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2010.06.23

投げ出さず、責めすぎず

自信が持てない。

そんな人がまわりに少なくない。

社会が、政治が、人々が厳しくなっていることのあらわれだと思う。

やって当たり前。

がんばって当たり前。

自己肯定感が持ちづらい世の中。

この歌が違う角度で注目を浴びたのは曲調の方だけど、歌詞がなんとも印象的。

そのままの君でいて 岡本真夜 歌詞情報
http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND9546/index.html

それにしても、やっぱり香山リカさんのコラムはいつも興味深い。



***
◇香山リカのココロの万華鏡:自分を認め受け入れて
(2010/6/22毎日新聞東京版)
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20100622ddlk13070212000c.html

 診察室には、「自信が持てない」という人が大勢、やって来る。いまの生活やこれまでの人生の話を聞きながら、私はいつも同じようなことを言う。「うーん、十分、自信をお持ちになっていいと思いますけれどね」

 そうしたら先日、ある患者さんにこんなことを言われた。

 「やっぱり自信を持たなきゃ、ダメなんですか? 自信がないまま、なんとかうまく生きていくことはできないですか?」

 私は、その言葉にハッとした。本当にその通りだ。「いまのままでいいんですよ」と言いたかったはずなのに、つい私も「さあ、自信を持ちましょう」と強要していたのだ。よく考えたら、「いまのままでいい」のであれば、「自信がないままでもいい」ということになるはずだ。私はそう教えてくれた患者さんの前で、「そうですよね、自信なんか持てなくたっていいんですよね」としみじみつぶやいた。

 とはいえ、自信が持てないまま、毎日を生きていくのはけっこうしんどい。他人に対して引け目を感じたり、ちょっと批判されると落ち込んでしまったり。「私ってダメだなあ」と思って、生きていく元気さえなくなることもあるだろう。

 でも、だからといって、「自信を持とう、持とう!」と呪文のように繰り返して自分を鼓舞すれば、それで何かが変わるわけではない。「ああ、また落ち込んじゃった。でも、これも私だし、このままでいいんだ。またいつかは明るい気持ちにもなれるだろう」と自信のない自分を認め、受け入れるところからでなければ、何ごとも始まらないのかもしれない。

 世の中を見わたせば、自信のない人や会社がいっぱいで、みんなが政治に「また自信が持てる私に戻してほしい」と願っている。社会が本当によい方向に変わって自信が回復するならよいけれど、「日本は大丈夫! 私にすべてまかせてください!」と魔法にかけられ、自信が持てたような錯覚に陥ったところで、実は何も変わらない。

 自信が持てないままでも、まずできることをひとつひとつクリアしていくこと。「なんとか自信を持たなきゃ」とあせらないようにすること。「もうダメだ」と投げ出したり、自分を責めすぎたりしないこと。そんな生き方が、いま個人にも社会にも求められているのではないだろうか。
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