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2011.04.05

届いた春、志望大学に合格 お守りは読者の応援

気になっていた。いい結果が出るといいと願っていた。

厳しい境遇にあって、国立大学の医学部をめざす18歳。

見知らぬ読者の応援メッセージの声も頼りに、受験。

先日、見事合格通知が届いたという。

新聞ならではの反響と継続的報道。

年明けから連載されてきた中日新聞「子ども貧国」。

このブログでも追いかけてきた。

厳しさを問う連載が生んだこのあたたかさに、あきらめないことができる社会の可能性を感じる。

驚くしかない暗いニュースに覆われるなか、希望の持てる環境づくりを求め合いたい。

***
【子ども貧国】届いた“春”、医学部に合格 読者の応援、お守りに
(2011年4月3日 中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/hinkoku/list/CK2011040302000151.html
 本紙連載「子ども貧国」第1部で、取り上げた美香さん(18)=仮名=が、第1志望だった国立大医学部に合格した。経済的な理由で1校しか受験できない、と紹介したところ、読者から多くの支援や応援のメッセージが寄せられていた。

 美香さんの苦境を伝えたのは1月6日付の「子ども貧国 メド立たぬ受験費用」。進学を目指しながら、契約社員の母親の給料だけでは受験費用の工面すら困難な現状を描いた。

 読者からの支援に「期待に応えなければ、というプレッシャーに押しつぶされそうになった」一方で、美香さんは当初、予定していた国立大学の前期試験だけでなく、後期試験と私立大1校の受験が可能になった。センター試験は実力を発揮できず、担任から志望校の変更を促されたが、「皆さんからの応援があらためて挑戦する勇気を与えてくれた」という。試験当日には、お守り代わりに読者から寄せられた応援メッセージをバッグに忍ばせた。

 美香さんは「応援してくれた皆さんにすぐ『お返し』はできない。将来、人に役立つことで『お返し』になるよう、国家試験の合格に向けて頑張りたい」と話している。
***

〔関連記事①〕

【子ども貧国】
メド立たぬ受験費用 未来が泣いている(5)(2011年1月6日 中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/hinkoku/list/CK2011010602000191.html
◆「家族支える」医学部目指す

 岐阜県内の高校に通う3年の美香さん(18)の父親は、中学生のころ、突然、いなくなった。

 関東地方の出稼ぎ先から、仕送りがなくなった。家賃も払えず、美香さんと妹2人の母子4人は路頭に迷いそうになった。

 そこで手を差し伸べてくれたのが「あの人」だった。お母さんの会社の同僚。「面倒みてやるよ」。やさしい言葉につられ、お母さんは再婚し、美香さんたちはあの人のマンションに転がり込んだ。

 そこからが大変だった。「お前はだめだ、お前はだめだ」。お母さんにあの人は何時間も怒鳴り続けた。

 耳をふさいで勉強した。「もう終わったかな」と手を離しても、まだ続いていた。「今は、勉強しよう。集中しよう」。そう言い聞かせた。

 「もう、やめて」。半年が過ぎたある日、美香さんが叫んだ。母子は再び、家を出た。

 行き場所のない母子を保護し、自立支援する母子生活支援施設へ、2年間だけ身を寄せた。

 美香さんは今、大学受験の真っただ中にいる。志望は国立大学の医学部。将来は顕微鏡で細胞をチェックし、病気を探る検査技師になりたい。

 中学2年の入所時、何度も続いた転校で、学校の勉強が分からなくなった。大好きだった数学でも最低点を取った。悔しかった。

 「勉強ができないと大学に行って就職できない。これから家族を支えるのは私なのに」

 妹2人と3人で6畳部屋を分け合いながら、高校受験を前に夜中まで勉強した。職員にも勉強を教えてもらった。そのおかげで、県内屈指の進学校に進めた。

 同級生はみな、毎日のように塾に行く。美香さんは、3年の夏休みもファストフード店へバイトに行った。「少しでも進学資金をためたかった」。だけど、教材費や生活費にすべて消えてしまった。

 希望する大学は、自宅から通えない。家賃、生活費、授業料…。契約社員のお母さんの月給は13万円。とても進学資金など出せない。働きながら短大を卒業したお母さんも「どれぐらいかかるのか想像つかない」と言う。

 貸し付け型の奨学金はすでに申し込んだ。だが、受験に行くお金さえもひねり出すのが難しいのだ。ホテル代と交通費で3万円ぐらい。自立支援する施設の職員は「他にも受けたいところがあるだろうけど、経済的に1校しか受験できない。入学前にかかる費用を支援する制度はほとんどない」と指摘する。

 「はあ」。公営住宅の一室で、お母さんがため息をついた。最近、頻繁に1人で施設を訪れる。当面のお金のやりくりを職員に相談しているのだ。

 お母さんは、美香さんに「大丈夫だから、好きなようにしなさい」と言ってくれる。でも、好きなようにできないことは、美香さんが一番よく分かっている。

 「どうしても国立。私立には行けない。浪人なんか考えられない」

 一度しかないチャンスの日が、近づいている。(文中仮名)

***

〔関連記事②〕

【私説・論説室から】
広がる善意 読者からも(2011年1月13日東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2011011302000054.html
 全国各地の児童養護施設などに、かつての人気漫画タイガーマスクの主人公「伊達直人」などを名乗る人物たちから、ランドセルなどが届けられています。現金や図書券、文具や玩具のほか、野菜などの食料が届けられるケースもあり、善意の連鎖が起きているようです(十二日付社会面)。

 恵まれない子どもたちに何かできないか、少しでも人の役に立ちたい…。寄付を思い立った動機は人それぞれでしょうが、善意の輪が広がってゆくこと自体は歓迎すべきことだと思います。世の中まんざら捨てたもんじゃない、という気がしてきます。

 ただし、市井の人々の善意は善意として、政治や行政は手をつくしているのか、という疑問が頭をもたげます。こちらが本題で、今回の善意の連鎖はそのことを浮き彫りにしたのでは、と思えてなりません。

 善意といえば、一日から社会面で連載した企画「子ども貧国」にも読者から温かい支援の申し出がありました。特に六日付の連載五回目「夢への借金」。生活苦の中、国立大の医学部を目指す岐阜県の高校三年生美香さん(18)に対して、読者から「(もし受験地が東京であるなら)わが家に宿泊してください、と伝えてほしい。部屋を用意しますので」(都内女性)、「涙が出た。受験に必要なお金を少しでも援助したい」(埼玉県女性)などの声が届いています。 (T)

***
〔関連記事③〕

【子ども貧国】読者から200以上の意見 「受験1校だけ」に温かい激励
(2011年1月28日 中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/hinkoku/list/CK2011012802000201.html
経済的に余裕がなくて進学できなかったり、進学先が制限されたりしている子どもたちの現状に、「何とか力になりたい」とのお便りが次々届いた。

 5回目で取り上げた大学受験真っただ中の美香さん(仮名)は受験費用が捻出できず、1校しか受けられなかったが、読者からの支援で他の大学も受験できる可能性が高まった。美香さんは「温かい激励にすごく驚き、ホッとしている。プレッシャーも感じるが、合格できるように頑張る」と話している。
(後略)
***

中日新聞連載「子ども貧国」記事一覧
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/hinkoku/index.html

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