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2006.08.13

映画「紙屋悦子の青春」、舞台挨拶にいってきた

 戦闘機や爆撃のシーンは一切ない。「暗黒の時代」ともいわれる戦中にもあった、食卓のあたたかさと恋心。映画「紙屋悦子の青春」は、「父と暮せば」と同様に、味のある会話のやりとりで展開される。

 軽妙なユーモアと、好物も盛り込まれるなか、戦時下の日常の姿を描き、非戦の大切さをにじみだす。

 公開初日となった12日の東京・岩波ホールでの舞台挨拶で、

 高野悦子・岩波ホール総支配人は、4月に急逝した黒木和雄監督にふれ、「監督はたたかわないこと、非戦という思いを作品にこめた。戦争を知らない多くの若い人たち、また戦争を知っている人たちにもぜひ観てもらいたい」と語った。

 登壇した4人のあいさつの要旨(一字一句まで正確ではない)は以下のとおり。

◆主演の原田知世さん
 「監督がこの場にいらっしゃらないことが残念です。でも、どこかでご覧になって、喜んでいらっしゃるのではと思います。(司会から時代背景について聞かれ)自分のことより相手という愛の形があって、私よりも随分と若いのに精神的に強いなぁと思いました。(お互いに好意を持っていたにもかかわらず、戦場へと行く)明石さんの最後の挨拶で、「お体ご自愛ください」というシーンは、順撮りでやってきて気持ちが入っていって、(涙も見せずに送ることが)なかなかできずに涙があふれてしまい、もう1回撮るということにもなりました。成熟している女性で、自分と比べてしまいました」

永瀬正敏さん
 「夢がかなった矢先の出来事でした。同じ宮崎出身で、尊敬できる大先輩でした。ぜひつかってもらいたいと思っていました。チンピラみたいな役者ですが、つかってくれて。黒木監督がこの場にいないということがまだうけいれられません。(坊主頭で撮影にのぞんだことについて聞かれ)兵隊の役なので当然です。(監督にメッセージを)監督はいらしていると思うので」

本上まなみさん
「監督に会ってまた話ができないのは残念です。私にとって体験したことのない戦争がどういうものだったのか、ずっと考えています。起きてはいけないことなのに、どうして起きたのか、ずっと考えながら仕事をしていく、生きていく、私の内面を変えるきっかけになったと思います。(家庭が明るくなるような役の指導はあったのかと聞かれ)役についてはそんなに監督と話はしていません。台本を読んでそのまま撮影して。繰り返してリハーサルをするなかで監督の思う役はできていったと思います。(演じる)フサの姿は私とはかけ離れた姿で、生き生きとしています。悦子のことも夫のことも大好きで、話すときはしっかり目を見るように言われました。(どんな人たちに観てもらいたいですかと聞かれ)いまも世界のどこかで戦争があって。まだ人間ってこんなことをしてるんだろうって思います。世界から戦争がなくなるまで、戦争を知らない人にも知っている人にもこの映画を観てもらって、黒木監督の思いをキャッチしてもらいたいです」

小林薫さん
「亡くなられたことがまだ信じられません。声高に言わない名監督だと思います。またいっしょにやりたいと思っていました。最後に出会えてよかったです。よくこの芝居を台本にしたなあと思います。声高にテーマを与えない、キャラクターの説明もない。説明してしまえばこぼれてしまうものがあります。暗黒の時代とひとくくりにいうことがありますが、かけがえのない時代だったというのは同じなんですね。監督はこぼれてしまうものをすくいあげようとしたんだと思います。台本には28歳(小林薫さん1951年生)とあるのに、『気にしないで30歳だと思ってやってください』とやさしい言葉をかけていただきました。2歳しか違わないんですけどね(笑)」

映画の公式ホームページによれば、8月12日現在、下記の関連番組が放送予定。

■8月14日 NHK総合 いま考える2006夏「親子で考える平和 なぜ戦争があるの」(仮) 午後7:30~8:43
■8月18日 NHKBS2「シネマの扉」 21:00~ ※「父と暮せば」と「紙屋悦子の青春」が紹介されます。
■8月19日 テレビ朝日「紙屋悦子の青春公開記念・黒木和雄監督追悼番組(仮)」 27:10~28:15
■8月24日 NHK・BS2「父と暮せば」放送

【関連報道記事】

黒木和雄監督の遺作が公開(日刊スポーツ2006/8/13)
原田知世 舞台でしんみり(スポーツニッポン2006/8/13)
原田知世「紙屋悦子の青春」大入りに涙…(スポーツ報知2006/8/13)

【ブログ内関連記事】

「父と暮せば」の黒木監督、最期の作品を撮り終えて・・・(2006/4/13)

「父と暮せば」黒木監督、8万8千羽の折鶴を手に広島へ(2005/2/12)

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コメント

Tamyさんのおかげで、8月12日NHK教育 「戦争へのまなざし~映画作家・黒木和雄の世界~」を見ることができました。あらためて、命がけで撮ることをされていたのだ...ということ、そして決して器用な方なのではなく、不器用なほどにご自身のテーマを追求され、むしろ遅咲きの方だったのだ...ということにも深く敬意を感じました。2005年11月6日に黒木監督のお話を聞いたときのことがとても印象深く残っています。なんて大切なことを簡潔に(宮沢りえさんを語るにも)、ゆるぎなく話されるのだろうと。被爆者のみなさんを前に、残る時間を覚悟している人の言葉だったからなのでしょうか。

 そのことを知ってから「紙屋悦子の青春」のなんともいえぬシーンの連続が、あとから(2ヶ月以上たって)甦るように思い出されました。  ようこそ@MayGreen


私も見ました。いい映画でしたね。
2回もみましたが、楽しめました。

夜のNHKの番組もよかった。紙屋悦子の青春が一部流れましたが、本当にいい場面というのはやっぱり劇場で見ないといけないですね。

戦争の悲惨さを理解するのには想像力が必要なこの映画ですが、見ていて心がほっとしたのはなぜだろう?

早く全国展開してほしい映画です。

ブログ記事、詳しいですねー。
本上さん、素敵でしたね。
挨拶もしっかり自分のメッセージがこめられていたと思います。

とてもいい映画ですから、一部の地域だけではもったいないですよね。

終戦の日に、コメントありがとうございました。

TBありがとう。
こういう挨拶だったんですか。それぞれの、役者さんらしい、心のこもった挨拶ですね。

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