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2011.01.30

書いて考えるという習慣を生活に

この人(コラムニスト)と相性がとにかくあう。

うなずくことばかり。

最近特に、表面だけをとらえて口で言ってみたり、整理されないままメールで伝えてみたり、そんな場面に出くわす。

それがいけないとは言わないけれど、そればかりになっていないだろうか。

まわりも、社会も、政治もそんな気がする。

言葉がしっかり伝わってこない。

受け手・聞き手である私の姿勢にも問題があるとは思う。

でも、練られていないことが多いし、数年前に比べて、集中して整理して考えぬいた議論や文章に出会うことが少なくなったように感じている。

活字離れは「読み」というものだけでなく、「書き」にも当然起きている。

書いて考えるという習慣が広がらない限り、その場しのぎの対応が続き、先行き不安にストップがかからないのではないか。

何か仕出かしたときの「反省文」、アイディアが必要なときの「企画書」、いずれも経過・いきさつ、組み立てを書いて考えるからこそ、次につながる。

次につながらない「反省文」も書いてきたけれど。

社会が後ろではなく、前にすすんでいくには、知恵を集め、信じあえる関係を広げていくしかない。

そのため、「暗く」なく、「苦楽」ありで、喜怒哀楽を重ねていく。

そこにこそ、立ち止まって書いて考える習慣、そんな「生活習慣」が不可欠ではないだろうか。

***
特集ワイド:年頭にあたり一つ、ご提案です 書いて考える習慣
(2011/1/4毎日新聞夕刊)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110104dde012040014000c.html

 ◇極端な言葉に踊らされないために 自己と向き合い、整え、伝える

 新年、何か誓いを立てられたでしょうか。一つ、提案があります。書いて考える年に、というのはどうでしょう。内外の出来事を見るにつけ、考える力をつける必要性を痛感します。本紙投書欄なども大いに活用してほしいと思います。【夕刊編集長・近藤勝重】

 仕事柄、毎日何かを書いています。私なりにですが、書けば考えられます。逆に言いますと、書かないとなかなか考えられません。

 それでは書けばなぜ考えられるのか。これは案外簡単な話なんです。テーマは何であれ、文章を書く以上、自分と向き合わねばなりません。その自分が書くべき事柄をどれだけ理解しているか。ぼんやりとわかっている程度では先へ進めない。書くということは物事に対する理解度とともにあるわけですね。書くうえで調べて得た知識は記憶に残りますから、思考力のアップも期待できそうです。

 以前、NHKで「キューバ危機」の記録映像を見たことがあります。国連で米国代表が「キューバにミサイルはあるのか。イエスかノーで答えろ」とソ連代表に迫っていました。考えてみれば、米ソ冷戦時代は何かにつけ二元論でした。しかし今日はどうでしょう。国際情勢は複雑に入り組んでいますから、AかBかの対立を乗り越えていくところに本当の答えがある時代ではないのでしょうか。

 といって、二分割思考は今もいろいろ見受けられます。とりわけテレビはAかBかの対立的な演出が得意です。議論白熱を狙ってのことでしょう。各メディアの世論調査も支持、不支持がポイントです。「関心がない」などの選択肢はあっても、やはりイエスかノーの回答に話題は集中しがちです。

 私たちは目下の事態について是か非か判断を求められると、目の前のことに反応する傾向があります。情報というのは、現在の状況に背景となる過去、どうなるかの未来が備わって初めて判断できるものなんですが、経緯や予測まではなかなか頭が回りません。つい性急に是非善悪の答えを出してしまうんですね。

 また気になるのは、世論調査結果に対する私たちの受け止め方です。あくまでその時々の参考指標ですから、読み取り方が大切なのですが、数字が数字を呼んでいる現象はないのでしょうか。

 「万歳、万歳」で戦意がかき立てられたのは、そう遠くない昔です。城山三郎氏の対談集「失われた志」には、氏と同じ昭和2年生まれで青春が戦争と重なった藤沢周平、吉村昭両氏との対談も収められています。3氏ともども、戦争へとうねる世論に流された怖さを語っています。とりわけ城山氏は専制の怖さにふれつつ、こう語っています。

 「日本人は組織に従順で、みなすぐ同じパターンになってしまう。私の実感としては百人百様の生き方ができる世の中が一番いい」。世の中が正邪に二分されればなおのこと、極端な言葉に踊らされず、自分なりの意見を言うべきなんですね。

