「いろいろたいへんなのね」と、やりすごしたいこと
エビゾー騒動って、何なんだろう。
去年の、のりぴー騒ぎって…。
世の中のお騒がせというか、アオリにうんざり。
そんなとき、このブログに何度も登場している香山リカさんの切り口にうなづき、安心させられる。
日々のホッとする一瞬、微笑むやりとりこそ話題にしたい。
その積み重ねにありがたい幸せを感じて。
***
◇香山リカのココロの万華鏡:人に悩みはつきもの /東京
http://mainichi.jp/life/health/kokoro/news/20101214ddlk13070269000c.html
(2010/12/14毎日新聞地方版)ときどき、「人間って何だろう」と不思議になることがある。今回そう思ったのは、診察室の中でではない。毎朝テレビをつけた瞬間に、「今日もこの話題。なぜ?」と思うのだ。そう、「この話題」とは、歌舞伎俳優の市川海老蔵さん事件をめぐるあれこれ。一時期は、テレビの情報番組はまさに「それ一色」であった。海老蔵さんの記者会見には、500人を超える報道陣が集まったという。
考えられる理由はいろいろある。海老蔵さんが稀代の役者だから。人気キャスターと結婚したばかりで、私生活にも注目が集まっている時期だから。大スターには何かウラがあるのでは、という視聴者のちょっと意地悪な気持ちが刺激されたから……。
昨年の酒井法子さんの事件、ボクシングの亀田一家をめぐる問題、元横綱・朝青龍の問題のときもそうだった。私たちはときどき、このように誰もが知っている芸能人やスポーツ選手が、専門のフィールド以外の私生活で何か問題を起こすと、熱に浮かされたようにその話題に夢中になってしまう。メディアの中のイメージと問題のギャップが激しい場合もそうだし、メディアでのイメージを「やっぱり」と裏付けてくれる場合も同様。今回の海老蔵さんの事件は、どちらかというと後者に相当するのでないだろうか。そして、あるときサーッと波が引くように関心が薄れ、「あれは何だったのか」ということに。そんなことを繰り返し、いつのまにか時間がたっていく、というわけだ。
なんだか時間の無駄、という感じもするが、やや強引にここから何か得ることはないか、と考えてみよう。もし何かあるとしたら、「完璧な人間は誰もいない」「完全な幸福などどこにもない」ということか。私たちが日々の生活で悩んでいるように、スターと呼ばれる人たちも、ストレスに苦しみ、トラブルに巻き込まれ、自分をコントロールできなくなったりして、思わぬ落とし穴に足をとられる場合もあるのだ。
診察室にも、誰からも見ても幸福というような人が、「実は家庭がドロドロで」などと悩みを抱えて現れることがある。格差社会というが、「人間には悩みがつきもの」という点においてだけは、いまでも世の中、平等なのかもしれない。とはいえ、ひとつのスキャンダルに夢中になりすぎて自分の現実生活がおろそかに、というのもなんだかむなしい。「あのスターも非の打ちどころがないみたいだったけれど、いろいろたいへんなのね」と軽くやりすごして、年末の準備にでも取りかかりたいものだ。
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