流すことのできない偶然の出来事
6日は年が明けて初めての会議で、何を大切にするかと議論した。
そのなかで「小さな喜びを大切に」という言葉を思いつき、意見した。
疲れて寒くて起きた7日朝、外に出ると息は白く白く広がってビックリ。
1月7日付の朝日新聞「天声人語」が、「息」と「小さな喜び」について、偶然ふれていた。
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〔2011/1/7朝日新聞 天声人語〕朝刊を取りに出たら、夜明け前の路上でウオーキングの人同士が挨拶(あいさつ)を交わしていた。寒の入りは冷え込み、「おはようございます」が白い息になって吐き出される。息という字が、自分の「自」と「心」を組みあわせた形なのにふと気づく▼この季節には岡本眸(ひとみ)さんの一句を思い出す。〈温めるも冷ますも息や日々の冬〉。思えば息とは重宝なもので、かじかむ指を温められるし、熱い雑炊を冷ますこともできる。生きることのささやかな幸せを感じさせる名句である▼寒い季節ほど、人は「幸せ」への感度をふくらませるように思う。その幸福感は、収入が多いほど大きいものでもないらしい。米国で調査をしたら、日々の幸せを感じる度合いは年収7万5千ドル(620万円)ほどで頭打ちになるとの結果が出たという▼プリンストン大のカーネマン名誉教授らが45万人を電話調査した。ノーベル経済学賞の受賞者である教授は「高い年収で満足は買えるが、幸せは買えない」と結論づけたそうだ。幸せ者とは、小さな喜びを十分に味わえる人、ということになろうか▼その達人のひとりが、きのうが180年の命日だった越後の和尚、良寛さんだろう。〈この里に手毬(てまり)つきつつ子供らと遊ぶ春日は暮れずともよし〉。「清福」という語に袈裟(けさ)を着せたような人物像は、いまも慕う人が後を絶たない▼騒々しかったり、急(せ)かされたり、そして疲れた時代ほど、良寛ファンは増えるとされる。今年の良寛人気はどうなろう。日々の幸せを見いだす達人に、一度教えを請うてみたいが。
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この日、秋から4回取り上げてきた毎週金曜日の毎日新聞夕刊コラム「しあわせのトンボ」が年末年始休みを終えて2週ぶりに再開された。
コラムのテーマ、リズム、展開、そして言葉遊びがお気に入りで。
ネットでチェックすると、「小さな喜び」以上の偶然が。
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◇しあわせのトンボ:トイレのカミさん=近藤勝重(2011/1/7毎日新聞東京夕刊)
http://mainichi.jp/select/opinion/kondo/news/20110107dde012070012000c.html年末年始のテレビは、つけると歌手が出てきた。歌は好きだからいいのだが、歌より脚というか、女性歌手の脚線とそのファッションを際立たせる演出がやたらと目立ち、歌自体はそれほど楽しめなかった。
そんな中で関西出身のシンガー・ソングライター、植村花菜さんの弾き語り「トイレの神様」には聴き入った。亡き祖母に「トイレを毎日きれいにしていたらトイレにいる女神様のようにきれいになれるんやで」と子供のころから言われて育った植村さん自身の思い出を歌ったものだそうだ。聴いているうちに歌の世界が胸にしみるのと一緒に、やはり関西のおばあちゃんから聞いたこんなトイレ話を思い出した。
<女の子はな、お便所きれいに掃除したら、きれいな子が生まれるんやで。一番汚いところをきれいにしたら、神さんが喜びはってな、べっぴんさんや男前の子を授けてくれはるんやで>
またトイレということでは、笑福亭仁鶴さんとのことが頭に浮かぶ。取材の約束を取り付け、仁鶴さんの待つホテルへ急ぐ途中、車が渋滞に巻き込まれ30分ほど遅れた。当時の仁鶴さんは一日一回東西を往復する超売れっ子。案じた通り、四角い顔がさらに角張って怒っている。仁鶴さんはぼくを見届けるやソファから立ち上がってどこかへ歩いていく。マネジャーに聞くと、「トイレですわ。師匠はトイレで怒りを流すの得意なんです」と言う。戻ってきた仁鶴さんは確かに穏やかな表情になっていた。今思うことだが、どうやらトイレには怒りを鎮める神様もいるらしい。
もう一つ、紹介したいのは、新年のあいさつ代わりの電話で友人から聞いた「トイレのカミさん」の話である。奥さんはもともと電気のコンセントはすべて抜いて外出するなど、電気の無駄遣いはしないようだが、最近はトイレも暗いまま用を足せる時は電気をつけないのだそうだ。それというのも、山にすむクマなど生き物が里に下りてきて射殺されるニュースを見るたびに心を痛め、節電で少しでも地球環境に役立ちたいと始めたのだという。
最初は笑って聞いていたものの、暗闇の中で便座に座っている奥さんを想像すると、とても笑えない。その姿は祈りとともにあるようにさえ感じられ、友人に言ったものだ。
「トイレのカミさんはその時、トイレの神様になっているんだろうね。きっと」(夕刊編集長)
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これで私はまた「トイレ」にふれることになった。
そして、朝のコンビニでトイレをかりようとして、断られたことは、水に流そう。そう思えた。
「カミさん」と「神様」をかけた、クールでなく、誰も傷つけないホッとするコラム。小さな喜びになった。
「トイレ」のネタ、これにて。
ツマリ、ストップ。
年末年始バージョンはこれくらいにして、次回の記事からは通常のモードで。
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