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2006.05.03

私と憲法記念日と若者と運動

 今日は憲法記念日。日比谷公会堂で開かれる「5・3憲法集会」に向かうところ。共産党と社民党の党首が同じ集会であいさつすることはほとんどないが、この集会では続いている。

 でも、何度か参加している私はあまりインパクトを感じていない。「改憲」への動きが強まっているにもかかわらず、スピーチをする人は従来の域を出ていないし、参加者のかなりの割合は年代の高い人々のはず。

 今日のテレビ欄をみて、驚いている。

 憲法関連の特集は、NHKの午前の午前の討論番組と、TBSの筑紫哲也のNEWS23ぐらいでしかないようだ。NEWS23は、村山富市元総理と筑紫キャスターの対談のようで、「戦争を知らない若者たちへ元総理と語り尽くす」「連休ながら各地で憲法論議沸とう」とある。

 沸騰しているという実感は私にはまだない。でも、まったく冷めているかといえば、そうともいえないと思う。

 「いまの若い人たちは、9条を変えてもいいと思っている」「戦争を知らない世代は改憲派が多い」などという、老舗の平和団体や労働組合のベテラン層の錯覚はどこまで続くのだろうか。

 今日の新聞報道をみて、あらためて考えた。

憲法アンケート:改正賛成の学生が半数割る(2006/5/3毎日新聞)

 憲法記念日に合わせて川島高峰・明治大助教授(政治学)が、明治、早稲田両大生を対象に憲法に関するアンケート調査を実施したところ、憲法改正に賛成と答えた学生は48%で、02年、05年の同様の調査と比べて7ポイント減少した。反対は18%だった。9条改正に対しては、賛成が前年比9ポイント減の37%となり、反対(39%)の方が上回る結果となった。

 調査は4月25~28日、川島助教授の講義を履修している明治大情報コミュニケーション学部、経営学部、早稲田大理工学部の720人を対象に実施。614人から回答を得た。

 憲法改正に賛成の学生は過去2回の調査ではいずれも55%だったが、今回初めて半数を割った。9条改正は前年は賛成(46%)が反対(35%)を上回っていたが、今回は逆転した。

 国際協力活動への参加については、「武力行使を伴わない活動に限定」が61%と高く、紛争地への関与そのものに「消極的・反対」も16%に上った。「武力行使を伴う活動への参加」を求めたのは13%にとどまった。

 川島助教授は「学生にとって改憲はタブーではなくなっているが、イラクの戦闘が長期化して米国への嫌悪感が広がっており、米国の軍事戦略に巻き込まれるとの懸念があるようだ」と分析している。【宮下正己】

 何か改善がされるのなら憲法を変えてもいいとは思う傾向はあるものの、「9条改正」は減っている。国際貢献についても、軍事的活動を肯定するのは8人に1人という状況だ。

 今日の朝日新聞は、世論調査結果を掲載した。

 憲法9条について、全体では「1項、2項とも変えない」は42%、「1項(戦争放棄)だけ変える」は9%、「2項(戦力の不保持)だけ変える」16%、「1項、2項とも変える」18%、「その他、答えない」15%。

◆憲法9条「変える」43%、「変えぬ」42% 世論調査(2006/5/3朝日新聞)

年代別の結果は次のようになっている。

20代    48  4  20  19  9

30代    47  7  18  20  8

40代    43  7  21  21  8

50代    41  9  16  21 13

60代    38 10  16  20 16

70歳以上 38 13  11  11 27

 「改憲」ムードの傾向はあっても、9条についてはより慎重で、しかも若い世代ほど「9条護憲派」が多く、特に1項の「改憲」には否定的な状況が見える。

 若干割合は違うものの、同じ傾向があることはこのブログでも指摘し続けている。

【ブログ内関連記事】

若者に多い「9条変えるべきでない」 共感できるスタイルをいま(2005/10/5)

 ただ、それを意思表示として署名や集会参加などの行動としておこなうことはまだ広がりがなく、消極的護憲派ということもいえると思う。

 クリックするだけの意思表示として画期的かと思われた「マガジン9条」国民投票の結果をみても、護憲的な意見への投票は圧倒的に少数で、積極的な護憲派の意見投稿(投票理由)もそれほど多く寄せられなかった。2つのIPアドレスから組織投票が護憲的選択肢に寄せられたことは残念で情けない限りだが、2ちゃんねるなどでのよびかけも含めて、「改憲派」のネット上での機敏さと力強さが証明された。

 一方で、この投票結果の年代別傾向は、前述の毎日新聞掲載の学生調査や朝日新聞の世論調査の結果とは大きく異なった。投票数は若い年代ほど多いにもかかわらず、護憲派的投票は少なく、逆に投票数が比較的少ない年配層で護憲の意思表示がされた。

 活憲などという言い方もされるようになったが、護憲派の発信力と積極性が問われる結果になったことについては、「マガジン9条」の「反省と感想。」に同感だ。

 「根性」「忍耐」「責務」などを土台にした、汗と気合に満ちた護憲運動でない、フツーの人々が関われる流れをどれだけ積極的にみんなでつくっていけるか。このような視点も必要だと思う。

 憲法記念日は、「私と憲法」を語っていけるまたとない機会。今の憲法のまま、あと何回この日を迎えられるかもわからない状況だ。

 危機感をあおるつもりはない。でも、「いまの若い人は・・・」的な決めつけと先入観からは何も生まれないどころか、「護憲」「活憲」などの運動に対する不信感さえ生んでしまうということを意識すべきではないだろうか。

