「父と暮せば」の黒木監督、最期の作品を撮り終えて・・・
「黒木監督の熱さ、優しさ、強さがいっぱい詰まった『父と暮せば』は私にとって大きな大きな宝物です。今でも『ヨーイ! スタート!』と、監督の元気なお声が心に響いてやみません。亡くなられたのは悔しいけれど、どうぞゆっくり、のんびり休んでください」
映画監督の黒木和雄さんが12日に亡くなり、2004年公開の映画「父と暮せば」に主演した宮沢りえさんはこのようなコメントを寄せている。
生き残った人のうしろめたさを見事に描いたこの映画が2004年から被爆60年の2005年にかけて幅広い反響をよび、それまで黒木監督のことを知らなかった私のような人も含めて、黒木作品にふれることができた。
岩波ホールでの公開初日の舞台挨拶で、宮沢りえさんや原作の井上ひさしさんらとともにそのオーラとメッセージを感じることもできたし、再上映でも挨拶に見え、著作へのサインもいただいた。
また、戦争体験者でもある監督は講演などのなかで憲法9条をめぐる動向などにもふれ、「傍観してきたことに悔しさを感じる。9条を変えたら憲法は死滅する」などと語ってきた。
【関連ブログ記事】
・「9条変えたら憲法は死滅する」黒木和雄監督が講演(宮崎) Internet Zone::Movable TypeでBlog生活(2005/2/1)
最期の作品「紙屋悦子の青春」(公式ホームページはこちら)は、原田知世さん、永瀬正敏さん、松岡俊介さん、本上まなみさんらをキャストに撮り終えて完成していた。8月12日から東京・岩波ホールで公開される。
【報道記事】
・映画監督、黒木和雄さん死去…「紙谷悦子の青春」遺作に(サンケイスポーツ2006/4/13)
・黒木和雄監督死去…8月公開「紙屋悦子の青春」待たず(スポーツ報知2006/4/13)
・黒木和雄監督 最新作完成後の悲報(スポーツニッポン2006/4/13)
・映画監督の黒木和雄さんが死去(日刊スポーツ2006/4/13)
【ブログ内関連記事】
・映画「父と暮せば」、DVDが6月24日発売(2005/6/3)
・映画「父と暮せば」再上映、ありがとありました(2005/3/6)
・「父と暮せば」黒木監督、8万8千羽の折鶴を手に広島へ(2005/2/12)
・2004年をふりかえって、ありがとう(2004/12/30)
・映画「父と暮せば」2005春再上映(2004/12/24)
・「夕凪の街 桜の国」と「父と暮せば」(2004/12/18)
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» 黒木和雄 監督という人生 [残 照]
《 黒木和雄、フィルモグラフィー 》
血とダイヤモンド 1964パンチ野郎 1966とべない沈黙 1966キューバの恋人(キューバ国立映画芸術協会 合作) 1969日本の悪霊 (ATG) 1970竜馬暗殺 (ATG)1974祭りの準備 (ATG) 1975原子力戦争 Lost Love(ATG) 1978正午なり (ATG) 1978夕暮まで 1980風の歌を聴け 1981泪橋 1983TOMORROW 明日 1988浪人街 1990スリ 2000美しい夏キリシマ... [続きを読む]
» 映画「紙屋悦子の青春」、舞台挨拶にいってきた [tamyレポート]
戦闘機や爆撃のシーンは一切ない。「暗黒の時代」ともいわれる戦中にもあった、食卓 [続きを読む]
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tamyさん、はじめまして。
>「傍観してきたことに悔しさを感じる。9条を変えたら憲法は死滅する」
との言は、監督の遺志として、映画作品を通して若い人々に広く伝えられたものと思いたいですね。TBさせていただきました。
投稿: ペンギン | 2006.04.13 17:43
ペンギンさん、はじめまして。
スポーツ紙の紙面でも大きく報じられていました。DVDなどでいい作品は残り、ふれることのできる時代ですから、これからも生きた作品がさらに広く若い世代に伝わるといいなと思います。
投稿: tamy | 2006.04.14 06:58
Tamyさん、おひさしぶりです。
「紙屋悦子の青春」は先に開催された試写会で、すでに拝見しました。とても、しずかな、シズカナ作品でした。ぜひ岩波ホールでごらんになってから、感想を載せていただけるといいのですが。なぜなら、若い人たちが、どんな風に感じるだろう?とも思いましたから。
その日の会場には三木睦子さん(9条の会呼びかけ人の一人)の姿もお見かけしました。
ちょっと話題になりました「佐賀のがばいばあちゃん」という作品も、まだごらんになっていなければ、おすすめします。
作品の紹介などにはほとんど出てきませんでしたし、映画の中でもサラッと(見逃してしまうかも?..まさか)触れているのですが、主人公の少年の父ちゃんは、「広島で原爆症で死んでいる」のでした。だから、母ちゃん一人で広島の飲み屋で息子たちを育てきれず、佐賀のおばあちゃんのところに預けられたのでした。
もうひとつ、立て続けにみたのですが、「花よりもなお」(宮沢りえさんが出演でしたね)も、もうひとつの「忠臣蔵」を描いて、庶民から見た「仇討ち」を描いています。
これを観たとき「隠し剣鬼の爪」のちょっとした違和感....に対する こたえ のように感じました。
これって、とても いいっ! こんな世代が育っているって、とても いいっ!!と感じたのです。
「夕凪の街 桜の国」の情報ありがとうございます。楽しみにしています。見逃した、カーテンコールも観てみます。
それにしても、「M・I・Ⅲ」など観ると、アメリカって国のやってることの破壊的な部分を強調して娯楽にするってことの、すさまじさに言葉を失うほどです。トム・クルーズって、どんな人なのでしょう?
「紙屋悦子の青春」はそのまったく対極にある、、、つくりでした。
ようこそ@MayGreen
投稿: 「紙屋悦子の青春」試写会で観ました | 2006.07.22 21:12
どうも、ごぶさたしています。試写会、行きたかったです。。。いくつかあたったのですが。。。残念。
さて、「はなよりもなほ」は見逃してしまい、東京ではもうやってないんです。DVDになったら必ずみます。
トム・クルーズを私に聞くのはヤボヤボです。「紙屋悦子の青春」、観たら感想書きますね。
投稿: tamy | 2006.07.24 23:11