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2006.05.06

「若者は席を譲らない」って本当ですか?

 三十路って、体力なくなりますね。20代と年配層のハザマを意識して、このブログでも何度か、「今の若者は・・・」に対しての私の思いをつづっています。

 電車で化粧をする人、シャカシャカうるさい音漏れに気づかない本人…。確かに迷惑ですが、行動が目立つことでイコール「最近の若い人は・・・」という、一括批判になってないでしょうか。

 「若者は席を譲らない」って、ほんとでしょうか。

<妊婦>席を譲ってもらった相手は…女性67%、男性26%(毎日新聞2006/5/5)

 ベビー用品メーカーのコンビが、妊娠中の女性に「電車で席を譲ってもらった経験」をアンケート調査した。譲ってもらった相手の性別は女性67%、男性26%で、男女差のあることが分かった。

 3月1~14日、妊娠中の1074人がネットで回答。「妊娠中、電車に乗った際に席を譲ってもらったことがありますか?」の問いには「全くない」が44%でトップ。以下「たまにある」と「めったにない」が各16%だった。

 譲ってくれた人の年齢と性別(複数回譲ってもらった人は、最も多かった人)を印象で聞いたところ、20~30代の女性が33%で最も多く、40代以上の女性が29%で続いた。同じ年齢層の男性は、20~30代が15%、40代以上は7%だった。


 初めて譲ってもらった時の月齢は、7カ月が25%で最も多く5カ月以上が85%。担当者は「やはり、おなかが目立つと譲り始められる。男性は、自分が妊娠しない分、気付きにくいのでは」と分析。「しかし、おなかの目立たない妊娠初期の方が体はつらい。厚生労働省が発表したマタニティマークの普及など、環境の整備が待たれる」としている。

 この記事、焦点が性差にいってますが、年代ではどうでしょうか。

 20~30代の女性が33%なのに対し、40代以上は29%ですよ。男性でも、20~30代が15%なのに、40代以上は7%に過ぎません。

 この調査結果にどこまでの確度があるのかはわかりませんが、子育てのアフター世代は、座って当然、妊婦も立たせて見て見ぬふりをしている傾向が高いということにならないでしょうか。

 60代以上はやむを得ないにしても、元妊婦・子育て経験者としての年配層がそれほど席を譲っていないようです。

 40代以上の女性が妊婦に席を譲り、「妊婦は大変よねー。何ヶ月なの?」なんて会話になるケースや、シブかっこいいジェントルマンが「どうぞ」なんて言うことはあまりなくなったということではないのでしょうか。

 ホームに電車がとまって、ドアがあくかあかないかの段階で突入してきて、環状で1周1時間程度、実際には長くて30分程度しか乗車することのない山手線でさえ、何よりも空席をさがすお母様、夕刊紙を読んだり寝たふりをするお父様、「最近の若い人は・・・」なんて言ってる場合でしょうか。

 私が見る限り、年代によるマナー違反の差はそれほどありませんし、新聞の投書欄での若者に対するマナー批判は、実態を反映していますか。

 電車内での光景は社会状況の反映だと、私は思っています。急に若い世代のマナーが悪くなったのではないと私の確信はさらに深まったのでした。

【参照資料】

Combi Ninpu News 妊娠中の方へのアンケート 「電車の中で席を譲ってもらった経験に関するアンケート」結果 (コンビ・プレスリリースPDFファイル2006/4/13)

※これでブログ記事500となりました。

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コメント

こんにちは。ぼくも年代による差は無いように思います。

先日面白いことがあったので参考までに。

http://dorablue.blog51.fc2.com/blog-entry-328.html

ではでは。

いつもコメントありがとうございます。年代差のなさ、そうですよね。あたたかい光景をみる機会はそんなにありませんが、みるとほっとします。私もほかの乗客からどう思われてるんだろうって気になることも。。。

 電車ネタ、いくつめですか?

 なんて書いてる僕は、それらへのコメント、3つ目でしょうか。毎日、同じ時間の同じ電車に乗る人にとっては、その日その日の言動が、ある人物から見られている、と言うことを気にしなければいけないこともあるでしょうが、たまたま乗った電車の中では、その人の本性、地がそのまま出てしまう、と言う側面もあるんでしょうが、そういった場合に出会った他者との意思疎通は、やっぱり簡単ではないと思いますよ。
 今日は帰りの電車で、たまたま、僕の前の席が空いたので、座ろうと思いつつ、すぐ横に、若い女性が立っていたんです。どうぞ、と手を差し伸べて、譲ろうとしたのですが、相手の女性は、まったく反応せず、さらに、相手の意思確認を求める行為もなんだと思いましたので座りました。乗り換えのために降りた駅は、その女性と同じ駅でしたが、その間、ずっと、気分はよくなかったですね。

 逆の経験。これ、もしかしたら、以前書いたのかもしれませんが、子連れでの移動中、下の子が、眠くなって抱っこをせがみ、抱き上げた途端、席を譲る女性が現れました。僕ら家族との意思疎通を拒絶するかのように、険しい顔つきで、席を離れられました。お礼を言って子どもを抱っこして座るものの、「そんなにいやなら、せき譲らなきゃいいじゃない?」と、思ってしまいます。そもそも、席を譲ってください、とこちらからお願いしたわけでもないのに、何でいやな顔されなきゃいけないんだ! と言う気持ちになってしまいます。

