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2009.10.12

保育所の「規制」を「緩和」する動きが急速に

「政権交代」「地方分権」。

この動きの中で、国がこれ以上は必要だとしてきた保育所の面積基準や子ども一人あたりの職員の人数を、自治体の判断で切り下げてもかまわないという「規制緩和」が行われようとしている。

10月上旬はこの手の報道が新聞紙面で目立っている。

朝日、読売、毎日など、各紙の社説はこの基準の廃止を歓迎している。

なぜこの「規制」が維持されてきたのか、「緩和」することでのデメリットはないのかという検証がまったくされていない。

食べる、寝る、遊ぶ、それぞれの行為をほとんど同じ場所で行うしかない今の保育所よりもさらに狭い保育所、

保育士など専門職としてのおとなの数がいまより少ない保育所、

これらが増えていく。

この流れを政府が誘導することは、

第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

憲法との関係で説明がつくとは思えない。

保育所に入れない子どもが増えているなかで、入れるようにすることは緊急の課題だけれど、詰め込んでいいという政策は安易にもほどがあると、私は思う。

与党3党の連立合意にある「保育所の増設を図り、質の高い保育の確保、待機児童の解消につとめる」という「質の高い」とは何なのか、福島みずほ少子化担当大臣には実施の拒否・抵抗を願いたい。

また、保育関係者は少なくないのに、この動きに反応しているブロガーがほとんどいないような実情でいいのかと警鐘を鳴らしたい。

◇保育所:政府、設置基準規制を緩和へ 待機児童解消狙い
(2009/10/12毎日新聞朝刊)
http://mainichi.jp/select/today/news/20091012k0000m010119000c.html

 政府は11日、認可保育所の設置基準などの規制を緩和する方針を固めた。国が地方自治体の業務を法令で規制する「義務付け・枠付け」の大幅な見直しを求めた地方分権改革推進委員会第3次勧告を受け、保育所については自治体が設置基準を条例で自由に決められるようにする。11月までに必要な法令の改正を整える方針で、自治体の条例改正が進めば、早ければ年内にも実現する見通しだ。

 民主党が衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ「保育所の待機児童の解消」が期待されている。

 保育所の設置基準は、児童福祉法に基づいて厚生労働省の省令「児童福祉施設最低基準」で規定されている。例えば、2歳以上の幼児が入所する保育所は(1)保育室か遊戯室(2)屋外遊戯場(3)調理室(4)トイレ--の設置が義務付けられ、保育室の面積は幼児1人について1.98平方メートル以上、屋外遊戯場は1人につき3.3平方メートル以上など細かい規定がある。

 自治体からは「保育所の設置環境は地域で異なる。地域の実情に応じて運営できるよう、施設の基準設定を市町村に移譲すべきだ」(全国知事会)などの声が強まっていた。分権委も8日、国による保育所の設置基準が不必要な「義務付け・枠付け」だとして、廃止や見直しを求める第3次勧告を鳩山由紀夫首相に提出した。

 政府は、保育所の基準緩和を早期に実現できないかを検討。長妻昭厚労相と原口一博総務相が9日に協議し、厚労省令の改正を検討する方針を確認した。保育所の設置基準のほか、省令で乳幼児の年齢ごとに細かく規定されている保育士の配置人数についても、見直しを検討する。

 厚労省によると、待機児童は都市部に集中し、全待機児童数の8割程度を占める。都市部では、保育室の面積や屋外遊戯場を十分に確保できず、認可保育所が増えにくいため、待機児童の増加につながっているとの指摘もあった。【石川貴教】

 【ことば】▽待機児童▽ 保育所に入所を申し込んでも満員で入れない児童のこと。09年4月時点(2万5384人)では前年比で3割増となり、同方法で統計を取る01年以降最高となった。自民党政権時代の08年、政府は10年間で利用者を100万人増やす「新待機児童ゼロ作戦」を発表し対策に乗り出したが、効果はまだ出ていない。

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コメント

子どもの育つ権利など二の次三の次ちゅうことで。
狭い空間に長い時間おしこめ我慢せいといって育てる・・
何時代にまでさかのぼればいいんでしょうね?

保育関係者の声が広がらないのは・・
運動会で忙しいから?
監査で忙しいから?
ああ体が三つ、いや四つ欲しいですよ。

私ら乾いたゾーキン状態です。

「ちゃんとした保育所」を作る気がない行政。
やる気満々の「保育ビジネス業界」。
この両輪が保育を滅びの道へところがっていくような感じ・・

ただでさえ劣悪な施設基準と職員配置基準。
待機児童の原因、つまり保育所が増えないことの原因が
これらの基準にある、などというのは愚かな考えですね。

地方分権を隠れ蓑に、次々とおかしなことがやられています。

基準の「規制緩和」は、なんとしても阻止をしないと。

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