 意識はあっても消極的だとして「運動」についてこないと責めたり説教したり、そう思っていなくても感じさせてしまう、やや上からの姿勢でなく、いっしょにすすんでいくためにどう考えあうかが大切なこと。

 ブログによる発信者は日々増えている。読まなくなったものもあるけれど、私の読むブログも増えている。でも、コメントやトラックバックやリンク先をみると、まだまだそんなに広がっていないように感じている。

 まだまだ発展途上。世論調査では私たちは少数ではない。私や私たちのメッセージが届いていない人たちはたくさんいる。広がりはこれから。

tamyレポートは、憲法記念日に限らず、

Keep9 9条を守ろう!ブロガーズ・リンクに賛同しています。

***

 【追記】

 思ったより若い年代が多かったです。批判ばかりと思われるのもイヤですが、中盤の歌や寸劇、「Qちゃんサンバ」も、もったいなかったような。寸劇もオチや構成が中途半端で毒も風刺もないし、時間をかけた「Qちゃんサンバ」も、私は共感できませんでした。参加者もノレてなかったような感じでした。

 年代年代ばかり言うつもりもありませんが、実行委員会の年代が高すぎるのか、「若さ」のない集会でした。

 スピーチなど、それぞれの発言はとてもよかったです。富山和子さんと韓国の李俊揆さんの話、長かったなぁ。集中力が持ちませんでした。日本語に苦労する外国人はしょうがないとしても、どんなにいい発言をしても時間などのルールは守ってほしい。時間も相当オーバーしましたが、富山さんは、いのちと9条を守ることが両立しない人を「分裂症」と表現する発言もありましたし、マナーとルールに対する配慮とやさしさがなければ、私は共感できません。

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コメント

若者の「改憲」や「9条」への関心をそがないように,今までの運動のありようを変えていくことは,かなり大事なことなのだと思います。戦争体験者でなくとも,発言ができるという自信をつけることもあわせて。なぜ,今までの形がうけいれがたくなってきたのか,tamyさんのお話しを読んでなるほどと思いました。いいことなら,ルールを曲げてもいいというような感覚は捨てたほうがいいですよね。正義を居丈高に叫ばず,でも話を伝えられるよう,私も努力したいと思います。

願いはじめまして。
TBの記事には書きませんでしたが、憲法改憲派が下げ止まったこと等、今、改憲反対の力は少し盛り返しているかな、と感じています。九条の会が5000に迫っているということもありますが、小泉のやっていることのメッキが剥がれ出しているのかもしれません。これからもよろしくおします。

TBありがとうございました。Qちゃんサンバや寸劇は、まるで幼児向け番組を見せられているようでした。ヌルいことこの上なく、見てるこっちが恥ずかしくなってくるほど。内心「早く終わればいいのに」と思ってしまいましたよ。一時が万事、こんな調子ではいつまで経っても、護憲運動はジイさんバアさんのものでしかありません。もっと若い世代が積極的に引っ張っていかないと。

KATEKさん、いつもどうもです。富山さんは特に上から下の話し方でした。教科書に著作が載ってきたとか、環境といえば私だとか、その上に、発言時間は明らかにオーバーで、スタッフから時間を過ぎたという紙が出てからも長かったです。集会の宣言もそうでしたが、引き継いで当たり前という臭いが強くて残念でした。新しい力がなければ、新しい流れは生まれない。その際、古さの一部を捨てる勇気がなければだめだというイメージを私は持っています。

KUMA0504さん、読んでいるブログの「お気に入り」でみつけてから、ときどきブログのぞかせてもらっています。改憲派は増えていますが、9条改憲派に限れば下げ止まっていることはそうですね。九条の会、私は1つも属していませんので実感としてはありませんが、ブッシュ支持率33%への低下や米軍基地問題の矛盾の深まりなど、9条の持つ意義があらためて見直されつつあると思います。

jinne_louさん、サンバと寸劇、私も恥ずかしい思いさえしました。これでいいのか。会場は納得しているのかと。組織内の余興としてやる分にはアリかもしれませんが、マスコミも取材に来る数千人を集めるイベントとしての「文化」に驚愕でした。 「感想用紙」も配られない中、どう総括するのか、身内の「よかったよ」で終わらなければいいのですが。内ばかりでなく、外を向いて発信しない運動は相手にされなくなるという危機感をもってもらいたいものです。せめて、「憲法集会」等でブログを検索して、反響をさぐって総括してほしいです。この手の集会はいつも参加する人が参加して終わり的なイメージがありますが、そういう時代ではないと思います。参加した人には、ブログや関連ブログのコメントなどで、憲法集会や憲法、そこに関係する思いを外に発信してもらいたいです。確か4000人くらい参加したそうですが、ブログ検索には関連記事に10人もひっかからない状況ですから。


TBおくらせて頂きました。
「憲法記念日」にTV報道の少なさ。話題性のなさに疑問を感じます。とはいえ、こんなに不安になるのも、「9条」改正案が出てから。

特に、若い世代がどう感じているか?は知りたい情報です。この日映画「日本国憲法」が無料でネット上映されていましたが、多くの若い人が観て欲しいと思いました。

pianocraftさん、どもども。映画「日本国憲法」のビデオ、私持ってます。完成記念のイベントで、初めて森達也さんや石坂啓さんの話を聞けたり、5月3日の憲法集会では、ユン・カーマン監督のお話も。世代論はひとくくりでは言えないものの、おいつづけていきたいと思っています。

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