東京都知事選挙が22日告示され、現職の石原慎太郎氏ら14人が立候補した。
このブログでは、2月24日の記事「幻の都知事候補 都民との十の約束」まで、元足立区長の吉田万三氏を応援しようと関連記事を書いてきた。
ただ、いずれも「現時点では吉田万三さんを」という記述にとどめてきた。
「現時点では」というのは、ジャーナリスト・鳥越俊太郎さん(がんの転移等で断念)以外にも、反石原統一候補が調整・擁立される状況を期待してきたからだ。
その鳥越さんは22日の日刊スポーツで、石原知事が高齢化社会などの状況があるにもかかわらず、高齢者や障害者の医療費助成を縮小し、また高齢者の交通パスの有料化などをすすめてきたなかでオリンピックを招致しようとしていることを批判している。
3月6日に出馬表明した前宮城県知事・浅野史郎さんについて、私は率直な期待を感じていた。
吉田さんと政策協議し、一定の申し合わせ等(さまざまな形があると思う)を踏まえて、吉田さんが応援にまわる形での一本化も、可能性がゼロではないと思ってきたから。
3月20日に最終的に発表された浅野史郎氏のマニフェストでは、これまでのオリンピック招致への評論家的な曖昧さや福祉関連施策への踏み込みのあまさは少し改善されたと思う。
私が足場を置く所属労組は、浅野氏支持にはなっていない。
しかし、浅野氏の対応次第では、それも変わったかもしれない。
それよりも先に私自身の考えが変わったかもしれない。働きかけをする側になったかもしれない。
ただ、それは、私の中で浅野現実路線が少し芽生えていた先週までの話。
3月23日の朝日新聞を読み込んで驚いた。
4月8日投票で行なわれる13都道県の知事選に立候補した主な候補者の34人にアンケートをとったところ、地域格差について「小泉―安倍政権の政策・路線で拡大した」と答えたのは7割。また、格差是正のために優先すべき方策として、経済成長より再分配機能の強化を6割を上回る人が選んだという。
都知事候補としては、吉田万三氏、石原慎太郎氏、浅野史郎氏、黒川紀章氏、ドクター・中松氏に聞いている。
◎地域間の格差は拡大した?
・「小泉―安倍政権の政策・路線で拡大した」 吉田万三 黒川紀章 ドクター・中松
・「小泉―安倍政権の政策・路線とは無関係に拡大した」 石原慎太郎 浅野史郎
・「拡大していない」 回答者なし
◎格差是正には、どちらを優先?
・「経済成長」 浅野史郎
・「再分配機能の強化」 吉田万三 黒川紀章 ドクター・中松
※石原氏は空白(無回答や複数回答)
民主党推薦に限ってみても、北海道知事候補の荒井聰氏、岩手県知事候補の達増拓也氏(前衆議院議員)、福岡県知事候補の稲富修二氏は、この2つの質問について吉田万三さんと同様の選択をしている。
民主系の神奈川県知事候補の松沢成文候補(現職)は、「無関係に拡大した」「経済成長」と答えているが、自民党系の三重、奈良、徳島の県知事候補は2つの質問について吉田さんと同様の選択をしている。
浅野史郎氏が経済給付的事業に非常に消極的(というより否定的)で、都の障害者医療費や高齢者の医療費助成の削減への修正にもふれずにきた理由がやっとわかったように思う。
財政の厳しい宮城県政に12年間も携わりながら、構造改革による格差拡大を実感しておらず、さらに格差是正には再分配より経済成長をというのは、格差社会の問題を指摘してきた私とは基本姿勢が違う。
人々の視線、福祉日本一というが、この2つの質問への回答が、いまの都政の矛盾への施策と思えてならない。
思い切った総括と吉田氏への政策協定(もしくは一致点での申し合わせ程度でも)等の申し入れさえ行なわないことは、このような基本姿勢が違いすぎることに理由があるのかもしれない。
それ(過去の借金増などへの総括と政策の打ち出し等)さえあれば、共同の素地はまだギリギリまであると信じたいが。
支援者、勝手連ら、石原都政を変えようと願う人々の動きが問われている。
浅野氏をただ応援するだけでいいのだろうか。
構造改革路線、経済成長でいこうと、少なくとも新聞社のアンケートで答えている立ち位置について、注文もつけずに「反石原」でいけるのだろうか。
私の浅野氏への少しふくらんだ期待は、あっというまにほぼなくなった。
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