伝わるように、わかるように 作文のススメ
この方の著書をいくつか購入したばかり。
毎回コラムを読むたびに影響をうけている。
どんなことを思ったか、より、まずどんなことがあったのか、考える。
その上で書くこと。
「楽しさが読む人に伝わるように」「つらいと思ったのなら、そのつらさがわかるように」。
伝わるように、わかるように。
「書く」のではなく、「描く」のだと。
キレというよりコクのある文章が描けそうな気がしてくる。
気がすることが、大切なような気がするんだ。
***
◇しあわせのトンボ:「感想」ではなく「体験」を=近藤勝重
(2010/11/26毎日新聞夕刊)
http://mainichi.jp/select/opinion/kondo/news/20101126dde012070017000c.html
「作文が苦手なんです。何をどう書けばいいのか。いい手立てはないでしょうか」「文章表現」の授業を担当している某大学の学生たちも、就職活動で大変なのだろう。冒頭のようなことをよく聞かれる。ぼくは逆に問うてみる。
「作文の題が『秋』だとすると、みんなは秋をどう思うか、と自問する。でも、寂しいなあと思うぐらい。それで、うんうんうなることになるんだね」
うなずいている顔を見て、ぼくは言う。「秋について、どう思うか、ではなく、どんなことを思い出すか、と頭を働かせたらどうだろう。大学祭にしろ、紅葉狩りにしろ、体験は記憶されているから、思い出すことなら書けるんじゃないかな」
よく作文では「思ったことを書けばいい」といったことが言われる。しかし思ったことというのは心の中だから、目には見えない。それに比べ体験したことは、具体的な事柄として目に浮かんでくるから書きやすい。そのうえで、その体験をどう思うか、と心に問うてみる。楽しいと思ったのなら、楽しさが読む人に伝わるようにその時の状況を描写する。つらいと思ったのなら、そのつらさがわかるように描けばいいのである。
実は先日、母校の愛媛県新居浜市立大生院中学校に招かれて「作文教室」を開いた際、そんな話をして「つらいと思ったこと」を生徒たちに書いてもらった。メモ書きする程度の時間しかなかったのだが、結構いい内容の文章が集まった。そのうちのひとつ、中3女子の作品を紹介したい。
<母とけんかをした。それからというもの、母はしばらく口をきいてくれなくなった。
一緒にご飯を食べている時も、お笑い番組を見ている時も、二人とも、黙ったままだ。いつもなら家族の笑い声が聞こえてくるのだが、なぜか今日は静まりかえっている。
ただ、テレビから笑い声が聞こえるだけだ>
ここには「つらい」という言葉は一つも使われていない。しかし、実際の光景とともに、女子生徒のつらいという気持ちが描き出されている。
原稿用紙に向かう。誰だってすっと書けるものではない。そこで、思うことより思い出すことは、と頭を働かせる。要は感想より体験したことを報告するつもりで文章を作るわけだ。作文はそこから始まるのではなかろうか。(夕刊編集長)
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