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2010.11.25

心やさしくありたい

この人のコラムは、展開も切り口も本当に考えさせられることが多い。

視点が鋭いのに、やわらかく、あたたかく、やさしいのだ。

勤労感謝の日のそれも。

心やさしい人はより傷つきやすくなる一方で、攻撃的な声の大きな人が道の真ん中を歩く社会になっているように思う。

遠慮したり、譲ったり、まわりをみながらゆっくり歩いたりする人は置いていかれがち。

心やさしくありたいものだ。私にできることはなんだろうなぁ。

***
◇香山リカのココロの万華鏡:心やさしい患者さん /東京
(2010/11/23毎日新聞東京版)

 なにがあっても舞台を休まないのが役者魂なら、外来診療は休まないのが医者魂。

 長い間、ひそかにそう思って粋がっていたが、どうしてもはずせない急用が生じ、あえなく休診にしなければならなくなった。看護師さんに連絡し、代診の医師の手配や患者さんへの説明を頼んだ。

 なんとかその日が終わり、次の診療日に病院に行くときは、いつになく胸がドキドキ。「いやー、前回はたいへんでしたよ。患者さんたちも怒ってました」といった報告を受けるのではないか、と想像したからだ。

 ところが、私を待っていたのは看護師さんの意外な言葉だった。

「患者さんたち、みなさん、快く休診や代診を理解してくださいました。“先生、大丈夫ですか”と心配する人も多かったですよ。患者さんってやさしいですねえ」

 自分も具合が悪いから病院に通っているのに、逆に勝手に休診にしたこちらを気づかってくれるとは、なんてやさしい人たちなのだろう。思わずじーんとしながら、私は思い出した。そうだ、精神科の診察室にやって来る人たちの多くは、心やさしく「自分より相手」と考えてしまうような思いやりあふれる人たちなのだ。

 思えばこれまでも、患者さんたちのやさしさに助けられたことが何度もあった。若いころ勤めていた病院では、病室を回診するたびに患者さんたちから気づかいの声をかけられた。「先生、顔色悪いんじゃない? 働きすぎはダメだよ」「私は今日もいつも通りだからさ、ここで座って休んでいったほうがいいよ」。中には、お茶を入れてくれたり面会の家族にもらったお菓子を分けてくれたりする人たちもいた。

 逆に考えれば、いまの世の中は、心やさしい人であればあるほど、ストレスを受け、傷つけられてこころを病みやすい、ということなのではないか。「休診です」と連絡を受けて、「明日、診てもらえなけれは困ります! なんとか先生に出てもらってください」と強く自分の都合を主張できるような人なら、もしかしたらうつ病などにならずにすんだのかもしれない。

 だとすれば、心やさしい患者さんたちに甘えて、「やっぱり精神科医になってよかったな」と自分だけ満足しているわけにはいかないだろう。やさしい人たちがまわりからも評価され、ストレスなど感じずにすごせるようになるため、私ができることは何だろう。患者さんたちへの“恩返し”のためにも考えていきたい。
***

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コメント

すごく共感!!

仕事を休んだ日、家で私が熱だして休みなことになっていて、心配されたことが…。

それからちゃんと子どもたちにも休む前日には、話すようにしてみました。

普段からお互いのこと思える関係だからこそ休めない!って思えるのかも。

休日はしっかり休まないとね。また発熱などもムリしないで。「何で休んだのっ!」みたいな職場もあるなか、心配してくれる職員、子ども、保護者がいていいね大切にしあいたいね。

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