国の基準廃止反対は福祉施設団体の総意
何度も言う。
この政治主導は完全に間違いだと言わざるを得ない。
勇気を持って撤回をしてもらいたい。
福祉・保育施設の経営者、職員、利用者など関係者の声を一切聞かないこと、連立政権合意の「保育所の増設を図り、質の高い保育の確保、待機児童の解消につとめる」という事項や民主党が7月に、
「住む地域や家庭の状況などにより、保育に格差を生じさせることのないよう、個々のニーズに合わせた保育の量の確保とともに、子どもたちにとって質の良い保育の環境整備や子育て支援を進めていく必要がある。保育制度の改革にあたっては、保育の質の確保が大前提であり、国や地方公共団体は質の高い保育を十分提供するため、優先的に財源を確保すべきである。安易な規制緩和等によって質よりも量を追い求め、結果的に子どもに不利益を与えるようなことがあってはならない。また、現在国が設けている保育室の面積や保育士の人数などの最低基準についても、子どもたちに良質な保育を提供する視点で改善することが必要であると考える」
などと示した「保育サービスについての考え方」とまったく異なることなど、説明がつかないのに、都市部での待機児解消などマスコミもあおりたて一気にすすめられようとしている。
今日、原口総務大臣はその実現にむけて関係閣僚に正式に要請したという。
◇早期撤廃を各閣僚に要請=国の義務付け-原口総務相
10月20日12時29分配信 時事通信原口一博総務相は20日の閣議後記者会見で、政府の地方分権改革推進委員会による第3次勧告を受け、国が地方の業務を法令で縛る「義務付け・枠付け」を早期に撤廃するよう各閣僚に文書で正式要請したことを明らかにした。
同相は保育所の設置基準義務付けなどを念頭に、法改正をしなくても政省令改正で撤廃できるものがあるとして、早期の見直しを主張していた。同相は「30年も40年も官のレベルで結論が出ていないものもある。こういうものを政治主導で出してもらうよう(各閣僚に)お願いした」と述べた。
10月16日、社会福祉施設で構成する全国社会福祉協議会(http://www.shakyo.or.jp/)はこのような動きに対し、組織内の経営者や身体障害者施設、児童養護施設、母子生活支援施設、保育士などの団体の連名で、
「福祉施設等の最低(指定)基準」は、国民・利用者が安全かつ健康で文化的な生活を送り、全国どこでも一定の質が担保された福祉サービスを利用できるよう、最低限必要な設備等の基準として国が定めているものです。このため、「福祉施設等の最低(指定)基準」は、ナショナルミニマムとして福祉の根幹を成すものであり、廃止又は条例に委任することは、断固として反対します。地方自治体による地域の実情を踏まえた基準は、ナショナルミニマムである最低(指定)基準に上乗せする内容で設定されることが、地方分権の本旨と考えます。
との要望書を厚生労働大臣に宛てて提出した。非営利の福祉業界の総意として「断固として反対」を示した重く切実な要望書といえる。が、マスコミの反応は極めて薄い。
脱ダム建設のメリット・デメリットは担当大臣やマスコミ等の発信で報じられつつある。
しかし、この問題についてはそうでないことを指摘せざるを得ない。
原口総務大臣や長妻厚労大臣、福島少子化対策担当大臣は、この説明責任を果たしているだろうか。
私はまったくそう思わない。
地方分権の名の下に橋下大阪府知事を総務省の顧問的ポストにすえようという動きまであるが、私は声を大にして反対する。
ブログやmixiの日記を検索しても、今回の国の基準の廃止について私とほぼ同意見のものが少なくないというより、むしろ多数派のようで、心強い。
メディア関係者には猛省をうながしたい。
その上で個人としての発信もしていきたい。
厚生労働大臣宛 福祉施設の最低基準に関する要望書
(2009/10/16全国社会福祉協議会)PDFファイル
http://www.shakyo.or.jp/news/091016.pdf
全国社会福祉協議会
http://www.shakyo.or.jp/
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