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2008.03.20

認証保育所初の取り消し処分

『誰も教えてくれない「保育所」ビジネスの始め方・儲け方』(ぱる出版 三谷忠士)
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/31467063

Hoikumoukekata

この本の著者が経営する東京都認証保育所が、制度始まって以来の認証資格の取り消し処分となった。

一つ前のブログ記事で書いた、1日の食材費が36円と都議会で指摘された保育所とは経営主体も違うので誤解のないように。

営利保育の極みがまたしても明らかになった。




じゃんぐる保育園(荒川区)
http://alt-kids.com/

◇都認証保育、初の資格取り消し(3月20日19時10分配信 産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080320-00000924-san-soci
 東京都荒川区の都認証保育所「じゃんぐる保育園」の保育士が大幅に不足していたとして、都は20日、都認証保育所に関する要綱に基づき、同園を経営する日本保育支援協会(さいたま市)に対し、認証保育所の資格取り消し処分を行うことを決めた。認証保育所は、都の独自基準を満たした無認可保育所で、資格取り消しは、制度導入の平成13年以来初という。

 都では、昨年8月と10月の2回にわたって立ち入り調査。都の要綱によると、定員30人の同園には、施設長を含めて計7人の保育士が必要だったが、18年8月中旬までは、勤務実態のあった保育士は2人だけだったとみられる。
 園児の成長過程に沿った年間指導計画を作成していなかったうえ、調理担当者に毎月、義務づけられている検便などを実施していなかった。元職員2人がさいたま市の保育園の常勤職員として登録され、補助金を不正受給していた。試験的に雇った若年者を常勤に移すように偽装した申請書を提出し、国からも不正に給付金を受領した疑いもある。
 都は、昨年12月に同協会に改善を指導していた。同園は18年6月開業。30人の定員で、0-3歳児の幼児を受け入れてきた。

 ■東京都認証保育所 都独自基準を満たした無認可保育所。国の認可保育所より常勤の職員数や施設面積などの基準を緩和する一方で、0歳児保育や開所時間13時間以上の実施などを義務づける。都と区市町村が共同で運営費の半額を補助する。都認証保育所は3月1日現在、395カ所。

この問題は、都議会で厳しく追及されてきた。

《2007年12月11日 東京都議会代表質問速記録より》
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/honkaigi/2007-4/d5247311.htm#04

