一青窈さんのメッセージが破りとられて
今日のスポーツ新聞を読んで、驚かされた。
世代をこえて支持され、カラオケでも人気の高い名曲「ハナミズキ」で知られる歌手・一青窈(ひととよう)さん。彼女が戦争史跡でつづったメッセージが破りとられたという。
各紙で報じられた。
◆一青窈:戦争史跡でメッセージ破り取られる(2006/6/11スポーツニッポン)
歌手の一青窈(29)が大分県宇佐市の戦争史跡の感想ノートに書き込んだメッセージが、何者かの手で破り取られていたことが10日、分かった。宇佐市教育委員会によると、一青は4月18日、大分市での公演前に、太平洋戦争中の戦闘機の格納庫「城井一号掩体壕」を訪問。備え付けのノートに「たくさんの悲しいできごとが 消えて たくさんの花が咲きますように」などと記した。
同公演で一青が紹介したことから、ファンらが訪れるようになった。しかし今月9日、同県中津市の女性から「一青窈さんのページがなかった」と宇佐市教委に連絡があり、職員が確認。ページごと破り取られていた。
市教委文化課の林一也文化財係長は「争いのない世を願って書いた一青窈さんの思いに反する行為。自分から名乗り出てほしい」と話している。
5月31日の毎日新聞大分版は、この平和の願いがつづられたことを伝えている。
◆戦争遺跡:一青窈さんがメッセージ、平和願い記帳--宇佐・掩体壕 /大分
(2006/5/31毎日新聞大分版)
ヒット曲「ハナミズキ」で知られる歌手、一青窈(ひととよう)さん(29)が、宇佐市にある戦争遺跡「城井1号掩体壕(えんたいごう)」を訪れ、「見学帳」に「平和を願う」メッセージを残している。一青さんは4月18日、大分市でコンサートを開催。その前に、宇佐市の掩体壕を見学した。見学帳には「2006、4、18、 もっとたくさんの国中の たくさんの悲しいできごとが 消えて たくさんの花が咲きますように。 一青窈」と書かれていた。まるで「ハナミズキ」の歌詞のようなフレーズ。
関係者によると、一青さんは平和や福祉、環境問題に関心がある他「珍しい建築物」に興味があり、ツアー中はよくいろいろな施設に出かけるという。
見学帳には「ライブでこんな場所があると聞いて見に来ました」と、一青さんの大分ライブに行ったファンと見られる人の感想文も寄せられていた。
掩体壕を管理する宇佐市教委の担当者は「一青さんのライブを聴いて、ファンが掩体壕に関心をもったようだ。いつか宇佐で一青さんのコンサートを開きたいですね」と話す。
掩体壕は第二次世界大戦中、戦闘機などの格納庫として建造。城井1号掩体壕は戦争と平和を考えるシンボルとして95年、市文化財に指定され、史跡公園となった。
大分の宇佐市にある城井1号掩体壕。九州出身の私だが、この事件で初めて知った。検索してヒットしたなかで参考になった下記サイトを参照していただきたい。
毎日新聞大分版でメッセージ記帳の件が伝えられた日、一青窈さんは環境問題、特にクリーンエネルギーについて理解を広げるためのライブ「風のラプソディ」(日比谷野外音楽堂)に賛同する他のアーティストとともに出演していた。このことは報道で知っていた。
一青窈さんは公式ホームページなどによれば、慶応大学の環境情報学部卒。専門的な知識も踏まえて、社会へのメッセージを表現しているアーティスト。
2004年2月、名曲「ハナミズキ」の発売の際には次のようなメッセージを発した。
一青窈さんより「ハナミズキ」発売によせて
そもそもこの詩を書いたのは、911のテロの事件を受けて、でした。
何かもっと人と人はやさしさを交換できないものかなぁ、と。
つらつらつら、と
自分の周りにある平和を思ってみたら
そこかしこに転がってました。
例えば下校の時に友と時間を潰した二子玉川のドッグウッド(花水木)プラザ。明治45年当時の東京市長だった尾崎行雄、が
アメリカに桜を贈った返礼として贈られらたのが花水木。
ワシントンのポトマック湖畔は桜で彩られ
日本の家庭や皇帝には花水木が花をつけている。
尾崎の目指した日米親交は十分すぎる程図られた、といえます。何年もかかってお互いの思いが
いまだカタチとして目に見え
花として実を結んでいるというのが美しいなぁ
と、「ハナミズキ」は
自分の大切なひと、とその人の好きな人が
せめて
100年続けばいいそういう願いを込めて創りました。
今回の事件を知り、「ハナミズキ」の歌詞(こちら)をあらためて読み返すと、言葉にならない。
