緊急経済対策に保育制度転換が 誰がどこで入れ込んだのか
マニフェスト、マニフェスト、と言いながら、新政権は保育政策をマニフェストにも連立合意にもない方向へ、前政権でさえやろうにもできなかった市場化路線へ舵をきろうとしているということが、12月8日に閣議決定され発表された「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(PDFファイル)で明らかになった。
7.2兆円などという規模が大きく報道されているが、問題は中身だ。
自民党と公明党の連立政権のもとでスタートした保育制度論議の審議会ですすめようとしているものの、まだ結論が出ていないことが、突如として新政権の緊急経済対策にほぼ盛り込まれた。新政権で保育政策を担当している山井和則厚生労働政務官が野党時代の2月の国会で厳しく批判していた路線(当時の質疑全文はこちらの中盤です)。
矛盾は大きい。福島みずほ少子化担当大臣も、この路線との差は大きかったはず。どこから持ち込まれた政治主導なのか。
保護者が求めているのはこの流れの延長なのか。
特に保育関係者は、参加・参画型で新しい政権、議員にしっかり違うぞと声をあげなければ。
就労支援については一定の評価はできても、「制度・規制改革プロジェクト」は規制緩和・市場化路線がむき出しになっている。
***
Ⅱ.具体的な対策
1.雇用―緊急対応策を強化するとともに、雇用戦略を推進する。
<緊急対応>
(1)雇用調整助成金の要件緩和
(2)貧困・困窮者支援の強化
(3)新卒者支援の強化
(4)緊急雇用創造の拡充
(5)保育サービスの拡充等女性の就労支援
(5)を抜粋
女性が働きやすい環境づくりのため、良質な保育サービス等の拡充、母子家庭等の在宅就業の支援に取り組む。
<具体的な措置>
○待機児童解消への取組
・ 地域の余裕スペースの活用等による認可保育所の分園等設置の促進、家庭的保育の拡充により、待機児童の大半を占める低年齢児の良質な保育を拡充する。
・ 沖縄県においては、独自の事業基金を活用した補助制度の見直しにより認可外保育施設の認可化や質の向上の取組を推進する。
○母子家庭等の在宅就業支援
・ 仕事と家庭の両立を図りやすい働き方として、母子家庭等の「在宅就業」の拡大を図るための自治体の取組をさらに推進する。
○「育児・介護休業トラブル防止指導員(仮称)」の設置
・ 「育休切り」等のトラブル防止のための周知・指導や相談を実施する。
***
6.「国民潜在力」の発揮
―「ルールの変更」や社会参加支援を通じて、国民の潜在力の発揮による景気回復を目指す。
(1)「制度・規制改革プロジェクト(仮称)」
(2)「『新しい公共』推進プロジェクト(仮称)」
(3)「働く人の休暇取得推進プロジェクト(仮称)」
(1)「制度・規制改革プロジェクト(仮称)」を一部抜粋
新たな需要創出に向けて、これまで大きな岩盤に突き当たり、停滞していた制度・規制改革に正面から取り組む。
①制度・規制改革
新たな需要創出に向けた規制改革の重要課題については、行政刷新会議において下記を含む重点テーマを設定し、その実現に向け積極的に取り組む。
<具体的な措置>
○幼保一体化を含めた保育分野の制度・規制改革
― 幼保一体化を含め、新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の構築を進める。
― このため、主担当となる閣僚を定め、関係閣僚の参加も得て、新たな制度について平成22年前半を目途に基本的な方向を固め、平成23年通常国会までに所要の法案を提出する。
(ア)利用者本位の保育制度に向けた抜本的な改革
・ 利用者と事業者の間の公的契約制度の導入、保育に欠ける要件の見直し、利用者補助方式への転換の方向など、利用者本位の制度を実現する。また、保育料設定の在り方について、水準の在り方も含め、制度設計の中で検討する。
(イ)イコールフッティングによる株式会社・NPO の参入促進
・ 株式会社、NPO・社会的企業も含めた更なる参入促進を図るべく、客観的基準による指定制度の導入を検討する。
・ また、施設整備補助の在り方、運営費の使途範囲・会計基準等の見直しについても、制度設計の中で検討する。
(ウ)幼保一体化の推進
・ 上記制度における新たな給付体系の検討等とあわせて、認定こども園制度の在り方など幼児教育、保育の総合的な提供(幼保一体化)の在り方についても検討し、結論を得る。
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