12月31日、朝8時半からNHKドキュメンタリー「99歳の詩人 心を救う言葉」
90歳過ぎで詩を書き始めたという、詩人・柴田トヨさんの詩集。
90万部をこえるベストセラー。
私も手に。
関連するドキュメンタリー番組が放送される。
言葉に励まされ、言葉によって支えあう私たち。
いま、人々に忙しさが襲い掛かり、ゆとりを奪い、社会に不安感があふれるほどに広がるなか、私たちに、その言葉の質が足りていないように思う。
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NHKヒューマンドキュメンタリー「99歳の詩人 心を救う言葉」
12月31日(金)総合 午前8:30~9:15
http://cgi4.nhk.or.jp/feature/index.cgi?p=oWKUQFJg&c=1
99歳の柴田トヨさんの詩集「くじけないで」が、今年3月の発売以来70万部の大ヒットとなっている。今も一人暮らしを続けるトヨさんが詩を書き始めたのは90歳を過ぎてから。一人の寂しさや、苦労の末につかんだささやかな幸せ、家族への愛を思うままに書きとめてきた。激動の時代を生き抜いた女性が「生きることの幸せ」をつづった詩は、同世代のお年寄りから、働き盛りの人、10代の若者まで、世代を越えて共感を呼んでいる。出版社に寄せられた反響の手紙は1万通以上。中には、口てい疫で生活の糧を失った宮崎県の農家もいる。トヨさんの詩を自分の身に置き換えて読み、前向きな気持ちを取り戻したという声が多い。番組では、100歳になる来年に向けて新作を作り続ける柴田トヨさんの詩の世界と、その心境を見つめる。また、一人のお年寄りの優しい言葉に勇気づけられ、不安な日々を乗り越えようとしている人々の思いを伝えていく。(柴田トヨさんの作品例)
「私ね 人からやさしさをもらったら 心に貯金しておくの さびしくなった時は
それを引き出して元気になる あなたも今から積んでおきなさい 年金よりいいわよ」
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〔追記>
明けて、2011年1月1日、NHK総合で13:05-13:50に再放送予定です。
やなせたかしさんによる書評もご参考に。
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【書評】『くじけないで』柴田トヨ著
(2010/3/28産経新聞)「くじけないで」 ■眼をさました詩の天使
すばらしい詩集です。今まで詩に興味のなかったひともこの柴田トヨさんの「くじけないで」はぜひ読んでみてください。人生いつだってこれから、何をはじめるにもおそ過ぎるということはないと元気がでてきます。
92歳から詩を書きはじめて、100歳近くなった現在までの詩を読んでいくと、詩の質が進歩していることにも感動します。
生きてるということは本当にすばらしいとうれしくなる。
「私が詩を書くきっかけは倅のすすめでした。腰を痛めて趣味の日本舞踊が踊れなくなり、気落ちしていた私をなぐさめるためでした」
と、あとがきにありますが、それが天の声で、トヨさんの心の中でねむっていた詩の天使が眼をさまして、人生の晩年に歌いだしたのだと思います。少しも枯れていない少女のような愛らしい声で。
詩はおもいついた時にノートに鉛筆で書き朗読しながら何度も書きなおして完成するので、1作品に1週間以上の時間がかかるそうですが、これは正しい詩のつくりかただと思います。
全部の詩がなめらかで読みやすい。耳にやさしくひびきます。
読んでいてひとりでにメロディが生まれて思わず歌ってしまった詩もありました。
ぼくは詩の楽しさはこういうところにもあると思っています。
読んでもなんのことやらよく解らず、相当な知識がないと理解できない難解な詩も、それはそれでそんな詩を愛するひとたちにはいいのだと理解していますが、誰でもがわかる詩で、イージーリスニングであるほうが、むしろぼくは好きです。
もし詩のボクシングで、柴田トヨさんとぼくがリングで対戦することになったら、たたかう前にぼくはギブアップして平伏してしまいます。
詩集の最後に「秘密」という詩があります。
九十八歳でも
恋はするのよ
夢だってみるの
雲にだって乗りたいわ
「ぼくもそうだ」と心の中でトヨさんにさけびました。(飛鳥新社・1000円) 評・やなせ たかし(漫画家)
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