公設派遣村閉村、飛び交う批判に
「公設派遣村」が1月18日に閉村した。
「2万円を給付したら200人が逃げた」とは事実ではない。
もちろん、がんばらない、がんばれない人もいる。
保護や給付を受けずに、きついなかでがんばっている一人ひとりに余裕はなく、がんばれていない人に対する目は厳しくなっている。
そう指摘する私にもその傾向はある。
だからと言って、50畳か60畳のプレハブ施設の部屋に、35人で寝起きしろということがあっていいのか。
6人か7人部屋の刑務所生活よりも厳しい状況で。
最低限度の生活が保障されていないなかで、「がんばれがんばれ」と求めるのは酷ではないか。
また、がんばらない人だとして、路上に放り出したり、持病をそのままにしていいのか。
私もモラルやルールを守らないことは批判されるべきだと思う。
しかし、その批判ばかりをしていると、本当に必要な支援がされなくなったり、切実な権利の抑制にもつながったりも。
レッテルをきらって、自分が支援の対象になるのかあえて調べない人や申請しない人も少なくないはずだ。
◇公設派遣村:都の派遣村閉所 登録562人、うち419人に生活保護など
(2010/1/18毎日新聞夕刊)
http://mainichi.jp/select/wadai/archive/news/2010/01/18/20100118dde041040004000c.html失業者の年末年始を支援する国と東京都の公設派遣村が18日閉所した。生活保護を受給してアパートなどに入居した利用者らを除く264人が、都の日雇い労働者向け宿泊施設「なぎさ寮」(大田区)から送迎バスに乗り込み、それぞれの行き先に向かった。
公設派遣村は昨年12月28日に渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開所。今月5日からなぎさ寮で支援が継続された。都によると、17日までに登録者562人のうち419人に対し、生活保護や住宅手当など区市の支援が決定。ほかにハローワークの就職安定資金融資を受けた人が1人、就職による自主退寮が15人、帰郷や理由不明の自主退寮が13人、寮内での飲酒による強制退寮が2人、死亡が1人。111人が所在不明になっている。18日までなぎさ寮に残った利用者はバスで近くの駅まで送られ、入居するアパートや住居が決まるまでの一時滞在場所として区市が準備したカプセルホテルへ向かった。
「今日から自分の部屋で安心して眠れる」。マンガ喫茶から日雇いの仕事に通う生活を続けてきた男性(30)は、江東区で生活保護を受けることが決まり「早く仕事を見つけたい」と話した。別の男性(54)は「困った人が来年も支援を受けられるよう、恩返しのつもりで頑張る」。住居が定まり介護関係の就職を決めた男性(54)は「何割かは自立を果たしている。こういう事業は重要だ」と話した。
昨年の派遣村村長で今回は内閣府参与として事業にかかわった湯浅誠さんは「労働行政を担う国と福祉行政を担う自治体の関係など問題点もあった。低家賃住宅の確保と通年の支援体制の強化が課題だ」と話した。【市川明代、東海林智】
内閣府参与で、1年前の年越し派遣村村長をつとめた湯浅誠氏が都政新報1月15日付で、いわゆるマスコミバッシングに警鐘を鳴らしている。それに対して産経新聞はwebで反論を掲載したが。。。
その湯浅氏の投稿も引用した下記レポートを興味深く読んだ。
雨宮処凛がゆく!第131回 マガジン9条
公設派遣村、「閉村」。の巻(2010/1/20)
http://www.magazine9.jp/karin/100120/
世論は分断されてきている。
誤った雇用政策の切り替え、貧困対策の改善にむけて、課題はさまざまにある。
試行錯誤でやっていくしかない。
大切なことは、むやみにレッテルをはらないことだと私は思うのだけれど。
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