千葉ロッテのスタートダッシュを支えた俊足外野手と記者 その足跡
今年春、プロ野球観戦で数年ぶりに千葉マリンスタジアムに。
千葉ロッテの試合に足を運んだのは、オープン戦で暖かくなるにつれ、快足にその注目が高まってきたドラフト1位・荻野貴司外野手が気になって。
スタートからスピードにのって、スライディングしてもベースまでそれが落ちない。
そして、次の塁をねらう姿勢も鋭く。
そんな荻野選手は、ペナントレース開幕後、前年まで日替わりだった打線・打順を固定化する上で、俊足好打の脅威の2番として活躍し、その足を武器に千葉ロッテの快進撃を支える中心的な役割を果たしていった。
開幕から2ヶ月足らずの5月下旬、その脚を負傷し、離脱。全治4週間とされたものの、試合に出られる状態にまで治らず、今シーズン戻ることはできなかった。
46試合で3割2分6厘、盗塁25。ケガさえなければ、新人王で盗塁王、盗塁の新記録さえ期待させた大活躍だったが。
その穴をライバルたちがうめていった。シーズン後半にその打撃を開花させた同じルーキーでライバルの清田外野手。そして2人の子どもがいて、11歳年上の市役所勤務の奥さんに入団を反対されながら、「2年でだめなら」との約束で育成枠からはい上がり、日本シリーズで大活躍した同じ俊足の岡田選手が。
チームが総合力を発揮し、日本一に。
「(清田選手の活躍が)うらやましかった」と語り、悔しさを胸に完治にむけて練習を続ける荻野選手の状態は、まだ7割だという。
その期待は高く、キャプテンで総合力の高かった西岡選手がメジャー入りのなか、場合によっては大学時代に守っていたショートにコンバートというプランも球団関係者が明らかにしている。
荻野選手、毎日新聞千葉版に週1回「疾走!千葉ロッテ荻野貴司日記」という連載があるようだ。
取材・構成しているのは、荻野選手の兄である記者。
快足の弟の活躍、そして負傷、リハビリ、日本一。
その足跡を読者につづる兄。
来年こそ、シーズンを通してグランドを疾走する姿を。その記者も私も多くのファンも期待している。そして、その快足ぶりとそれを伝える記事がまたファンを増やすことになるに違いない。
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◇疾走!:千葉ロッテ荻野貴司日記 拡大版 清田選手が大当たり
(2010/11/6毎日新聞千葉版)
http://mainichi.jp/area/chiba/news/20101106ddlk12050069000c.html<スポーツちば>
◇きょう日本シリーズ第6戦
6日の日本シリーズ第6戦で、頂点にあと一歩と迫る千葉ロッテマリーンズが、中日ドラゴンズとナゴヤドームで戦う。負傷で戦列を離れている荻野貴司選手が同期のライバルにエールを送り、荻野選手を見守ってきた実兄、千葉支局の荻野公一記者も感想をつづった。今回は拡大版でお届けする。◇同期の活躍が刺激に
千葉ロッテマリーンズが日本一に王手をかけた。僕と同期に入団した清田育宏選手は日本シリーズ通算6打点で、シリーズ新人最多打点タイ記録の大当たりだ。僕は秋季キャンプに参加中。鴨川の宿舎のテレビで、彼の活躍を見ている。彼は僕と同様、社会人を経てプロに入り、守備位置も同じ外野手。社会人時代から守備が良く、足も速く、パンチ力もあり、総合的にいい選手だった。
その彼がロッテ入団を決意した時は「頑張ろな」「一緒に1軍で出たいな」と言葉を交わした。僕がシーズン前半戦に1軍で出場していた時、2軍で練習を積む清田選手と寮が同じで、気楽な話をたくさんした。彼は後半戦で1軍に定着。シリーズ中も「打ったよ」と電話をくれる。僕は「良かったやん」と喜ぶ。同期の活躍はうれしい。そして、できれば同じ舞台で一緒にプレーしたかった。
秋季キャンプで他の選手とは別メニューで練習する。ジョギングをし、7、8割の力でダッシュを数本。室内練習場で筋力トレーニングもする。夜はひざに負担をかけないようプールに行き、クロールで全身の筋力を鍛えている。同期の活躍は刺激になる。【まとめ・荻野公一】
◇弟の悔しさ胸にプレーする選手
2日、千葉マリンスタジアムでの日本シリーズ第3戦。四回2死満塁から清田選手の放った打球が、中堅手の頭上を越えた。走者一掃の三塁打で均衡を破り、勝利を引き寄せた。私は歓喜にどよめく右翼席で、清田選手の背番号1のユニホームを着た女性(27)に声を掛けた。偶然にも、彼女は清田選手の地元の鎌ケ谷市に住み、彼の友だちだという。「荻野選手のことをよく話してくれます」と、女性は言った。「荻野はけがで出られないけれど、あいつの分まで頑張るから、と」
レギュラーになれるか、なれないか。プロ野球は実力のある者のみが生き残る厳しい競争の世界。弟も清田選手も同じ外野手で、ライバルだ。弟が出場できないのは悔しい。でも、弟の悔しさを胸に秘め、プレーしてくれる選手がいることを知り、兄としてうれしかった。切磋琢磨(せっさたくま)し、互いに力を伸ばしてほしい。【荻野公一】
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