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2011.02.18

フシアワセ

◇しあわせのトンボ:大阪の「府市合わせ」=近藤勝重
(2011/2/18毎日新聞東京夕刊)
http://mainichi.jp/select/opinion/kondo/news/20110218dde012070100000c.html
 昨今、大阪へ行くと「フシアワセ」という言葉をよく耳にする。フシアワセ? 不幸せ……そのうち「府、市合わせ」という字を当てての造語とわかり、うーんとうなる思いであった。

 大阪では今、大阪府の橋下徹知事率いる地域政党「大阪維新の会」が「大阪都構想」を掲げて、統一地方選の大阪府議選、大阪市議選挙の過半数を目指してボルテージを高めている。先に愛知県知事選と名古屋市長選で「減税」と「中京都構想」を掲げてそれぞれ圧勝した大村秀章氏と河村たかし氏との連携を強め、勢いづきそうだ。

 しかし、橋下知事が大阪府、市の二重行政はムダだ、と訴えれば訴えるほど、府、市が対立する構図にあり、「府市合わせ」はますますもって不幸せのニュアンスを深めるのである。

 以前、禅僧で芥川賞作家の玄侑宗久さんが夕刊「新幸福論」で「大切なのは新たに出てきたことに、どう仕合わせるかです」と「しあわせ」という和語の歴史を語っていた。要略すると、奈良時代に「為合」という字を当てたのから始まり、室町時代のころは「仕合」という文字になり、明治以降、ハピネスを幸福と訳し、「幸せ」になったという。

 大阪府、市がうまく仕合わせることができるかどうかも、橋下知事と大阪市の平松邦夫市長の両者にかかっているわけだが、2人に握手の気配はない。反目を強め、大阪を舞台に「国盗(と)り物語」が始まった感さえある。加えて「大阪都構想」は大阪市のみならず堺市も解体して「特別区」を設ける考えらしく、「大阪維新の会」は堺市議選での過半数も目指している。

 大阪が舞台となった国盗りの歴史では、いわゆる石山合戦がすぐに思い浮かぶ。中世末期、蓮如が石山本願寺(石山城)を建立して本願寺の興隆をもたらしたが、戦国の世になって織田信長が石山の明け渡しを迫る。10年戦争の後、信長は石山城を手に入れ、一大首都を建設しようとするが、2年後の「本能寺の変」で夢を絶たれた。豊臣秀吉が信長の遺志を受け継ぐものの、大阪城の運命も秀吉一代で終焉(しゅうえん)に向かった。このあたりのことを中心に、司馬遼太郎氏は「政権を亡(ほろ)ぼす宿命の都」としての「大坂」をしばしば描いてみせた。

 大阪は低迷して久しい。「これ以上の不幸せはご免や」は府民全員の声であろうが、はてさて平成の国盗り物語はその先に何をもたらすのか。地域政党のうねりと相まって大阪は全国的な関心を集めることだろう。(夕刊編集長)
***

この連載コラムとは、ホントに相性がいい。読んで教わることが多い。

先週は11日で夕刊がなかったために、2週ぶり。

1ヵ月くらい待たされた気がする。

迎えた今回が「ふしあわせ」。

節と節はあわせないほうがいいのだけれど。

幸せの由来も知ることができた。

こんな味わい深いコラムをめざしたい。

さあ、ナニワ友あれ、府市はどうなるのか。

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