理想の姿
心に余裕がないと、見えないことが多くなる。
ゆとりのない社会で先行きが見えず、みんな不安に陥っていて悪循環の連鎖を生む。
これが現代社会。
以前から注目してきた香山リカさんのコラムは、やはり鋭い。
私は親ではないけれど、年下と接することは当然年々増えてきているわけで。
なかには干支一回り以上若い人もいて。
言葉が通じているのか、対応にアタフタ。
名前覚えて、全体をどうするかで精一杯の日も多く。
誰が誰で、誰がどうで・・・。
でも、それだけでは・・・。
謙虚にとらえ、考えあいたいものです。
***
◇香山リカのココロの万華鏡:理想の親の姿 /東京
(2010/10/5毎日新聞地方版)
http://mainichi.jp/life/health/kokoro/news/20101005ddlk13070278000c.html北海道出身の私は、いつのまにか日本ハムファイターズのファンになっていた。帰省するたびに実家の家族や地元の友人が、ファイターズの話をするのを聞かされていたからだろう。
今季のファイターズはいつもの調子がなかなか出ずに、前半戦では最下位に甘んじていた時期もあった。ところが後半ではかなり持ち直し、「クライマックスシリーズ(CS)に出られるかも」とファンの期待は高まった。結局、自力で3位をつかみ取ることはできず、CS出場となるためには、ロッテが最終戦でオリックスに敗れることが条件ということになった。
そのロッテの最終戦が行われる日、北海道の中学のミニ同窓会が、ファイターズの森本稀哲選手の実家が営む東京・日暮里の焼き肉屋で開かれることになった。同級生のうちの何割かは首都圏で仕事をしているので、ときどき集まりを開いているのだ。
ファイターズにとっての“運命の日”が同窓会の開催日になったのは、たまたまのこと。自力でCSに出られないためか、ファイターズファンが押し寄せるということもなく、店内は比較的、静かだった。私たちもおしゃべり半分、テレビでロッテ戦観戦半分、という感じですごした。
結果は、ロッテ勝利。ファイターズは4位でシリーズ終了となり、5年連続のポストシーズン出場は夢と消えた。「あーあ」と店内の人たちがため息をついたとき、パチパチという拍手の音が聞こえてきた。音のする方を見ると、森本選手そっくりの父親が手をたたいている。
「ロッテもがんばった。でも、ファイターズも最下位からよくここまで来たよ。がんばった。よくやったよ」
わが息子のいるチームと、そして見事3位となったライバルチームに、心からのエールを送っているのである。失意のあまりうなだれる私たちはなかなか手をたたけなかったが、“森本パパ”の拍手はいつまでも続いた。
私は、ここに誰もがあこがれる“理想の親”の姿がある、と思った。
結果がすばらしいからほめてくれるのではない。1位じゃなくたって、みんなはがっかりしたって、親である自分からすれば、息子はいつだってすばらしい。そう思ってもらえたら、子どもはどんなにうれしく、勇気が出ることか。
誰もがそんな親になれるわけではないが、目指してみるくらいはできるかも。私も、学生や患者さんに対して、こうやって心の底から肯定してあげられる存在になりたい、と思った。
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