ファザーリング・ジャパンの要望書に全面的に賛同する
「父親であることを楽しむ生き方」の理解・浸透した社会をめざす、
NPO法人ファザーリング・ジャンパンが10月22日、厚生労働大臣と少子化・男女共同参画担当大臣にあてて「鳩山政権への要望書」を提出した。
私は、働き方の見直し「ワーク・ライフ・バランス」の実現、保育所の面積や人員配置などの国基準の維持のもとでの待機児解消、子ども手当に所得制限を設けることなど、全面的に賛同する。
NPO法人ファザーリング・ジャパン
http://www.fathering.jp/
◇ 子育て支援に関する要望書を長妻厚労相、福島少子化相へ提出
(ファザーリング・ジャパン 鳩山政権への要望書 2009/10/22 PDFファイル)
http://www.fathering.jp/pdf/youbou.pdf平成21年10月22日
長妻昭 厚生労働大臣 殿
福島みずほ 内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画) 殿
特定非営利活動法人ファザーリング・ジャパン
代表理事 安藤哲也
鳩山政権への要望書平成21年8月30日に行われた第45回衆議院議員選挙において、民主党が過半数をはるかに超える308議席を獲得した結果、民主党・社民党・国民新党による鳩山連立政権が誕生したことは、新たな政治への幕が開けたものと強く期待しているところです。特に今回の選挙では、少子化、子育て、雇用など、生き方や働き方に関わる問題が大きな争点となり、子育て世代や若年層の有権者がこれまで以上に政治に関心を持って一票を投じました。
特定非営利活動法人ファザーリング・ジャパン(以下、FJ)では、「笑っている父親」をもっと増やし、主体的に子育てに関わることの大切さを日々訴えておりますが、こうした啓発活動と同時に、政治がもっと少子化や子育ての問題について積極的に取り組むよう強く訴えてきました。
そこでFJでは、鳩山内閣の発足に当たり、少子化や子育ての問題を所管する厚生労働大臣及び内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)に対して、以下の事項について早急に実行するよう強く希望いたします。
なお、今回の総選挙に当たり、FJが主要政党に独自にアンケート調査を行いましたところ、政権与党の民主党、社民党、国民新党からも回答がありましたので、その結果を、別添1、2、3にて示します。記
○ワーク・ライフ・バランスの実現について
父親が子育てや家事に関わる時間を増やすため、男性の育児休業の取得促進を図ることと併せて、長時間労働の抑制や有給休暇の取得促進などの施策を同時並行して進めることにより、1人ひとりのニーズに対応したワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現させること。
今年8月に厚生労働省が発表した平成20年度の男性の育児休業取得率は、前年度比0.33ポイント減の1.23%という結果となりました。平成19年12月に策定されたワーク・ライフ・バランス行動指針では、平成29年の男性育児休業取得率の目標を10%に設定しており、このような低水準のままでは、目標
の達成は非常に困難であると言わざるを得ません。今年6月には、改正育児・介護休業法が全会一致で成立しましたが、男性の育児休業取得を促進させるためには、「男性の働き方」そのものにメスを入れる必要があります。
来年4月1日から、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率を50%に引き上げること(中小企業は当分の間、適用猶予)などを盛り込んだ改正労働基準法が施行されるのに伴い、企業に対して長時間労働を抑制するための指導監督をさらに強化すべきと考えます。また、年次有給休暇についても、行動指針の中で「有給休暇の完全取得」を目標に掲げておりますので、企業への周知啓発を徹底するよう求めます。
一方で、こうした法律上の最低基準を遵守させるだけではなく、積極的にワーク・ライフ・バランスに取り組む企業に対しては、税制上のインセンティブ措置を設けることなども検討すべきだと考えます。その際、経営基盤の脆弱な中小企業に対しては、国による手厚い支援が受けられるような制度設計が求められます。○保育所待機児童の解消について
急増している保育所の待機児童に対応するため、質の高い保育環境を担保しつつ、保育所の増設や保育士の増員を図り、待機児童の問題を解消させること。
都市部を中心に保育所の待機児童数が平成21年4月時点で、前年比5,834人増の2万5,384人と急激に増加しています。質の高い保育環境を整備しつつも、地域の実情に合わせた形で、保育所設置の認可基準を弾力的に運用することや、保育士の人材を確保するため、給与などの待遇面を改善することが必要です。
待機児童を抱えたまま、働きたくても働けない状態を国が放置することは、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」と定めた日本国憲法第27条第1項にある勤労の権利を奪うものであり、一方ですべての国民に勤労の義務を負わせる以上、働きたい人が働くことができる環境を整備することは国としての最低限の責務であると考えます。
また、健やかな子どもの成長確保のためには、すべての子に質の高い保育が保障される必要があります。保育の「量」の確保を優先していたずらに国際基準からも低水準にある現行の保育所設置の認可基準をさらに緩和することは、保育の「質」のさらなる悪化に繋がるおそれもあり、決して行うべきではありません。仮に認可基準の弾力的運用を行う場合にあっても、限定的、例外的なものに留めることも必要です。
さらに、待機児童を抱える家庭が保育ママ制度や家庭保育室などの利用するに当たっては、特別な支援金などを支給することが必要と考えます。○父子家庭への児童扶養手当支給について
低所得の父子家庭世帯が増えていることから、現在、母子家庭だけに支給されている児童扶養手当を父子家庭にも支給し、「ひとり親家庭」に対する手当に転換すること。
厚生労働省はこれまで、199世帯を対象にした調査結果を根拠に「父子家庭の方が母子家庭よりも平均年収が高い」と結論付け、国として父子家庭に対する手当を支給してきませんでした。しかし、約20万世帯といわれている父子家庭(平成17年度国勢調査)のうち、年収300万未満は全体の約4割(平成18年度厚生労働省全国母子家庭等調査結果報告)とされ、困窮する父子家庭は確実に増加しています。
FJでは、父子家庭への児童扶養手当の支給を訴えるために、今年2月に父子家庭支援基金(フレンチトースト基金)を立ち上げました。今回の民主党のマニフェストには、「母子家庭と同様に、父子家庭にも児童扶養手当を支給する」とあり、これまでの「母子家庭」のみの支給から「ひとり親家庭」への支給へと、大きな政策転換が図られるものと考えております。FJが訴えてきたことが実現に向けて動き出すことは、困窮状態にあった低所得の父子家庭への大きなエールにもなります。しかし、残念なことに、平成22年度概算要求では、要求額を示さない事項要求に留まっており、明確に施策として実行されるのか不透明な状態です。
まもなく開かれる臨時国会、もしくは次期通常国会において、父子家庭への児童扶養手当を支給するための法案を提出し、速やかに法制化するよう強く求めるところです。○子ども手当の支給について
子ども1人当たり一律2万6,000円が支給される子ども手当(平成22年度は、その半額)については、全世帯への支給とするのではなく、現行の児童手当と同様、所得制限を設け、財源を有効に再分配すること。
所得制限を設けない理由について民主党では、「社会全体で子どもを育んでいくことが大事だから」と説明しておりますが、高所得世帯に対して他の世帯と同じような現金支給を行うよりも、例えば「地域社会の中で子どもを育てていくための環境づくり整備」などの財源として使うことのほうが、高所得世帯にとってもメリットがあるのではないかと考えます。
また、たとえ低所得世帯であっても安心して子どもを生み育てられる社会を構築することこそ、友愛を追求する鳩山内閣に求められていることだと思います。そのためにも、限りある財源を効果的に使うべきです。以上
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