年金と自営と再出発と私
今年は「格差社会」の広がりがその存否も含めて、さまざまなメディアで取り上げられている。もう1つ目立つのは、来年から定年期に入る「団塊の世代」にかかわること。
年金支給開始年齢の引き上げにともなって、今春までに各企業は再雇用制度の創設か定年制の延長かという雇用環境の整備が義務づけられている。
60歳だった年金支給が65歳へ段階的にうつっていくことへの対応として、企業がその間を雇いなさいというもの。団塊の世代の退職年齢と関係してもいる。
私の母も団塊の世代。でも、会社員ではないので、一定の条件での再雇用や定年制の延長などの枠ははまらない。
私が生まれてすぐに離婚。その7年後に再婚し、5年足らずで離婚。再婚時期を除けば、小さな飲み屋をやりながらの母子家庭。
地方経済は厳しい上、小さなスナックにのみに行くようなつきあいも減っているご時勢、3年前に店をしめ、その後は貸していた。母はその後、ヘルパーや学生寮の食堂などで働いた。
以前に帰省をしたときに、母とその店に寄った。店を借りているママさんは、40歳前のとても綺麗な人だった。早い時間でお客がいないときに、少し話を聞くと、中学生の男の子と二人暮らし。母子家庭に支給される手当が他市より若干高いそうで、「息子と役所のお父さんって呼んでるのよ」と笑っていた。
そのママさんも3年足らずで店を閉めたようで、来週から私の母がふたたびお店をやることになった。報告をかねて開店案内が私に届いた。以前のようなスナックではなく、居酒屋風のお店らしい。
自営の場合は、国民年金と自力の多少のプラスアルファがほとんどだと思う。開始年齢が何の保障もないままスライドしていく。再雇用なんてなく、くいしばって働くしかない。大きな影響は厳しい経営を迫られている自営とその家族にくるのではないか。
「団塊の世代」や年金問題について、一般的とされるサラリーマン世帯の話は出ても、このような層のことはほとんど聞こえてこない。
年金の切り下げ、母子家庭への手当や生活保護の母子加算の縮小など、母子家庭や自営業者をめぐる厳しさは強まっている。これでいいのか。
母の再出発、そんなことを考えずにはいられない。
【関連報道記事】
・生活保護基準引き下げ続く 適切な支援探る時期(2005/12/9京都新聞)
・県内の母子家庭5年で36%増(2005/7/15東奥日報)※青森県の地元紙
◆母子家庭の年収は一般の4割弱…厚労省調査(2006/4/14読売新聞)
母親が働いている母子家庭のうち、母親が正規雇用されている世帯の割合は、2003年で39・2%と5割を割り込んだことが、厚生労働省が13日に公表した、「母子家庭の母の就業の支援に関する年次報告」の骨子案でわかった。同省では、景気後退による就業状況の悪化が主な原因と見ている。
調査は5年ごとに実施される。93年の調査では、母親が正社員などの形で働いている世帯は53・2%、98年は50・7%だった。
一方、臨時社員・パートの割合は31・3%(93年)、38・3%(98年)、49・0%(2003年)と増加している。母子家庭全体の平均年収は234万円(03年)で、一般世帯の589万円より大幅に少なくなっている。
【関連調査統計】
・母子家庭の生活の状況はこちら(PDFファイル)
※平成17年度版母子家庭の母の就業の支援に関する年次報告(厚生労働省2006/4/13)より
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