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2011.02.02

育ててくれない会社?社会?

私が就職したのは12年前のちょうど2月。

マスコミ志望だったけれど、「経験者のみ」「即戦力」などの門前払いも。

門の前まで行く気すら起きなくもなった。

最近の若者、新人は、人にものを聞かないと言われる。

聞くことすら、というより、存在すら許さないという現況は、やがてヒズミをうみひろげていく。

***
香山リカのココロの万華鏡:誰が新人育てるの /東京
(2011/2/1毎日新聞東京版)
http://mainichi.jp/life/health/kokoro/news/20110201ddlk13070263000c.html
 病院だけではなくて、大学でも仕事をしている私。この時期の話題といえば、やはり「就職」のこと。3年生はそろそろ就職活動、いわゆる就活を始める時期だし、4年生では「もう卒業の時期なのにまだ決まっていない」というような人が相談に来たりする。

 「昔は、大学の先生の口ききで就職した学生も大勢いた」などという文章をどこかで読んで、「私もそうしなきゃ」と出版社やテレビ制作会社の知人に「若い人、募集してない?」などときいたこともあるが、いつも返ってくる答えは、「うーん、ウチは募集は経験者だけなんだよね」。

 たしかに、まったくの未経験者である若者を採用すると、上の人たちは一から教えなければならない。それはたいへんな手間であることは、たしか。とはいえ、「最初から経験者」という人がいるわけもない。「あなただって今からウン十年前は、新卒だったでしょう」などと食い下がると、「まあ、あのときは会社も上向きだったから。いまはその余裕がないから、とにかく即戦力がほしいんだよね」と言われる。

 診察室でも同じ。ひきこもり状態から通信講座などで資格を取り、いざ就職、と張り切ってみても、「経験者のみ」という壁にぶち当たって採用してもらえず、しょげかえっている人によく出会う。精神科医は中立的であるべきだが、こればかりは黙っていられない。「ひどいね!許せないな。あなたを門前払いした会社に電話してあげようか」などと興奮して、患者さんに「先生、そんな恥ずかしいことはやめて」と止められたこともあった。これではまるで立場が逆だ。

 私のころはどうだったか、と考えてみる。私は大学を卒業して大学病院に就職したのだが、先輩医師もベテラン看護師も「新人教育は自分たちのつとめ」と思って、手のかかる私たち未経験者を一生懸命、指導してくれた。はじめての当直勤務のときなど怖くて怖くて、「熱が37℃」という連絡を病棟から受けただけで「どうしたらいいでしょう?」と夜中に先輩の自宅に電話したこともあったが、「それはね、解熱剤を出すんですよ」とやさしくこたえてくれた。いま思うと夜中にたたき起こされた先輩は、「それくらい自分で考えろ!」と怒鳴りたかったであろう。

 自分も先輩たちの手を焼かせながら、ちょっとずつ経験を積んでいった。それなのに今になって、「経験者しか取りません」などと言うのは約束が違う気がする。苦しい時代でも、新人を育てるのは先輩の役目。違うだろうか。

※2月2日、22時22分の設定で予約送信。もう1つ2が増える日があるね。

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