日弁連が保育の介護保険化ゆるすなと、子ども・子育て新システムに意見書
昨年10月に開催された人権擁護大会で、
貧困の連鎖を断ち切り、すべての子どもの生きる権利、成長し発達する権利の実現を求める決議
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/hr_res/2010_1.html
を採択した日弁連(日本弁護士連合会)。
このなかで、「保育の市場化に向けて、保育の実施義務を廃し、保育の公的保障の責任を放棄しようとする動きもあり、このような責任放棄は、子どものいのちや健康を脅かすものとして強く懸念される」とし、
「現在進めている最小のコストによる保育政策を直ちに転換させ、保育の質を向上させるべく、保育分野での規制緩和政策を転換し、保育施設の最低基準を堅持・充実させなければならない」などと提言していました。
その後も民主党政権・政府が「子ども・子育て新システム」への動きがすすめるなか、
1月21日に意見書をまとめ、2月3日に内閣府少子化担当大臣等に提出したということです。
権利保障、貧困予防の視点が不十分であることなどをあげ、国や自治体が責任をもって質と量を伴った保育を実施すべきとし、保育の介護保険化を法案から除くことを求めています。
以下、一部抜粋
第1 意見の趣旨
1 「すべての子ども」が成長発達する権利を保障するために必要な施策を網羅するべきである
新システムに関する法案には,「すべての子ども」が成長発達する権利を保障するために必要な施策をもれなく盛り込むべきである。具体的には,貧困状況にある子ども,障がいのある子ども,虐待を受けている子ども,ひとり親家庭の子どもなど,困難を抱えた子どもに対する施策をもれなく盛り込むことができるようにすべきであり,かつ,「すべての子ども」が成長発達する権利を保障するために必要な財源を確保しなければならないことを明記した上で,その資金が,支援が必要な子どものための施策に確実に使用されるシステムを確立すべきである。
2 早期支援・貧困予防の視点を盛り込むべきである
新システムに関する法案には,「すべての子ども」が成長発達する権利を保障するためには,早期支援・貧困予防の視点を明確な方針として盛り込み,かつ,かかる視点に立った具体的制度を盛り込むべきである。
3 「すべての子ども」が質の良い保育を受ける権利の保障を徹底すべきである
新システムに関する法案には,「すべての子ども」が質の良い保育を受ける権利を有することを明文化し,その保障を実質化するためにナショナル・ミニマムを堅持してその内容を一層充実させるとともに,国や自治体が責任をもって質と量を伴った保育の実施をしなければならないこと,また,保育に関する財源を確保し義務的経費化することを明記すべきである。また,「すべての子ども」に保育を受ける権利を保障することと明らかに逆行する保育制度の介護保険化は,新システムに関する法案からは除くべきである。
(以下、略)
子ども・子育て新システムに関する意見書について
(日本弁護士連合会2011/2)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/110121_2.html
子ども・子育て新システムに関する意見書
(日本弁護士連合会2011/1/21)全文PDFファイル
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/data/110121_2.pdf
日本弁護士連合会
http://www.nichibenren.or.jp/
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