時の職員に聞いても記憶があやふやではっきりしない」と説明している。一部は手書きの速記録があったがテープは残っておらず、議事録を作成し直すことは不可という。

 堀部政男・中央大法科大学院教授(情報法)の話 きわめてお粗末な話だ。規制緩和は国民の関心が高く、会議でどういう議論があり、メンバーがどう発言したのか議事録に残し、検証される必要があった。作成しなかった原因を政府として究明し、同様のことが起こらないよう努めるべきだ。

 テープも録ってないし、最初から議事録をつくるつもりさえなかった。この総合規制改革会議を引き継いだのが今の規制改革・民間開放推進会議。前身の論議過程が十分に示されない、示せない中で、「改革を止めるな」と言われても。

 誰が何を言ったのかわからない、覚えてない。まるで居酒屋での飲み会。

 官製部門を崩して、とにかくビジネスターゲットにしたいという人たちが居酒屋トークで方向性を決めてきた、ということか。

 小泉さんのすすめる規制改革の中心となってきた会議に、議事録さえないという事態。お粗末・インチキ改革の象徴ではないか。このエラーがわかった今、そのプログラムを強制終了し、再起動してやり直すことが必要ではないだろうか。

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コメント

こんにちは。記録もないなんて、ひ、ひどいですね。思わず一言コメントでした。ではでは。

これでは政府の正式の活動とはみなせないのでは?費用の返還を求める裁判などの可能性はないでしょうか.

ほんとにひどい内情だったということですよね。規制の緩和・廃止をさまざまな分野に圧力をかけながら、自らの会議の規定も守っていかなったと。わかっててやってたことは明らかですからね。

何かしらの方法で抗議の意思を示したいと思っていますが。

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