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2006.11.04

足立区「学力テストで予算に差」!?

昨日に続き、朝日新聞の記事に驚いた。今日は一面トップ。

東京都足立区が、学力テストの成績によって、学校の予算枠に差をつける方針を固めたというのだ。

足立区といえば、今年1月に、就学援助(親の経済状況によって、一定の経済給付がおこなわれる)の受給率が4割をこえ(足立区42.5%、全国平均12.8%)、全国でもっとも深刻な状況にあることが伝えられた自治体。

安倍さんの構想にもあるこのイギリス・サッチャー型の「教育改革」がすでに失敗し、修正がかけられていることは、月刊「世界」(岩波書店)の11月号で、在英ジャーナリスト・阿部菜穂子さんが「安倍政権は、問題の多いイギリス「教育改革」に追随するのか」と実態を明らかにしているところだ。

にもかかわらずだ。

格差社会の厳しさをうける人たちの多い、セーフティーネットも穴だらけの自治体で、テスト結果の悪い子どもの通う学校には、少ない予算しかこないあまりにも残酷な制度が来年度から実施されようとしている。

学力テストで予算に差 足立区教委、小中学校4ランクに(2006/11/4朝日新聞)

 東京都足立区教委は、区立小中学校に配分する07年度予算で、都と区の教委がそれぞれ実施している学力テストの成績に応じて各校の予算枠に差をつける方針を固めた。小学校計72校、中学校計37校をそれぞれ4段階にランク分けし、最上位は約500万(中学)~約400万円(小学)、最下位は約200万円にする予定。都のテストで同区が低迷していることなどから、学校間競争をさらに促す必要があると判断した。

 区教委によると、差をつけるのは各校の自主的な取り組みを支援する「特色づくり予算」の金額。各校の申請をもとに配分し、外国人講師や補習指導ボランティアの派遣費用などに使われている。07年度は前年度比約1億5000万円増の約4億1000万円を予定している。

 ランクづけの大きな根拠は、年1回実施される都の学力テスト(小5と中2の全員が対象)と区のテスト(小2以上の全学年全員が対象)。都テストで、各校の平均正答率が、都平均と区平均以上の科目がそれぞれいくつあるか▽区テストの成績が前年度からどれだけ伸びたか――などの項目を設けて査定する。

 これらの成績と校長からのヒアリング結果を8対2の比率で数値化し、各校の「実績」とする。満点は小学校が165点、中学校が170点で、上位から順にA(全体の1割)、B(同2割)、C(同3割)、D(同4割)のランクに区分けする。

 予算枠はAランクの中学校で約500万円、小学校で約400万円。B、Cと減らし、Dランクは小中学校ともに約200万円にする。各校が「特色づくり予算」について申請すると、ランクの枠内で認める。

 教材費や光熱費など学校運営の必要経費は、従来通り児童・生徒数やクラス数などの「基礎数」に応じて配分する。これまで中学校は1校あたり平均で約1000万円、小学校は約850万円を配分してきた。07年度はこの経費にむだがないかどうかを厳しく精査して圧縮し、「特色づくり予算」の増額分に振り分ける方針だ。

 同区は02年度に区全域の小中学校で学校選択制を導入。都と区のテスト結果については、教科別まで各校の平均正答率をホームページなどで公表している。人気中学校の多くが学力テストの平均点が高い傾向がある。今回のランクづけは公表しない。

 04年2月に初めて実施された都のテストで、同区の成績は23区中23位だった。今年1月の都のテストでは中学校は22位、小学校は21位と順位を上げた。

 内藤博道・区教育長は「頑張った学校に報い、校長と教員の意欲を高めることが、区全体の基礎基本の学力向上につながる。これまでも希望に応じて非常勤講師を追加配置するなどの対策をとっており、成績のよい学校ばかり優遇するわけではない」と話している。

 文部科学省の担当者は「学力テストの結果を予算に反映する例は聞いたことがない」と話している。

【ブログ内関連記事】

・イギリス型「教育改革」で導かれる美しい国とは(2006/10/19)

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