【曽根はじめ都議(日本共産党)】

 最後に、認証保育所の問題です。
 我が党の調査で、石原知事が福祉施策の目玉としてきた営利企業による認証保育所制度の欠陥が明らかになりました。
 第一に、ルール違反がはびこっていることです。
 株式会社が設置運営しているじゃんぐる保育園の問題は、とりわけ重大です。都の認証保育所事業実施要綱で専任の施設長を置くことが義務づけられているのに、長期にわたり施設長がいない。開設申請書の職員名簿のうち五人は虚偽申請の疑いがあり、七人の保育士が必要なのに、開設時は二人しかおらず、この十一月末まで七人そろったことがありませんでした。問題発覚後、じゃんぐる保育園は、施設長について実名を挙げて長期欠勤状態だと説明した、代表・三谷氏名の十二月三日付のおわびの文書を保護者に配布しました。しかし、東京都はこの方を施設長として受理していません。またしても虚偽の説明を繰り返しています。
 そもそも、昨年六月の開設当初から数々の問題があったのに、都が立入調査をしたのがことしの八月というのは遅過ぎます。調査後の対応も不十分で、保護者や保育士がかねてから要望していた階段の子ども用手すりも設置されず、十月末には子どもの転落事故が起きています。調査後に機敏な対応をしていたら事故を防げたはずです。
 施設長が長期間いない問題や、職員の架空申請などの数々の不正疑惑、子どもの安全が確保されていない実態などについて、どう認識しているのですか。徹底調査を行い、子どもや職員に不利益が及ばないよう万全な配慮をしつつ、厳正に対処すべきと考えますが、それぞれ知事の答弁を求めます。
 いま一つは、認証保育所A型の設置運営基準が余りにも不十分であり、緊急に改善が必要なことです。
 第一に、乳児の部屋と幼児の部屋をきちんと仕切ること。せめて固定式のさくの設置を義務づけること。
 第二に、火を常用する飲食店などの上の階への設置は認めないことや、子どもと一緒に避難できるような非常階段など、安全面の基準を強化すること。
 第三に、園庭にかわる施設を認める場合は、例えば子どもの足で移動時間十分以内、幹線道路は横断しないなどの基準を明確にすること。
 第四に、十三時間開所にふさわしい職員配置への改善や職員の待遇改善を進め、経験年数が長い保育士を雇用することができるようにすること。
 以上四点について設置運営基準自体を強化するとともに、各園における改善に向けた努力を支援することが必要だと考えますが、それぞれ見解を伺います。
 私が指摘したことは、保育の質の確保よりも、企業参入拡大を最優先にしてきた知事の政策の問題です。
 我が党は、認証保育所に対する過去二年間の指導検査結果を分析しましたが、驚くべきことに、全施設の三分の一がさまざまな問題点を文書で指摘されています。認可保育所への文書指摘はせいぜい一割程度で、多くは実務上の問題ですから、この面からも認証保育所に大きな問題があることが浮き彫りになっています。とりわけ、営利企業によるものは、業界大手も含め、職員数が足りないなど重大な問題が多く、改善されない傾向が明らかになりました。
 二〇〇六年度では、営利企業の五十四施設に文書指摘がありました。毎月の避難訓練、消火訓練を実施していない、二十一施設、施設長が他の業務を兼務している、十六施設、開所時間は二名以上の保育士を配置するルールを守っておらず、朝晩など一人体制になっているが四施設、その他、必要な職員数が足りない、保育士資格がある職員がいない、正規職員がいないなど事態は重大です。
 前年度に指摘をされ、改善済みと報告されているのに、翌年度また同じ指摘が繰り返されている場合もあります。
 知事、認証保育所に対する都の指導検査の結果をどう認識しているのですか。
 二〇〇五年に、日本女子大学大学院が、認証保育所の施設環境の現状を調査し、課題を取りまとめた研究成果を発表しています。それによれば、児童一人当たりの面積が認可保育所に比べて狭い、園庭がない、遊戯室がない、採光が不十分などの課題を挙げ、認証保育所に偏重することは、認可保育所を含めた保育施設全体の水準を引き下げかねないと結論づけています。既に三年前にこういう指摘がされ、その後、営利企業による認証保育所のさまざまな問題が明らかになっているのです。
 企業参入推進について、保育の質の確保を最優先にする立場から再検討すること、待機児解消は、認可保育所への支援を抜本的に強め、その増設と拡充を基本に据えることを求めるものです。知事の見解を伺います。
 また、問題の早期発見、早期解決に向け、指導検査体制強化が必要だと思いますが、答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。

【石原慎太郎都知事】
 認証保育所についてでありますが、認証保育所は、大都市の多様な保育ニーズにこたえるため、都独自の制度として平成十三年度に創設して以来、認可保育所を上回るペースで整備が進んでおりまして、多くの都民の支持を得ております。
 ご質問の認証保育所につきましては、都は既に立入検査や指導を行っておりまして、改善報告を求めております。引き続き必要な調査を行っております。
 ご指摘を受けるまでもなく、認可保育所、認証保育所を問わず、不適正なところがあれば指導を行い、厳正に対処してまいります。
 次いで、保育への企業の参入についてでありますが、認証保育所制度は、多様な事業主体の参入による競い合いの中で利用者本位の保育サービスの提供を目指すものであります。
 認可保育所においても、規制緩和の観点から、平成十二年に民間企業の参入が認められました。
 都としては、認証保育所、認可保育所ともに、多様な事業者の参入により整備を進め、待機児童を解消してまいります。

