タクシーの規制「改革」が生んだもの
先日、飲みすぎた帰りに、荷物が重いので短距離だったけれどタクシーに乗った。
タクシーにはあまり乗らないけれど、できるだけ「景気はどうですか?」なんて話を切り出すようにしている。
このときの運転手さんは「小泉になってからボロボロですよ」と言っていた。
ここまで厳しい小泉批判は初めてだった。
データが気になって、あらためてタクシー関連の組合の自交総連に頼んで、ホームページに載っていない最新の資料もいただいた。
・年間収入(万円)
男子常用労働者 タクシー労働者
2000年 540.53 302.61
2001年 536.87 298.97
2002年 521.13 278.38
2003年 519.82 275.94
2004年 520.15 269.42
・時間当たり賃金(円)
2000年 2679 1205
2001年 2684 1207
2002年 2614 1138
2003年 2596 1110
2004年 2581 1094
資料:タクシー労働者は厚生労働省「賃金センサス」企業規模10人以上、男子常用労働者は同「毎月勤労統計要覧」企業規模30人以上。
2004年の労働時間の比較では、
男子常用労働者が年間2015時間なのに対し、タクシー労働者は2464時間。
小泉政権の目玉、「規制改革」の象徴がタクシー台数規制の緩和、賃金・労働条件の悪化だろう。
この4年で台数は年々増加し、一般の男子労働者に比べ、賃金状況の下げ止まりはない。もともとあった「格差」がさらに拡大している。
こんな厳しい状況ならサボってしまえと思うが、イタリアではサボタージュが起きたという。
◆<イタリア>政府に反発、タクシーが一斉にサボタージュ(毎日新聞)
イタリアで、政府がタクシー台数を増やすなどの規制緩和策を打ち出したところ、タクシー業界と運転手が反発。3日、ローマやミラノなど主要都市で一斉に乗車拒否、減速運転などで抗議し、市民と観光客の足が大混乱した。組合側は11日に全国規模でのストライキを予定しており、一層の混乱が予想される。
(毎日新聞) - 7月4日11時17分更新
ここまでにはなっていないが、日本でもタクシーの労使がやっと一致して、台数問題や運転免許の更新制、より専門性の高い資格制などの要望をあげはじめた。政府もやっとわずかな動きをみせてきている。
この「規制改革」の波がいま、福祉や保育、医療、教育といった公的分野に襲い掛ろうとし、ビジネス成長のターゲットとしてねらわれ、すでに一部では切りくずされている。
小泉政権の5年間から学ぶべきことは多いはずで、ポスト小泉人気レースよりも、「痛みを伴う」改革の痛みの状況にまず目をむけて考える必要があると思う。
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