 昨年の尖閣事件では、漁船衝突の映像ビデオを流した海上保安官を巡って愛国者だ、いや批判されて当然だと意見が大別されました。情報も限られ、外交と捜査も絡んでいましたから、もっと多種多様な意見や疑問があってもいいように思えました。

 この正月休み、井伏鱒二氏の「黒い雨」を再読しました。被爆者の死体をトタン板で運ぶ兵士が思わずもらした言葉「わしらは、国家のない国に生まれたかったのう」には考え込んでしまいました。国家とは、国民とは--。

 司馬遼太郎氏が「まことに小さな国が」と書き出す「坂の上の雲」では登場人物の多くがこの国のことを考えています。明治とはそういう時代だったのでしょうが、日露戦争後、この国はどうなったのか。吉村氏は「白い道」で「太平洋戦争の勃発も、遠因をたどれば日露戦争での勝利にあると言っていい」と書いています。私は今さらながら夏目漱石の見通す20世紀観とともに「三四郎」の一節を思い出します。後に広田先生とわかる男が、日露戦争後の日本を「亡(ほろ)びるね」と言い、「日本より頭の中の方が広いでしょう」と言い添えたくだりです。そうだなあ、広い、本当に広い人間の頭で考えなければ、とつくづく思うのです。

 藤沢氏は愛読してきた作家の一人ですが、没後の未刊行エッセー集「帰省」で氏は珍しく政治を語っていました。

 「飢餓があり、戦争があった。人類の歴史というのは、政治的には失政の連続ではなかったか。政治というのは、声が高いわりには非力で、人間を本当に幸福にしたことなどなかったのではないか」

 大切な視点に思えます。

 話題を変えましょう。自分の手で書く手紙というのは手間ひまがかかります。でも、それがいいんですね。私事ながら高倉健さんのファンでして、ささやかな交流があります。著書を頂いたり、私の拙い本への感想を手紙で頂くこともあります。

 「日本が経済発展と同時に失ったのは、物事に丁寧に時間をかける、人の気持ちをこめる、そういう時間をかけることではなかったかと思います」。健さんの言葉です。私の半生も戦後と一緒でした。時間をかけなきゃと自戒して、大事な用件は手紙にしています。少なくとも書いている間は相手のことを考えます。いい時間です。

 日記を書くのも自らを見つめつつ、考えを整える上ではいいですよね。何より日記は気持ちを優しくしてくれます。けんかした日の日記を考えてみてください。相手に投げつけた言葉を思い出し反省する。日記ならではの自覚的な気持ちの流れです。元衆院議員の塩川正十郎氏が雑誌の対談で日記をつけていると、こんな話をしています。

 「一日経(た)ってふりかえると見方が変わってくるんです。誰かと喧嘩(けんか)になっても、まあ、あいつの立場もあるわな、とかね。全然違う感情が湧いてくる。そこでまた別の角度から判断ができる」

 人間同士、書いて考えればわかり合えるんですね。

 近年、俳句や川柳がブームです。作句には見たこと、感じたことをメモすることが大切です。ともに座の文芸ですから、仲間の作品にふむ、ふむとうなずき、学ぶ。自然風詠の俳句でも、人間風詠の川柳でも、脳は活性化することでしょう。

 ところで今日ではパソコンで打つも書くに入るわけですが、書く-考えるという点では手書きがいい、と藤本義一さんはおっしゃっています。まず言葉を浮かべ、次に文字を考え、さらに書きつつ内容を考えるので、その内容も深くなるというわけです。

 ちなみにジャーナリズムの授業のお手伝いをしている大学で学生にも聞いてみました。多かったのは、パソコンだと浅い考えのまま打っている感じがあるという答えでした。それに比べ手書きの方がよく考えるというわけですが、一方で削除や並べ替えなど後で修正しやすいからパソコンがいい、という声もありました。どちらがどうと一概には言えないかもしれませんね。

 新年。海まで足を運びました。優しいふくらみをもって感じられる朝日の下に、何を叫んでも受け止めてくれそうな広い広い海原がありました。でも、すべての土地で平和な朝が迎えられているわけではありません。大きいレベルでも小さいレベルでも、憎しみや報復の念はどうすれば乗り越えられるのか。またそれは可能なのか。少しでも書いて考えたいと思っています。みなさんはいかがですか。気になっていることはありませんか。あれば、書いて考えてみませんか。

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