「裸の王様」都知事と、裸と言ってこなかった人たち
石原都知事2期目最後の議会も中盤戦へ。
これまでしっかり対決してきたのは共産党と自治市民93、市民の党ぐらいだったが、この議会では都議会民主党が石原知事への攻勢を強めている。
民主党のくまき美奈子都議は、15日の一般質問で、柳沢伯夫厚生労働大臣の「女性は産む機会」を問題視した上で、
(前略)
石原知事は定例会見で、この発言に対し、例えの仕方が悪かった、ちょっと短絡的過ぎたんじゃないかなどと、擁護ともとれる発言をしています。柳沢大臣は昭和十年生まれとのことで、石原知事と同年代です。年齢だけで人を判断するものではありませんが、こうした発言のもとになる感覚には、何か世代的な共通点があるのでしょうか。
一方で、同じく昭和十年生まれの評論家岩見隆夫氏は、コラムの中で次のように述べています。子どもを産む機械、装置という例に加えて、後は一人頭で頑張ってもらうしかないという古くさいいい回しにも、戦前の母親を念頭に置いた柳沢大臣の女性観、母親観がにじみ出ているのではないか。一人頭などという無機質な表現を出産問題で使うとは、何と語彙に乏しい、戦前思考のままとまっている人物か―中略―不適切な閣僚を温存するのは許されることではないと。私も全く同感であります。
同世代の男性として共感したがゆえのさきの擁護発言かもしれませんが、行政のトップである都知事としては、いささか適切さに欠ける認識といわざるを得ません。
そこで、以前、都知事も、人の話を引用したとして、文明がもたらしたあしき有害なものはばばあ、女性が生殖機能を失っても生きていけるというのはむだで罪、なるほどとは思うけど、政治家としてはいえないなどと発言されました。
現在、国際社会では、女性の人権への配慮がその国の成熟度をはかる重要な尺度になりつつあるといわれています。折しも首都東京は二〇一六年オリンピック国内候補都市に決定し、今まさに成熟した都市東京を国際社会に向けてアピールしていくところです。こうしたときに、国際社会や東京都民に対しても知事の発言が与える影響を考えると、はかり知れないものがあります。
都知事は、この引用したといわれる発言のほかにも、さまざまな物議を醸し出す発言をされました。しかし、知事は、その責任をしばしば引用という言葉を用いて人に押しつけ、責任逃れともとれる対応をしてきました。
東京都知事という要職にある方が、ご自身の口から発したことについて責任を持つというのは当然のことであり、この際、過去における都知事の発言について、みずから責任を明らかにするべきと考えます。
と追及した(2007/2/15一般質問速記録)。
しかし、このババア発言が問題視された当時、同じ民主党の樋口ゆうこ都議(後落選)は、
「石原知事は、いつも若々しく、大変お元気でいらっしゃいます。また、ビジュアル系知事ともいわれ、そして誤解を恐れずに申し上げますと、知事はとってもすてきでいらっしゃいます。しばしば過激なご発言があり、また女性にはかなりご理解が深いと感じておりましたのに、年末には余りにも大胆なご発言をされ、女性ファンは大変ショックを受け、減ってしまったようでございますが、はっとするほど知事は生き生きとされていらっしゃいます。」(2002年2月27日一般質問議事録)
と、このように矛をおさめ、むしろ持ち上げた。
【ブログ内関連記事】
知事の答弁は相変わらず人の責任にする(引用されたという学者は知事の指摘を否定)ものだが、その他の質問でも都議会民主党は知事について「裸の王様」(2007/2/14代表質問速記録)などとし、厳しい態度をとっている。
「裸の王様」の知事に、
「選挙も近いせいですか、大層お派手な質問演説でありましたが、聞くところ、あなたの都政に対する評価は三十点ということだそうですけれども、ならば今までなぜ都が提案した提案に民主党はすべて賛成をしてこられたんでしょうかな。都の提案に対して厳しい条件がつけられたり、あるいは代案を出されたということは聞いたことがないのはなぜなんでしょうか。」(2007/2/14代表質問知事答弁)
と返される始末。
私は、民主党一般の批判をするつもりはない。
民主党は今月末のパーティーまでに独自候補を擁立するという。
が、都知事選の立候補締め切り・選挙戦本番の告示まで1ヶ月となったなかで、これまでの姿勢についてしっかりした総括がされないと、争点化としての論争が異常な私物化批判に終始し、対抗軸が都民に示されないまま、選挙が終わってしまいかねない。
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民主党の都知事候補は、今となっては、土屋都議(日の丸・君が代が命の人)か吉田都議(私もいっしょにフランスに連れてってと言った人)のいずれかが、適任ではないでしょうか。石原都知事に対する過去の民主党の態度を総括するのにふさわしい候補者を選ぶべきです。
投稿: siinoki-law | 2007.02.22 02:09