 どちらの場合も、コミュニケーション不足によって、不快になってしまった僕の事例ですが、そもそも、席を譲る、といった余裕が持てないほどに、ぎりぎりの生活の中での一コマ劇場であって、日常的にはつかれきっているとしても、たまたま、もう少し余裕がある日なら、席を譲ることに負担感は少ない、ということもあるでしょうが、そうでない場合、お互いが余裕がない同士であれば、行き違いとなってしまう、それだけのことのように思います。
(それだけ、ってことではなく、効率を極限まで追い求めて、余裕を失った社会の病理現象、ということなのかな、と思います)

 原文は、ジェンダー差を問題にしていることを問題にされているように読みましたが、数字的には、きわめて明瞭にジェンダー差があらわれていますね。それぞれの年代の傾向は、tamyさんご指摘の通りではありますが……。
 ただ、ネットによるアンケートであること、そのことから、検討に値するデータについての記事なのかの疑問がまず浮かびます。それは、憲法9条の投票の件と同じことですね。

>この調査結果にどこまでの確度があるのかはわかりませんが、
 僕もそう思います。そもそも、譲ってもらった女性の目で、男女の見間違いは少ないとして、年齢、どう見分けているんでしょうね。女性の主観により、精度がどれほどのものか、疑問です。席を譲ってくれるような好ましい男性は、より若く見ようとしたり……。

 実際のところはどうか、というのはありますが、タイトルの問題意識は、そのとおりですね。
 でも、席を譲るかどうかが、このアンケート結果の明暗を分けるものですが、世代ごとの人口構成からすると、世代人口を分母として、席を譲らない、40代以上男性は、なぜ、それほどまでに、席を譲るという行為が出来ないのか、と言うことも興味の対象ではあります。育てられ方の問題から、わが子に対する子育てのかかわりから、様々な要素について、追試がしたいところでもあります。なによりも、正規職員比率も年代で大きな違いがあります。仕事でほとんどの生命力を奪われた人は、席を譲る余裕はないでしょう。そうした事情がどうなのでしょうね。条件を同じにして初めて、世代比較も可能なのでしょうが、どの世代がどう、とか、議論する以前に様々な条件により、世代論をやるには、元データのみでは不足である、というところではないでしょうか。

 久しぶりに拝見しました。お元気ですか。ブログ記事500本目、、とはすごいです!!ね。継続は力なり、、ですね。

 私は今年 おそらく十ん年ぶり?くらいに5月連休というものをすごしました。公式には4月28日が職を辞した日となりましたので、翌日29日は本当に何年ぶりかと思う自分自身の休日というものをすごしました。その日には小さな記事でみつけた「エドワード・サイードについての映画と大江健三郎氏による講演会」にいくことができました。内容はまたにして、九段会館をあふれさす満員の人々、そして若い方々が多数参加していたことが印象に残りました。
 あまり簡単にはいえませんが、祖国を失ったパレスチナ人として、ボーダーを越える、、とでもいうのでしょうか、そういったことを追求し、文学と音楽などを通じた分析と発言と行動で知られた知識人。エドワード・サイードについて、ようやく本を入手できたので、おくればせながらこれから読もうと思っています。
(アマルティア・セン「人間の安全保障」も、これからです。)
 ボーダー:国境、人種、宗教だったりするのでしょうが、そこに共通するものはやはり、非暴力ということなしにありえないものと思われます。

 このブログで一貫しているのも、子どもの視点によりそって(弱者であり、しかしこれからの可能性を秘めた人)からみた(貧困・福祉・教育・家族)への問題意識といえるのではないでしょうか?
 Tamyさんが、なぜこうした視点をもつことができたのか、、そのことをどうか大切になさって、深めてくださることねがってます。

 
(「スタンドアップを見たつながり」以来です)  
 

SASKEさん、いつもどうもです。
この調査の根拠をもって、世代論を断定することはできないと思っています。年代による格差はそれほどないと私は思っていて、先日も20代女性や私と同年代と思われる男性が年配の方に席を譲る光景を目にしました。
ただ、何かのきっかけがないと問題提起もできませんし、十分とはいえないまでも一定の根拠としてはいけると思ったので、またもや電車について取り上げてみました。

お久しぶりです。あまり元気は出てませんが、なんとか。いろいろとお世話になりました。

>このブログで一貫しているのも、子どもの視点によりそって(弱者であり、しかしこれからの可能性を秘めた人)からみた(貧困・福祉・教育・家族)への問題意識といえるのではないでしょうか?
 Tamyさんが、なぜこうした視点をもつことができたのか、、そのことをどうか大切になさって、深めてくださることねがってます。

ありがとうございます。私自身が弱い、つぶされそうな環境を基盤にしてきたということだろうと思っています。大切にはしているつもりでも、なかなか過去と正面から向き合えない、そんなこともやっぱりありますね。引きずったり、背負ったり、そんな荷物も財産も大事に深めていければと思っています。お体に気をつけてくださいね。

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