DVD「夕凪の街 桜の国」3月28日発売
「生きとってくれて、ありがとう」
原爆が落とされて何が起きていったのか、そしてそれがいまにどうつながっているのか。
被爆から10数年後の広島と、現代の東京に生きる女性と家族を結ぶ物語。
静かな衝撃を生み続けているコミック「夕凪の街 桜の国」(こうの史代 双葉社)。
昨夏公開された映画がDVDとなり、桜満開の3月28日に発売される。
映画「夕凪の街 桜の国」
http://www.yunagi-sakura.jp/
早速予約した。
◇DVD批評:「夕凪の街 桜の国」 麻生久美子と田中麗奈、被爆の悲劇と戦後を体現(2008/3/18毎日新聞)
http://mainichi.jp/photo/news/20080318mog00m200010000c.html
麻生久美子さんと田中麗奈さんの熱演が注目のDVD「夕凪の街 桜の国」 広島への原爆投下の悲劇を描いたマンガといえば「はだしのゲン」が有名だが、こうの史代の「夕凪の街 桜の国」は、戦争経験のない若い世代(68年生まれ)の女性が、同じ悲劇の痛みを切実に描き得たものとして話題を呼んだ。恋愛や家族といった日常的モチーフを通して、被爆という重い事実に向き合った二人の女性の等身大の心情をつづり、静かだが強い感銘を呼ぶ。この繊細な情感にあふれたタッチを、「チルソクの夏」の佐々部清監督が、映画という“器”へと移し変えた。物語は二部構成。前半は、58年(原作では55年の設定)、広島で被爆した平野皆美が、原爆症の発症を恐れながら、同僚の男性との恋愛に葛藤(かっとう)する「夕凪の街」。後半は、現在の東京、被爆二世である石川七波が、内緒で広島に旅立った父親を追って、自分のルーツと向き合う「桜の国」だ。
それぞれの主演女優、麻生久美子(皆美)と田中麗奈(七波)が素晴らしい。麻生は、清らかなたたずまいの中に刻み付けられた深いトラウマを表現し、田中は、屈託のない現代っ子の視野が開けていくさまを体現する。そして、違う時代に生きる二人の女性が、実は血縁で結びついていると物語が告げたとき、戦後のイメージが鮮やかに浮かび上がってくる。形がい化された反戦メッセージにとらわえずにヒロシマを描いた原作の美点を、佐々部監督の抑制された語り口は、忠実に伝えている。
夕凪の街 桜の国 東北新社 4935円 3月28日発売
◇著者プロフィル
森直人/映画評論家。「クイック・ジャパン」などで執筆中。編著に「日本発 映画ゼロ世代」(フィルムアート社)など。
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