「ビジネスを短期間に大きく育てる」
小中学校、特に低学年の子どもに対するおとなの割合を増やす方針が新政権スタート後、かたまってきた。
一方で、昨日閣議決定された今後10年の新成長戦略では、保育の規制緩和も含んで経済成長をめざすという。
その戦略をうけて、私が15年以上読んでいる朝日新聞は社説で、さらにその展開を求めている。
学校の基準は国として強める。それより小さい子どもの発達については、本格的なビジネス対象に。
規制を緩めないとビジネスは展開されていかない。
そのもとで何が起こるのか。
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◇新成長戦略―内需充実、外需発掘を(2010/6/19 朝日新聞社説)
掲げた目標を達成する道筋は険しいが、だからこそ全力で挑む必要も値打ちもあると言える。
菅直人政権が発表した新成長戦略は、来年度にも日本経済をデフレから脱却させ、名目成長率を2020年度までの年平均で3%に引き上げるとの意欲的な目標を掲げた。ここ10年、名目成長がマイナスであることに照らせば目標数値はきわめて高いが、挑戦する意思と指導力を買いたい。
菅首相が掲げる「強い経済、強い財政、強い社会保障」を実現するには、何より成長が不可欠である。
首相が「消費税10%」の検討姿勢を示して並々ならぬ意欲を見せた財政改革にしても、社会保障の立て直しにしても、デフレやマイナス成長ではとてもかなわない。
デフレが需要不足から起きている以上、投資や消費を増やすことが脱デフレと成長に大切だが、その中身を時代に合わせて見直さねばならない。
モノをたくさん買うことによる「内需の拡大」でなく、医療や介護、観光など生活の質を高めるような「内需の充実」が求められよう。
外需では、米欧の景気頼みで日本製品を売ってきた「輸出依存」を脱し、新興国や途上国のニーズに合わせたものづくりや、温暖化対策関連の市場開拓にも力を注ぐといった「外需発掘」の発想が必要だ。
企業がそんな転換を進めるための舞台やルールづくりが政府の仕事だ。
新成長戦略は環境・エネルギー、健康、アジア、観光立国など七つの戦略分野と21の重点プロジェクトを掲げた。どれもやるべき事業だ。
ただ、潜在成長率を引き下げている構造要因である少子化・人口減少問題への取り組みが総花的すぎて、淡泊さが否めない。本気で迅速に取り組むことが必要だ。移民や定年年齢引き上げといった政治課題も避けて通れないテーマではないだろうか。
女性の力をもっと社会に生かすことも経済成長に役立つ。その基盤づくりを進める上でも介護、保育ビジネスを短期間に大きく育てるといった、思い切った手を打てないものか。
参院選への思惑から、避けているテーマもある。代表例が農業の市場開放だ。今年度から導入した農家への戸別所得補償制度は農業を下支えする。それをもとに米国や中国、韓国との自由貿易協定づくりに弾みをつけるのが、あるべき成長への道筋だが、これでは何とも説得力を欠く。
昨年末に新成長戦略の基本方針づくりを国家戦略相として指揮した菅氏は、過去10年間に自民党政権下でできた10を超す成長戦略が失敗に終わった理由を「ビジョンと政治的なリーダーシップの不足」と語った。さて、菅さんはどうか。
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◇公立小中学校、1クラス35人~30人検討へ 文科省
2010年6月19日 asahi.com
http://www.asahi.com/national/update/0619/TKY201006180628.html
文部科学省は、法律で定められている公立小中学校の1学級あたりの上限人数を、現在の40人から35人程度に引き下げる方向で近く検討に入る。小学校1、2年生については、特にきめ細かい指導が必要だとして、さらに少ない30人とすることも視野に入れている。来年の通常国会での法改正を目指す。実現すれば、1980年度に45人から40人になって以来、約30年ぶりとなる。
中央教育審議会(文科相の諮問機関)が18日、新学習指導要領で指導内容や授業時数が増えることや、いじめ、不登校など生徒指導上の課題が増加していることなどを踏まえ、(1)「40人」の引き下げが必要(2)小学校1、2年生はさらなる引き下げの検討が必要との提言骨子をまとめた。
上限人数の具体的な数字は盛り込まれなかったが、文科省はこれを受けて、教員や保護者、教育関係諸団体からの意見聴取の結果なども踏まえつつ、35人程度とする方向で検討に入る予定だ。
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