沖縄県民大会を前に思うこと
4月25日、沖縄では普天間飛行場の県内移設に反対する4・25県民大会が開催される。
私は東京での学生時代に1度、就職して2度、沖縄の基地調査に参加したことがある。
突然の轟音と低空飛行に何度も衝撃をうけた。沖縄の人々のひとの良さにも。
その後、沖縄では県知事選や名護市長選などでたびたび「基地」「経済」などという矛盾にまみれた踏み絵を踏まされ、
本質的な解決をみないまま、今回初めて本格的な政治課題にのぼった。
先の春のセンバツ高校野球大会では、沖縄の興南高校が初優勝した。
ずっと書きたかったこと。いろいろ考えて、県民大会を目前にした今日を選んだ。
4月4日付の日刊スポーツが、エース島袋君の意外な過去と切なる願いにふれている。
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「沖縄が力があるところを見せたかった」。小さいときから沖縄が抱える痛みを肌で感じて育ってきた。自宅は移設問題で揺れる普天間基地の近く。小6のとき、近所で米軍ヘリ墜落炎上事故が起こった。炎上したヘリの破片は自宅アパート前にも飛んできたという。児童会長だったため、宜野湾市内で開催された市民集会で1万人を超える参加者の前でスピーチをした。「安心して生活できる環境になってほしい」。切なる願いを訴えた少年は6年後、県民を沸かせるエースへと成長。不安を抱える地元の人へ頑張る姿を届けた。
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こんなことを書くと、基地問題と高校野球をからめるなと批判されるのかもしれない。
しかし、現実に、基地という政治がスポーツを含む生活に持ち込まれている。
さらにこれを放置しつづけてきたのは、政治と私たちおとなの責任に違いない。
騒音被害の厳しい地域の学校では、
轟音による授業の中断がよくあると聞く。
さらに、「プレイボール」「ストライク」のコールも聞き取りにくいとすれば、スポーツとは、政治とは・・・。
記者の視点と構成力に敬意を表し、
「安心して生活できる環境になってほしい」という願いに応えることができてない責任を感じつつ、私は沖縄県民大会と連帯する。
◇「市報ぎのわん」(平成16年9月13日号)PDFファイル
http://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/00194_00004.pdf
※島袋くんの当時の写真とスピーチの概要も
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◇島袋198球12回完投!興南初V/センバツ(2010/4/4日刊スポーツ)
http://www.nikkansports.com/baseball/highschool/senbatsu/2010/news/p-bb-tp3-20100404-614031.html<センバツ高校野球:興南10-5日大三>◇3日◇決勝
悲運のエースが、春の日本一に輝いた。トルネード左腕、島袋洋奨投手(3年)擁する興南(沖縄)が、延長12回の末、10-5で日大三(東京)を破り、初優勝を飾った。島袋は198球を投げ抜き、8安打11奪三振で、大会通算49三振とした。打っても2安打4打点と活躍。興南・我如古(がねこ)盛次主将(3年)と日大三のエース左腕、山崎福也(さちや)投手(3年)はともに大会タイとなる通算13安打をマーク。
「沖縄のトルネード」こと島袋が、頂点に立った。センバツ決勝としては21年ぶりの延長を制した。延長12回、198球を投げきった左腕は「今日も気持ちよく投げられました。疲れは全く感じませんでした」と笑った。
最高の舞台で最高に楽しんだ。2回は自らのけん制悪送球で2失点。「自分でも記憶がない」という1試合2本塁打を浴びて6回までに5失点。だが7回以降は立ち直り、許した安打は12回の二塁打1本だけ。5失策にも崩れることなく投げきった。「今日は心でカバーしましたね。ミスにも心は折れなかった」と、我喜屋監督からもお褒めの言葉をもらった。
「沖縄が力があるところを見せたかった」。小さいときから沖縄が抱える痛みを肌で感じて育ってきた。自宅は移設問題で揺れる普天間基地の近く。小6のとき、近所で米軍ヘリ墜落炎上事故が起こった。炎上したヘリの破片は自宅アパート前にも飛んできたという。児童会長だったため、宜野湾市内で開催された市民集会で1万人を超える参加者の前でスピーチをした。「安心して生活できる環境になってほしい」。切なる願いを訴えた少年は6年後、県民を沸かせるエースへと成長。不安を抱える地元の人へ頑張る姿を届けた。
昨年センバツは延長10回19奪三振も負け、昨夏も打線の援護なく明豊(大分)に敗れた。そんな「悲運のエース」が、5試合689球で「幸せ」をつかんだ。2年ぶりに優勝旗を沖縄へ持ち帰る。「夏また戻ってきて、みんなで1勝から始めます」。大昭和製紙北海道の選手として74年都市対抗野球を制し、「南北」で歓喜を味わった我喜屋監督は「ベンチ、お客さん、沖縄みんなの総合力だと思う」と感謝した。沖縄球児の悲願である夏の優勝へ。さらに成長したトルネードが夏、もっと大きな嵐を巻き起こす。【前田泰子】
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