発売前の下記インタビューでは、歌詞が思い浮かぶのは「日常に違和感を感じたときですね。」と答えている。
また、「DOMO」という月刊誌の2004年4月に掲載された彼女についてのライブレポートも興味深い。
「ハナミズキ」は、梅雨入りの季節の今月にオリコンが発表した「号泣エンタメCDランキング」では、全体の4位、女性では3位にランクイン。2005年のオリコンカラオケ年間ランキングでも、ORANGE RANGEの「花」、夏川りみの「涙そうそう」に続く3位という圧倒的な支持のある曲。
ハナミズキという花については下記ページを。
ハナミズキの花言葉は、「私の想いを受けてください」「返礼」。戦争史跡に残した平和のメッセージが破りとられるという、信じられない事件。「心の平和」「平和な社会」が問われている。
« 「時の記念日アンケート調査」団塊の世代は・・・ | トップページ | 『ニッポンの暴言 国民を惑わす政治家たち』 »
「音楽」カテゴリの記事
- 1人ひとりがバラバラな踊りと笑顔で参加している動画(2014.01.12)
- 2年4か月ぶりの新曲で原点回帰(2013.02.17)
- その歌声に魅了される(2012.08.28)
- かようこんさーとにクミコさん(2012.05.07)
- 私に、僕たちにできること(2012.04.29)
「平和」カテゴリの記事
- イラク戦争から10年で580兆円、犠牲は18万9000人(2013.03.18)
- 日本の空は今も占領下? オスプレイと低空飛行訓練(2012.11.20)
- アメとムチ、沖縄と青森、基地と原発と(2012.10.02)
- あれから17年 矛盾の上に咲く花は(2012.09.09)
- 8月15日を過ぎても考え合いたい番組です(2012.08.15)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 一青窈さんのメッセージが破りとられて:
» 「ファスレーン365」にご賛同を [ペガサス・ブログ版]
2月8日の記事「『ファスレーン365』計画について」で詳しくお知らせした,イギリスの核を世界市民の協力で各個撃破的に廃絶する取り組みの続報です.運動本部では,個人/団体の賛同を募っています.参加ということではなく,「この運動を支持する」という意見表明です.以下に日本語訳付きの署名フォームを掲載します.皆様のご賛同をお願いします.賛同される方は,ワード文書を次からダウンロードして必要事項を記入し,一番下にあるメールアドレスに送って下さい.
http://www.geocities.jp/chikus... [続きを読む]
» 一青窈 平和メッセージ破損事件 [第4権力研究所]
大分県宇佐市の戦争史跡・城井1号掩体壕に備え付けられた感想帳に書かれた歌手・一青窈の平和メッセージが、何者かに破り取られてしまった。掩体壕とは「えんたいごう」と読み、空襲から戦闘機を守るための格納庫で、お椀を半分に割って伏せたような奇妙な形。
9・11のテロに触発され、暴力の連鎖を断ちたいと『ハナミズキ』の歌詞を書いた彼女は、反戦の想いを意識しながら活動している歌い手である。今回のメッセージも、全国ツアーで大分を訪れた際のもの(長崎では原爆資料館も訪れている)。
一青窈は、台湾人の父、... [続きを読む]
« 「時の記念日アンケート調査」団塊の世代は・・・ | トップページ | 『ニッポンの暴言 国民を惑わす政治家たち』 »
「ハナミズキ」は私も好きな歌ですが、そんな思いが込められていた歌だったんですね。不勉強なことに、初めて知りました。
それにしても、ノートのページを破りとって行った人が、何を考えてそうしたのかは分かりませんが、一青さんがコメントに込めた思いをどう受けとめたのでしょうか。それとも直筆の文章が自分の手に入りさえすれば、文章の中身などはどうでもよかったのでしょうか。あるいは、何かの「抗議」でもしたつもりなのでしょうか。
いずれであったにしても、腹立たしいというよりも悲しい思いがします。
投稿: かわうそ | 2006.06.13 10:05
同感です。ありがとうございます。
ただ、いろいろ調べてまとめた自信作の記事なんですが、他の記事に比べ、反響少なく。。。一人でも多くの人に、ハナミズキの背景と今回の事件との落差を知ってほしいです。
投稿: tamy | 2006.06.14 21:44