問題の構造と記者の鼓動が伝わってくる『貧困の現場』
今日は文化の日。一冊の本をおすすめしたい。
貧困の広がり、深刻化・・・。
おそらく実感のわかない人も多いだろう。
日雇い派遣、母子家庭、ホームレス、ネットカフェ難民・・・。
見えにくい構造があり、さらにあまり見たくないものとしてとらえられているからだろう。
社会的に排除されるという構造と実情に迫り、貧困の現場を10年近く取材した記者がいる。
東海林智(とうかいりん・さとし)氏。毎日新聞記者として、厚生労働省を担当。労働・貧困問題に長くかかわり、現場の最前線を取材している。
私のブログtamyレポートを読んでいただいているすべてのみなさんに、
『貧困の現場』(東海林智・著 毎日新聞社 2008年8月出版)をぜひ読んでもらいたい。
この日本で拡大している貧困、奪われる労働と人間の尊厳。
貧困を余儀なくされている「現場」に迫る記者。「名ばかり管理職」「不当解雇」「定時制高校が映す現代事情」「過労死」「生活保護」「派遣労働」・・・。貧困にあえぐ当事者の歩みと切実な願いだけでなく、労働行政、審議会での生の様子も明らかにされている。現場の実態と、取材を重ねる記者のその鼓動と怒りが伝わってくる。
「おわりに」にはこうある。
「反貧困ネットワーク」という貧困に反対することで一致しようという幅広い連帯の輪ができてきた。労組の元幹部も派遣労働者の友人も私もこの輪に加わることができる。広がる貧困に抗してゆく運動を広げることは、人らしい生活、人らしい労働を取り戻すことだ。それぞれが、それぞれの立場で声を上げ、見知らぬ人の命の声に耳を傾け、つながっていく。そんな運動に期待をよせている。私もその輪の中に加わる決意を込めて、一冊の本を書き下ろした。
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