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2007.07.09

福祉人材 この賃金ではもたない

3月に放送されたNHKスペシャル「介護の人材が逃げていく」

都内の高齢者施設で働く20代の男性職員のやりがいと低賃金・過重労働にスポットがあてられ、働く人や経営者の努力ではどうにもならない状況が取り上げられました。

24時間の施設で働いて、月額20万に満たない状況。高齢者を支える仕事は好きだけど、将来が見通せないと、逃げていく人材・・・。

その後、コムスンの不祥事を発端に福祉人材の確保が危機に瀕していることが本格的に報じられるようになってきました。

朝日新聞も続けてこの問題を取り上げています。

昨日7月8日付の紙面では社説でその危機の打開をアピールしています。

障害者施設や児童養護施設もそれに近い状況があり、人気職種とされてきた保育園を含む児童福祉分野も「人材不足に陥るのは時間の問題と思える兆候がある」(東京都福祉人材センター)とされています。

介護職場を中心に、福祉を支える仕事に国がしっかり責任を持つことなしに、人材確保・定着はできないのではないでしょうか。

高齢者の介護―この賃金ではもたない(2007/7/8朝日新聞社説)

 職員の数をごまかして介護報酬を不正に請求したコムスンの事件は、背後にある重大な問題を浮かび上がらせた。

 高齢者介護の現場が、深刻な人手不足に陥っていることである。その現実にきちんと向き合わなくてはならない。

 新しい施設や訪問介護の事業所を開いても、職員が集まらない。都市部では、とくにひどい。景気が回復しているここ数年は、福祉系の大学や専門学校を出た若者たちも一般の企業に就職している。

 介護福祉士の国家資格を持っている約41万人のうち、介護の仕事に就いているのは約23万人しかない。ひとつの職場の勤続年数も、平均3年ほどだ。

 理由は、はっきりしている。重労働なのに報われることが少ないからだ。

 財団法人・介護労働安定センターが、05年度に2500事業所で働く約3万人を対象に調査したところ、平均年収は200万円余りだった。半数近くを非正社員が占めている。訪問介護を支えるホームヘルパーは、8割が非正社員だ。

 厚生労働省の試算だと、ヘルパーの時給は1210円。全産業の平均時給より600円近く安い。大半が女性で、時間単位で働く登録型ヘルパーは、月収10万円未満の人たちが少なくない。

 介護サービスにかかる費用は、人件費も含めて国が決める介護報酬でまかなわれている。9割は保険料と税金から支払われ、1割を利用者が負担する。

 00年度に介護保険制度が始まって以来、利用者は大幅に増えている。厚労省は社会保障費を抑制するため、2度にわたって介護報酬を引き下げた。

 生協を母体にした千葉市の社会福祉法人生活クラブは、老後の不安にも応えたいと11カ所で訪問介護サービス事業を展開している。事業費の8割は人件費だ。

 去年の介護報酬引き下げで、ヘルパーの時給を1100円から1000円に下げるしかなかった。理事長の池田徹さんは事業所を1軒1軒回り、ヘルパーらに頭を下げた。しかし、頼みの綱のヘルパーは1年で100人以上が辞めていき、新規の依頼は受けられなくなっている。

 いまこそ、介護に携わる人たちの待遇を抜本的に考え直さなければならない。といっても、介護報酬をただ上げればいいわけではない。報酬を人件費とそれ以外とに分け、人件費は削れなくする。あるいは一定の給与水準を保証する。そんな仕組みをつくる必要がある。

 不足分は税金で補ってもいい。所得の低い人に配慮しつつ、保険料や利用料を引き上げる必要があるかもしれない。

 現在、約100万人が介護保険のサービス分野で働いている。お年寄りの喜ぶ顔を支えに頑張るといっても、いまのような低賃金で、将来の昇給の展望が描けなければ、限界がある。

 高齢者が急速に増えている日本では、今後10年であと50万人の介護職員が必要になる。介護を「ふつうの仕事」にできなければ、担い手はいなくなる。

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コメント

看護・介護などマンパワーの重要なところで賃金が減り、人材が確保出来ないのは致命的ですね。
いろんな意味でいっぱいいっぱいです。
短期間の政策転換も老人介護に大打撃を与えている様です。
議員の方々にも老人病院などで実際に働いて、体験して欲しいと切実に思います。

本当に、そうですね。
人が人を支える仕事がたいせつにされていない今、
人が人をたいせつにできない社会になってきていることを実感しています。

議員の福祉・医療実習は絶対やるべき、やらせるべきだと思います。
私が今の仕事にかかわってから、ずーっと思っています。

ただ、受け入れ側が大変かなとも。

値段の違いの大きさを「アルツハイマー」とたとえたり、女性を「産む機械」と言ったり、明らかに尋常じゃないガーゼを顔につけてても説明しなかったり。。。

まぁ、みんなで選んだ代表なんですが。

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