【安藤立美福祉保健局長】
 認証保育所の基準についてでありますが、認証保育所事業実施要綱において、大都市の実情を踏まえ、面積等を一部緩和しているほかは、基本的には認可保育所の基準と同水準に定めております。
 お尋ねの四点についてでございますが、まず、部屋の仕切りについては、認可保育所では二歳未満児とその他の児童を分けているが、認証保育所ではさらにゼロ歳児の保育場所を区切るなど、より詳細な基準を定めており、安全が確保されております。
 第二が、二階に設置する場合は、一階に設置する場合に比べて、建物の耐火性、避難路の確保、転落防止等について、より安全面に配慮した基準としております。
 第三に、屋外遊戯場については、付近にある公園を屋外遊戯場とすることができることは認可保育所と同様でありまして、距離や移動の安全性等について実地に確認をしております。
 第四に、職員配置につきましては、保育従事職員の配置基準を定め、開所時間の長さに応じ、必要な職員を加えることを義務づけております。
 今後とも、この基準に基づきまして、各施設を適切に指導してまいります。
 なお、職員の待遇改善については、各事業者が適切に対応すべきことと考えております。
 次に、認証保育所に対します指導検査の結果についてでございますが、平成十八年度の実施状況は、認証保育所では、文書指摘を行った施設数が百十二カ所であり、指摘率は五〇%、改善率は九六%であります。
 一方、認可保育所では、文書指摘を行った施設数が百五十六カ所、指摘率は五一%、改善率は八四%であります。
 したがいまして、指摘率はほぼ同等でございますが、改善率では、認証保育所が認可保育所を上回っております。
 なお、文書指摘を受けました百十二カ所の認証保育所のうち、株式会社及び有限会社を合わせて五〇%でありまして、その他の経営形態の認証保育所と特段の差はないと認識をしております。
 次に、指導検査体制の強化についてでありますが、都はこれまでも、指導検査機能の集約化や福祉サービス専門員の活用などにより、指導検査体制を充実強化してまいりました。
 中でも、悪質な法令等の違反に対しましては、機動班による緊急指導検査を実施するとともに、日常的に運営指導を行う区市町村とも連携した効果的な指導検査を進めてまいりました。
 今後とも、こうした実効性ある指導検査体制により、適切に対応してまいります。

この関連のキーワードで検索すると、下記の申し入れ文書がヒットした。

認証保育所における不正疑惑などの解明と是正に関する申し入れ(2007/11/30日本共産党東京都議会議員団)
http://www.jcptogidan.gr.jp/html/menu5/2007/20071130145717.html

認証保育所A型「じゃんぐる保育園」への厳正対処を求める申し入れ(2008/2/22日本共産党東京都議会議員団)
http://www.jcptogidan.gr.jp/html/menu5/2008/20080222181441.html

【追記】

◇補助金3800万円返還求める=保育園の認証取り消し発表-東京都
3月21日20時31分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080321-00000153-jij-pol

 東京都荒川区の認証保育所「じゃんぐる保育園」(定員30人)が設置申請時に職員数を水増していたなどとして、都は21日、同園の認証を31日付で取り消すと正式に発表した。併せて都は、同園に対して不正受給した補助金約3800万円を区などに返還するよう求めた。
 同園は「日本保育支援協会」(千葉県市川市、三谷忠士代表)が運営。設置申請時の職員数は3人だけだったが、最低基準(7人)を満たしているかのように書類を偽装したほか、虚偽記載の職員名簿を使って都と区の補助金を不正に受け取っていた。 

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コメント

私は、じゃんぐる保育園に子どもを預けている保護者になります。

保育園には本当に良くしてもらっていますので、これからも子どもを
通わせたいと思っていますが、「じゃんぐる保育園」と検索すると
こちらのホームページが表示されます。

子どもを預けている保護者の立場からすると大変迷惑ですので
こちらのページを削除して頂けますでしょうか?

私の個人の意見ではなく、複数の保護者の方の意見になりますので
よろしくお願いします。

http://tamy.way-nifty.com/tamy/2008/03/post_504a.html

はじめまして。

現時点では、私には削除する理由がみつからない状況です。事実として起きたことを掲載したまでですが。

理由としていただいている件ですが、ヤフーやグーグルの検索エンジンで「じゃんぐる保育園」で検索しても、当該記事にヒットするには相当な労力がなければ難しいようなのですが。

複数の保護者のみなさんが「じゃんぐる保育園」で検索して、私のブログ記事にヒットして、迷惑と感じられているとすれば、どんな検索の仕方をされたのかお知らせください。それから考えます。

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