ファストフードがねらう食育「朝食はマックで」
19日からWOWOWで毎週木曜日4回「ジェイミー・オリヴァーの給食革命!」 (WOWOW)
が放送されるということに、昨日ふれた。
その給食革命については、月刊誌『世界』(岩波書店・2005年11月号)で、イギリス在住のジャーナリスト・阿部菜穂子さんが書いた『イギリスで巻き起こる「給食革命」』というレポートが詳しい。
あらためてそのレポートを読んだが、私たちの国の行方も問われていると思う。
今日の朝日新聞の記事を読んで、不安が強まった。
◇「食育」「健康」を商売に スーパー・外食産業(2006/10/18朝日新聞)
食と健康へ関心が高まるなか、集客や売り上げ増を狙って「食育」を営業戦略に採り入れるスーパーや外食産業が増えてきた。健康メニューの提案にとどまらず、大人向けの健康測定なども盛り込んで工夫を凝らす。
「このジュースは何の野菜かな?」。イトーヨーカ堂が夏休み期間中、東京・葛西店で開いた子ども向け食育イベントには、5日間で延べ4000人が参加した。同社は毎月19日を食育の日と決め、講座やイベントを開催中。集客力に加え、協賛企業の商品が売れる効果もあり、食品事業部は「食品売り場の活性化につながる」と力を入れる。イオンは先月、健康食品の試食のほか、脳年齢や骨密度の測定ができる体験コーナーを東京・ジャスコ品川シーサイド店に設置し、大人にも人気を集めたという。無印良品が有楽町店で開いた初の食育講座「食べる」教室には、子連れの母親など約25人が1500円の受講料を払って参加するなど、関心は高い。
モスフードサービスは、店長が小学校に出向き、レタスの食べ比べや正しい食事教室を開いている。米国では16日、米ウォルト・ディズニーがテーマパークでフライドポテトの提供をやめるといった肥満予防の基準の導入を発表したが、モスフードは「個々の食品がいけないのではなく、体によい食べ方を教えることが大切」と強調する。
日本マクドナルドも3月以降、キャラクターのぬいぐるみを100以上の幼稚園などに派遣して、朝食の大切さを教えている。社会貢献活動の一環との立場だが、いずれ「朝食はマックで」という狙いもある。
ファストフード業界の「食育」には、当然「朝食は○○で」というねらいがあるだろう。日本でも学校や保育園の給食の外部委託がすすみ、さらに児童養護施設の調理委託まで国が容認したなか、イギリスの誤った道をすすもうとしていないだろうか。
これが美しい国と言えるのか。
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